シーズン後半戦のスタートとなったチェコGPが、ブルノで開幕した。チェコGPは、チェコスロバキア時代の1965年に初めて開催され、1991年まで16回行われた。その後チェコスロバキアは、チェコとスロバキアに分離。1993年からチェコGPとして再開され、今年で13回目(通算29回目)を迎える。チェコGPは、シーズン後半戦最初のレースとして定着。今年も3週間の夏休みで十分に休養を取った選手たちが、元気いっぱいでサーキットに姿を見せた。
ブルノ・サーキットは、1周5.403km。中速コーナーが連続する、リズム感あふれるサーキットだ。コース中盤は下りコーナーが多く、終盤で一気に駆け上る独特なレイアウト。コース幅は広く、選手たちの評判も良好だ。ブルノ・サーキットは、毎年素晴らしいバトルが繰り広げられるサーキットとしても知られ、昨年はPPを獲得したセテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)が決勝でも素晴らしい走りで優勝した。
初日は2回のフリー走行が行われた。前戦のドイツGPに続き、今大会も初日から、トップと1秒差以内に14台が入るという大混戦となり、バレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)がトップタイムをマーク。2番手にロリス・カピロッシ選手(ドゥカティ)が続き、トップからわずか0.176秒差でジベルノー選手が3番手。チェコGP2連覇に向けて好調なスタートを切った。4番手はマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)で、ジベルノー選手同様、好調なスタートを切った。
この日、3番手につけたジベルノー選手は、1日を通じて安定した速さを見せた。前半10戦を終えて優勝がないジベルノー選手にとっては不本意なシーズンとなっているが、レースをこなすごとに本来の走りを取り戻している。「夏休みはリラックスして過ごすことができた。しかし、一時もレースのことが頭から離れなかった。日曜日には、今年最高のレースがしたい」と、今季初優勝に闘志をみなぎらせている。昨年にポール・トゥ・ウィンを飾ったように、今年も優勝候補の筆頭だ。4番手のメランドリ選手も、ブルノは得意とするサーキットのひとつ。MotoGPクラスでは表彰台に立っていないが、250cc時代には優勝を経験している。過去3戦、表彰台から遠ざかっているだけに、今季5回目の表彰台と初優勝に向けて気合を入れている。
7番手にはニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)。今季は地元アメリカGPでMotoGP初優勝を達成した。この夏休み期間中には、アメリカのテレビに出演するなど、Hondaの次期エースを狙う存在として、確実に知名度を上げている。昨年はトップグループに絡みながら惜しくも転倒を喫したが、成長著しいヘイデン選手だけに、今大会の活躍に大きな注目が集まっている。9番手にはアレックス・バロス選手(Camel Honda)。11番手には、チェコGPで3回の優勝を誇るマックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)。トロイ・ベイリス選手(Camel Honda)は2回目の走行で転倒を喫したが、トップから1秒差以内の13番手につけた。
地元日本GPが次戦に迫り、闘志満々の玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)は、バイクのセッティングが思うように決まらず17番手だった。第2戦ポルトガルGPで右手を負傷し、その後3戦を欠場。復帰してからも、完治していない右手の怪我に苦しんだ。しかし、夏休み明けの今大会はポルトガルGP以後、初めて完全な体調でレースを迎えることになった。「身体の調子はいい。もう問題はない。走り始めのフィーリングは悪くなかったが、思うようにセッティングが進まなかった。明日は違う方向でベストなセッティングを見つけたい」と、2日目のポジション挽回に闘志を燃やしていた。
250ccクラスは、ダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)が暫定PPを獲得した。ペドロサ選手はシーズン前半に5勝を達成し、2連覇達成に向けて着々と前進している。昨年の大会では、優勝を目前にしながら雨のためにペースを落とした。中止にならないままレースが続行されて3位になるという悔しいレースになっただけに、今年はその雪辱に燃えている。2番手にはホルへ・ロレンゾ選手(Team Fortuna Honda)。3番手には青山博一選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)。前戦ドイツGPで今季2回目の表彰台に立った青山選手は、2戦連続の表彰台に向けて好調なスタートを切った。5番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)。9番手にヘクトール・バルベラ選手(Team Fortuna Honda)。ルーキーの高橋裕紀選手(Team Scot)も11番手と、Honda勢が好調なスタートを切った。
125ccクラスは、ミカ・カリオ選手(KTM)が暫定PPを獲得。Honda勢は、シーズン中盤から調子を上げているサンドロ・コルテセ選手が4番手。総合トップのトーマス・ルシ選手(Honda)が5番手とまずまずのスタート。小山知良選手(Honda)は、バンピーな路面セクションのセッティングに苦しんで12番手だった。2日目のポジションアップに期待したい。葛原稔永選手(Honda)は25番手だった。
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