ドイツ、アメリカと続く、シーズン前半戦最後の連戦。その最初のレース、ドイツGPが14日、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開幕した。ザクセンリンクは、古い歴史を持つサーキットで、'27年に初めて公道を使ったレースが行われた。グランプリは、東ドイツ時代の'61〜72年に、「東ドイツGP」が開催されている。東西ドイツ統合後の'98年からは、コースが全面的に改修された同サーキットでドイツGPが開催され、今年で9回目を迎える。
1日目は、午前中に一時雨が降る不安定な天候となったが、次第に青空が広がり、午後の走行は、ドライコンディションで行われた。その中で、トップタイムをマークしたのはマルコ・メランドリ選手(Fortuna Honda)。2番手にダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)とHonda勢が上位を独占。3番手にロリス・カピロッシ選手(ドゥカティ)が続き、4番手にニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)、5番手にはHondaエンジン搭載のKR211Vに乗るケニー・ロバーツJr.選手(Team Roberts)。さらに8番手にケーシー・ストーナー選手(Honda LCR)。10番手に玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda)と、トップ10に6台のHondaパワーが名前を連ねた。第8戦オランダGPの予選で転倒、左肩を負傷、欠場していたトニ・エリアス選手(Fortuna Honda)が今大会から復帰、初日15番手と健闘した。
この日、トップタイムをマークしたメランドリ選手は、ウエットからドライへと変化した1回目の走行で4番手、2回目の走行では、一気にタイムを上げて、見事、トップタイムをマークした。シーズン序盤は、フリー走行、予選で思うようにタイムが伸びず、決勝になってセッティングが決まるというスロースターターだった。さらに、第7戦カタルニアGPのスタート直後の多重クラッシュで首と肩を強打、オランダ、イギリスと過去2戦は肉体的に厳しいレースを強いられていたが、今大会は、体調も戻り、完全復活をアピールする出だしとなった。
2番手のペドロサ選手も、今季2勝目を挙げた前戦イギリスGPでの好調をキープ。RC211Vで初めて走るザクセンリンクで、快調にラップを刻んだ。1回目の走行は、着実にタイムを上げる走りで8番手。このセッションでリズムをつかんだペドロサ選手は、午後の走行では、終始、トップを争う快速ぶりを披露。メランドリ選手と0.341秒差の2番手と、今季初の連勝とMotoGP3勝目に向けて好調なスタートを切った。
4番手につけたヘイデン選手も、好調なスタートを切った。前戦イギリスGPでは、予選11番手、決勝7位と、ともに今季ワースト記録で終えていた。それだけに今大会は、その雪辱に燃えるレースとなっている。その意気込みを感じさせたのは、ウエットで始まった1回目の走行だった。ただひとり、レインタイヤを装着して真っ先にコースイン。ドライコンディションとなったセッション後半には、何度もトップタイムをマークする快走で2番手。午後の走行でも、終始、トップを争う走りを見せて、4番手につけた。ヘイデン選手は、過去2年、ザクセンリンクで3位表彰台に立っている。昨年の大会ではPPを獲得しているだけに、今大会も、PPはもちろん、今季2勝目の期待が膨らんでいる。
5番手は、Hondaエンジン搭載のKR211Vに乗るロバーツJr.選手だった。1回目の走行ではトップタイムをマーク。午後の走行でも好調な走りを見せた。第7戦カタルニアGPでは今季初表彰台の3位に立っているだけに、今大会は、3戦ぶり今季2回目の表彰台に向けて絶好のスタートとなった。
午前中の走行で3番手と、好走を見せたストーナー選手は、午後の走行では8番手にダウン。午前中の走行で痛恨の転倒を喫して、その影響でマシンのセットアップに時間がかかり、思うようにタイムを伸ばせなかった。しかし、セッティングが決まれば、トップ争いに加わることは確実で、2日目のポジションアップが期待される。
玉田選手も、今大会はまずまずのスタートとなった。前戦イギリスGPから、車体のセッティングを見直し、ライディングフォームの改造に取り組んでいる。イギリスGPのあとには、鈴鹿8時間耐久ロードレースの準備のために日本に帰国。鈴鹿サーキットでテストに参加するなど、多忙なスケジュールをこなしてのドイツGP開幕となったが、復調に向けて、大きな前進を感じさせる初日となった。また、オランダGPの予選で左肩を負傷して、2戦ぶりに復帰を果たしたエリアス選手は、完全な体調にはほど遠い状態ながら15番手。「体調も走りも、50〜60%」と語るエリアス選手だが、トップから1.481秒差という熱走だった。
250ccクラスは、ホルヘ・ロレンゾ選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。以下、ヘクトール・バルベラ選手(アプリリア)、アレックス・デ・アンジェリス選手(アプリリア)と続き、Honda勢は、高橋裕紀選手(Humangest
Racing Team)4番手。青山周平選手(Repsol Honda Team 250)5番手と、日本人勢が好調なスタートを切った。先週、チェコでテストを行った高橋選手は、「チェコのテストでいい状態を見つけた」と上り調子をアピール。午前中のフリー走行で転倒を喫したが、午後の予選では、転倒の影響を感じさせない好走だった。ルーキーの青山選手も、初サーキットながら、5番手タイムをマークして、周囲を驚かせた。9戦を終えて総合首位のアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Humangest
Racing Team)は、セッティングが決まらず、10番手とやや苦しいスタート。しかし、2日目のポジションアップに注目が集まる。第8戦オランダGPの決勝で転倒、鎖骨を骨折して前戦イギリスGPを欠場したマーチン・カルデナス選手(Repsol
Honda Team 250)は、復帰戦初日を15番手で終えた。
125ccクラスは、マティア・パシーニ選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。トップから1秒差以内に9台という接戦の中で、ファブリツィオ・ライ選手が8番手、ガボール・タルマクシ選手が9番手と健闘した。
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