第15戦オーストラリアGPが14日、フィリップアイランドで開幕。日本、マレーシア、カタールと続いた3連戦から2週間。グランプリの舞台は南半球へと移った。オーストラリアGPは、今年で17回目。最近は、シーズン終盤戦の舞台としてすっかり定着した。過去Hondaは、ワイン・ガードナー、ミック・ドゥーハンといったオーストラリア人の名チャンピオンを輩出してきた。それだけに、地元のHondaファンにとっては特別な大会である。
フィリップアイランドは、オーストラリアの東南部。メルボルン近郊の海に浮かぶ小島にある。自然公園も多く風光明媚な場所で、一年を通じて観光客でにぎわっている。それだけに、フィリップアイランドのオーストラリアGPは、シーズンを通じて、もっとも人気のある大会のひとつ。観客数ではヨーロッパグランプリに及ばないものの、このサーキットで繰り広げられる戦いは、これまで多くの名勝負を生んできた。しかし、海に囲まれているため風が強い。また、天候も変わりやすく、選手たちを苦しめるサーキットとしても知られている。
今年もセッション開始直前まで青空が広がっていたが、一転して雨になるという難しいコンディション。午後になって再び青空となったが、気温と路面温度が低く、転倒者の多い一日となった。
その中で1日目のフリー走行では、ニッキー・ヘイデン選手(Repsol
Honda Team)が3番手と好スタートを切った。そして、セテ・ジベルノー選手(Team
Movistar Honda MotoGP)4番手、アレックス・バロス選手(Camel
Honda)5番手、マルコ・メランドリ選手(Team Movistar
Honda MotoGP)6番手と、Honda勢がまずまずのポジションを獲得。また、マックス・ビアッジ選手(Repsol
Honda Team)9番手、玉田誠選手(KONICA MINOLTA
Honda Team)11番手となった。負傷欠場のトロイ・ベイリス選手(Camel
Honda)の代役として出場したクリス・バーミューレンは15番手につけた。
この日3番手につけたヘイデン選手は、ウエットからドライへと変化した午前中1回目のフリー走行こそ8番手とやや出遅れたが、ドライになった2回目では一気にタイムを短縮。3番手と好位置につけた。前戦カタールGPでは、今季3回目の表彰台となる3位を獲得する好調ぶり。それだけに1日目で、早くも今季2勝目の期待が膨らむことになった。ヘイデン選手はデビューイヤーの2003年、フィリップアイランド初走行ながら3位表彰台に立っている。昨年は表彰台を逃しているが、「ここは大好きなサーキット」と自信を見せるだけに、今大会の活躍に大きな期待が集まることになった。
4番手のジベルノー選手は、昨年の大会ではPPを獲得。決勝では2位を獲得した。それだけに今年は、オーストラリアGP初制覇に向けて気合満々。難しいコンディションとなった午前中のセッションでトップタイムを記録。午後は本番に向けてセットアップを繰り返して4番手になったが、得意とするサーキットだけに優勝候補の一角に浮上。5番手のバロス選手も、上々の滑り出しを見せた。フィリップアイランドで表彰台に立ったのは2002年だけだが、このサーキットを得意とするだけに、バロス選手にも期待が膨らんだ。
前戦カタールGPで素晴らしい走りを見せて2位となったメランドリ選手は6番手。250cc時代の2002年には、このサーキットでチャンピオンになっている。以後、MotoGPクラスに上がってからは、「いいレースができていない。今年こそ」と闘志を燃やす。フリー走行1日目は、「この数戦、いい感じで乗れている。そのために今日はタイムよりもセッティングに重点をおいた」と自信を見せた。9番手のビアッジ選手も、フィリップアイランドは優勝経験のあるサーキット。このコースを得意とするだけに、大きな注目を集めそうだ。
11番手には玉田選手。マレーシア、カタールの2戦は、不完全燃焼のレースだった。それだけに、オーストラリアGPに闘志を燃やしている。ドライになった午後は気温が低かっために、確実にセッティングをつめる走りに重点をおいた。玉田選手は、開幕前のフィリップアイランド合同テストで転倒を喫している。それを教訓に、「ここは右コーナーが少なく、右側のタイヤの暖まりが悪い。右コーナーのグリップに気を使いながら、今日は慎重、確実に走った。フィーリングは悪くない。今日はロングランもこなせた。明日はもっとバイクの状態が良くなるはず」と明るい表情だった。
15番手には、ベイリス選手の代役として出場したバーミューレン選手。スーパーバイク世界選手権で総合2位。今年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでも2位になっている。しかも走り慣れている地元フィリップアイランドだけに、今大会もっとも注目を集める選手の一人になった。「今日は初めてRC211Vに乗ったが、エンジンパワーのすごさ、乗りやすいパワー特性などに本当に驚いた。忘れられない一日になった」とHonda
RC211Vに感動する一日。初乗りとしてはまずまずの15番手だっただけに、2日目以降はますます注目を集めることになりそうだ。
250ccクラスは、セバスチャン・ポルト選手(アプリリア)が暫定PPを獲得した。Honda勢は3番手にヘクトール・バルベラ選手(Team
Fortuna Honda)、4番手にホルへ・ロレンゾ選手(Team
Fortuna Honda)、総合首位でタイトル王手となっているダニエル・ペドロサ選手(Team
Telefonica Movistar Honda 250cc)が6番手と、転倒者が多かった250ccクラスの中で、まずまずのスタートを切った。青山博一選手(Team
Telefonica Movistar Honda 250cc)は、フリー走行で転倒を喫し、予選でも思うようにタイムを伸ばせず7番手。アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team
Scot)もフリー走行で転倒を喫し、予選は9番手。フィリップアイランド初走行となる高橋裕紀選手(Team
Scot)は12番手だった。
125ccクラスは、マティア・パシーニ選手(アプリリア)が暫定PP。Honda勢はマイク・ディ・ミリオ選手が2番手、ファブリツィオ・ライ選手が4番手、総合首位を2点差で追うトーマス・ルシ選手が5番手だった。125ccクラスは、午前中のフリー走行がドライからウエットへ。午後の予選はドライだったが、一日を通じてもっとも難しいコンディションとなった。その中で、フィリップアイランド初走行となる小山知良選手は11番手、葛原稔永選手は17番手だった。 |