第6戦イタリアGPが6月2日、フィレンツェ郊外のムジェロ・サーキットで開幕した。このサーキットは、F1のフェラーリチームの本拠地、そしてドゥカティのホームコースとして知られていて、90年代初めにイタリアGPの舞台として定着した。MotoGPクラスでは、94年から03年まで10年連続でHondaが優勝を飾っている。過去2年優勝を逃しているHondaだが、今大会は今季4連勝、そしてMotoGP通算200勝目に向けて、期待の高まる大会となっている。
ムジェロ・サーキットは、グランプリで最もアベレージスピードの速いサーキット。今年もシーズン前半戦の山場となるだけに、初日から大きな注目を集めた。しかしこの日は雲の流れが速く、時折雨が降る不安定な天候。両セッションともに辛うじてドライコンディションで行われたが、思うほどタイムは伸びなかった。
その中で、トップタイムをマークしたのは、Honda時代の2勝を含め、イタリアGPで過去4連勝を飾っているバレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)。以下、ロリス・カピロッシ選手(ドゥカティ)、セテ・ジベルノー選手(ドゥカティ)とホームコースの強みを発揮したドゥカティ勢が続き、ここまでが1分51秒台。4番手にジョン・ホプキンス選手(スズキ)、5番手にケーシー・ストーナー選手(Honda LCR)、僅差でニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)6番手、マルコ・メランドリ選手(Fortuna Honda)7番手、ケニー・ロバーツJr.選手(Team Roberts)8番手、玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda)9番手と、トップ10内にHondaパワーが続き、12番手のトニ・エリアス選手(Fortuna Honda)までが1分52秒台という大接戦。そして、ダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)は14番手という結果だった。
初日5番手とまずまずのスタートを切ったストーナー選手は、MotoGPマシンで初めて走るムジェロ・サーキットで元気いっぱいの走りを見せた。午前中の1回目は、セッション終盤に降った雨のためにタイムアップのチャンスを逃すも、4番手と好調な出だし。午後の走行では、ウエットからドライになるという難しいコンディションにもかかわらず午前中のタイムを更新、総合5番手につけた。
6番手のヘイデン選手は不安定な天候の中で、マシンのセットアップに集中。速いセクションと苦手なセクションがはっきり分かれる一日となったが、ストーナー選手とわずか0.076秒差。2日目のタイム短縮に期待を膨らませた。ヘイデン選手にとってムジェロ・サーキットは、デビュー以来表彰台に立ったことがないコースの一つ。それだけにイタリアGPの初表彰台、さらには今季初優勝に闘志を燃やしている。
7番手にはメランドリ選手。前戦フランスGPでは今季2勝目を達成し、総合ポイントでも、ヘイデン選手に続く2番手に浮上。上り調子で地元グランプリを迎えることになった。昨年の大会は惜しくも表彰台を逃す4位。MotoGPクラスではまだ地元イタリアで表彰台に立っていないだけに、今年は地元での今季3勝目に闘志満々。不安定な天候となった1日目は、セットアップに集中して、2日目のポジションアップを狙っている。
Hondaエンジンを搭載するロバーツJr.選手も8番手とまずまずのスタート。このサーキットを得意とする玉田選手も、マシンのセットアップに集中して9番手につけた。シーズン序盤こそ調子を落としていた玉田選手だが、過去2戦で確実に調子を上げている。そして、最も得意とするムジェロ・サーキットを迎え、今季最高位の期待が膨らんでいる。12番手にはエリアス選手。ルーキーながら、5戦を終えて初優勝を含む3回の表彰台と素晴らしい走りを見せている。ペドロサ選手は、今回も初めて走るサーキットを確実に攻略し、1日目を14番手で終えた。
250ccクラスは、ヤコブ・シュムルツ選手(アプリリア)が暫定PP。Honda勢は、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Humangest Racing Team)が3番手。前戦のフランスGPで初優勝を達成した高橋裕紀選手(Humangest Racing Team)が9番手。前戦フランスGPで初表彰台となる3位を獲得した青山周平選手(Repsol Honda Team 250)も、初コースを確実に攻略して12番手。セバスチャン・ポルト選手(Repsol Honda Team 250)は13番手だった。開幕から5戦連続表彰台に立ち、総合首位に立つドヴィツィオーゾ選手は、フリー走行ではトップタイム。予選ではトップからわずか0.068秒差の3番手だったが、地元イタリアで好調なスタートを切り、今季初優勝の期待が膨らんだ。9番手の高橋選手は、トップから0.674秒差の9位。青山選手も0.949秒差の12番手。1秒差以内に12台という大接戦の中でHonda勢は、2日目のタイム短縮とポジションアップに闘志を燃やしていた。
セッション開始直後に雨が降り、ウエットコンディションの中で予選が行われた125ccクラスは、フリアン・シモン選手(KTM)が暫定PPを獲得。Honda勢はファブリツィオ・ライ選手が4番手。また、マイク・ディ・ミリオ選手が7番手、ブランドリー・スミス選手が8番手。ワイルドカードで出場した葛原大陽選手は16番手だった。
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