第8戦オランダGPが6月22日、アッセン・サーキットで開幕した。今年で58回目の開催。グランプリでもっとも長い歴史と伝統を誇り、土曜日に決勝レースが行われるという伝統も守られている。
アッセンは、天候が変わりやすいことで知られている。また、シーズンを通じて最も平均時速の高いサーキットの一つであり、その独特なレイアウトは多くの選手たちから好評を得ていた。しかし、今年はコース前半部分が大幅に改修。これまでの1周5.997km・全23コーナーから、1周4.555km・全17コーナーの新しいサーキットに生まれ変わった。最長ストレートの距離も970mから560mへ。180km/hを超えていたMotoGPクラスの平均速度も、160km/h台へと大幅に抑えられることになり、安全性の高いサーキットとなった。
コースが新しくなったことで、初日1回目のフリー走行は、各クラスともに時間が延長された。その中でトップタイムをマークしたのは、コーリン・エドワーズ選手(ヤマハ)。2番手にカルロス・チェカ選手(ヤマハ)。そして、3番手にケーシー・ストーナー選手(Honda
LCR)。4番手には、Hondaエンジンを搭載したKR211Vに乗るケニー・ロバーツJr.選手(Team
Roberts)が続いた。以下、8番手に玉田誠選手(KONICA
MINOLTA Honda)、10番手にニッキー・ヘイデン選手(Repsol
Honda Team)と、トップ10に4台のHonda勢が名を連ねた。11番手にダニ・ペドロサ選手(Repsol
Honda Team)、14番手にマルコ・メランドリ選手(Fortuna
Honda)。なお、トニ・エリアス選手(Fortuna Honda)は、午前中の走行で転倒。左肩を骨折して、今大会を欠場することになった。
この日は、オランダ特有の不安定な天候に選手たちは苦しんだ。午前中は断続的に雨が降るという難しいコンディション。午後の走行は辛うじてドライで行われたが、Honda勢は不安定なコンディションの中で、大幅に改修されたサーキットに順応する走り込みと、バイクのセットアップに重点を置いた。
Honda勢トップは20歳のルーキー、ストーナー選手だった。前戦カタルニアGPでは、前半トップを快走。しかし、痛恨の転倒を喫し、リタイアしている。とはいえ、その走りは初優勝の日が近いことを感じさせるもので、今大会も好調なスタートを切った。
続く4番手にはロバーツJr.選手。カタルニアGPでは、Hondaエンジンを搭載したKR211Vで今季初の表彰台に立った。KR211Vはレースをこなすたびにポテンシャルを上げているだけに、今大会も大きな注目を集めそうだ。
8番手には玉田選手が入った。前戦カタルニアGPは7位完走するも、納得のいかない不本意なレース。しかし、今大会はミシュランの新しいフロントタイヤのテストをこなしながら、まずまずのスタートを切った。午後の走行では痛恨の転倒を喫したが、上り調子を感じさせる一日だった。
10番手にはヘイデン選手。滑りやすい路面コンディションに合わせたセッティングを施したが、いい状態にはならなかった。午前中の走行ではシフトミスで転倒を喫するなど、最後までリズムもつかめなかった。しかし、多くのデータを収集、2日目のばん回に自信を見せた。
前戦カタルニアGPでリタイアを喫し、雪辱に闘志を燃やすペドロサ選手は11番手。断続的に降る小雨の中で、セットアップに重点を置いた。ドライになった午後の走行では、大幅に改修された前半部分の攻略に多くの時間を割き、確実に前進した。
14番手にはメランドリ選手。前戦カタルニアGPでは、スタート直後の多重クラッシュに巻き込まれ、左肩と首を痛めた。その影響で今大会の出場が危ぶまれていたが、満身創痍の体で頑張りを見せた。一方、チームメートのエリアス選手は、小雨が降る1回目の走行で転倒。左肩を骨折し、今大会は欠場することになった。
250ccクラスは、ホルヘ・ロレンゾ選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。前戦カタルニアGPで今季初優勝を果たし、総合首位に立つアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Humangest
Racing Team)は4番手。青山周平選手(Repsol
Honda Team 250)は6番手、高橋裕紀選手(Humangest
Racing Team)は7番手だった。また、前戦カタルニアGPで引退したセバスチャン・ポルト選手の代役に抜擢された、コロンビア人のマーチン・カルデナス選手(Repsol
Honda Team 250)は15番手につけた。250ccクラスも、午前のフリー走行中は断続的に雨が降り、思うように周回を伸ばせなかった。午後の予選も、ニュートラックになれるための慣熟走行となり、本格的なタイムアタックは2日目へと持ち越した。
125ccクラスも小雨の降る不安定な天候の中で予選が行われ、ルーカス・ペセック選手(デルビ)が暫定PPを獲得。Honda勢は、ガボール・タルマクシ選手が7番手、トーマス・ルシ選手が9番手、マイク・ディ・ミリオ選手が10番手となった。 |