第11戦アメリカGPが21日、カリフォルニア州モントレーのラグナセカ・レースウェイで開幕した。昨年、11年ぶりにGPカレンダーに復活、今年は2年目となる。今年もMotoGPクラスのみの開催で、サポートレースでAMAシリーズが行われる。
ラグナセカは、アメリカを代表するサーキット。その知名度は抜群で、前半部分が上り勾配、後半セクションで一気に下るという独特なレイアウト。しかも、上り切った部分から一気に下る「コークスクリュー」と呼ばれるコーナーは、世界的に有名だ。昨年、ラグナセカはグランプリ開催に向けて、セーフティゾーンを広げるなど大幅な改修を行った。今年は路面の改修、セーフティゾーンのさらなる拡大を図り、安全性は一段と向上した。
1周3.602km。最高速は260km/h前後と決してスピードの出るサーキットではないが、平均時速は150km/hを超える。ラグナセカは、シーズンを通じてもっとも難易度の高いテクニカルコース。昨年は、ニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)が優勝を飾り、地元アメリカのファンを喜ばせた。
それだけに、今年も大勢のファンが、初日からサーキットに駆けつけた。天候にも恵まれ、午前中1回目の走行は24℃。午後2回目には29℃と気温も上昇。雲ひとつない青空の中で、注目のフリー走行が行われた。
トップタイムをマークしたのは、Hondaエンジンを搭載するKR211Vに乗るケニー・ロバーツJr.選手(Team Roberts)で、1回目、2回目ともに首位に立った。前戦ドイツGPでは、トップグループを快走するも、痛恨の転倒を喫して、リタイアに終わった。今大会は、地元大会だけに気合十分。今季2回目の表彰台、そして今季初優勝を狙う。
2番手には、アメリカGP2連覇を狙うヘイデン選手。1回目の走行では8番手とやや出遅れた格好だが、2回目には、一気に2番手に浮上した。開幕前には、ハリウッドで行われたMotoGPのイベントに出席、CBR1000RRでデモ走行を行い、集まったファンを喜ばせた。「今年は、チャンピオンシップ総合首位でホームGPを迎えることができた。イベントには、大勢のファンが集まってくれてすごくうれしかった。去年のグランプリは、自分のキャリアの中でも最高のレース。その記憶がよみがえってきた」と、本番を待ちきれない様子。初日2番手と、まずまずのスタートを切った。
3番手には、ラグナセカ初体験となるダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)がつけた。前戦ドイツGPを終えて、休む暇もなく現地入り。初走行となるラグナセカの下見を入念に行った。「初めてのサーキットは、いつも楽しみだが、不安もある。とにかく、少しでも早く新しいサーキットに順応したい。先週のドイツの4位には正直がっかりしているし、今回はばん回したい」と闘志を燃やしていた。1回目の走行では11番手だったが、2回目には、一気に3番手に浮上。初体験とは思えない快走を披露した。
4番手のマルコ・メランドリ選手(Fortuna Honda)も、好調なスタートを切った。第7戦カタルニアGPでは、スタート直後のアクシデントで負傷した。復帰した第8戦オランダGPは、完全ではない身体で7位と健闘。身体の回復に合わせて、第9戦イギリスで3位、前戦ドイツでは2位と、確実にポジションを上げてきた。「ラグナセカが大好きだ。好調なスタートが切れた」というメランドリ選手だけに、今季3勝目の期待が膨らむ。
7番手には、玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda)がつけた。前戦ドイツGPでは、ロバーツJr.選手の転倒に巻き込まれてリタイアに終わった。その際に、左ひざのじん帯を負傷。2週連続開催となる今大会は、飛行機での移動を含め、中4日での開幕だけに、厳しい戦いとなった。しかし、ドイツGPを終えてからの4日間、必死に行ったアイシング、マッサージなどの治療が功を奏し、初日7番手と好走を見せた。ロングランでは依然として体調は厳しい状態だが、「自分でも、これほど走れるとは思っていなかった。すごくうれしい」と笑みを浮かべていた。
8番手のケーシー・ストーナー選手(Honda LCR)は、1回目3番手と好スタートを切った。しかし、2回目の走行では、転倒を喫して、タイムを伸ばせなかった。ストーナー選手もラグナセカ初体験。初走行ながら、1回目の走行でいいスタートを切っているだけに、2日目のポジションばん回に期待。トニ・エリアス選手(Fortuna Honda)も、第8戦オランダGPの左肩の負傷の影響で、ドイツGPに続き今回も、厳しい走りを強いられている。「特に左のコーナーが左肩に厳しい」と語るエリアス選手だが、チームメイトのメランドリ選手のサポートで、9番手タイムをマーク。前半戦の締めくくりとなるアメリカGP初日は、トップ10にHondaパワーが7台と、好調なスタートとなった。 |