シーズン後半戦のスタートとなるイギリスGPが、22日にイングランド中部ノッチガム郊外のドニントンで開幕した。イギリスGPは、1949〜76年まではマン島、77〜86年はシルバーストーン、そして87年からはドニントンに舞台を移した。同サーキットで開催されるのは、今年で19回目となる。
ドニントンはアップダウンに富んだコースで、1周4.023km。前半はハイスピードのS字コーナーが続き、後半はシケインとヘアピンが連続する低速セクションとなる。こうして、まったく異なる要素が二つのパートに分かれているために、車体のセッティングが難しく、これまでも選手たちを苦しめてきた。さらに、ブラインドコーナーも多く、ルーキーたちにとっては条件の厳しいサーキットとなっている。
前戦アメリカGPでは、ニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)が初優勝を達成する素晴らしいレースを披露した。表彰台に立てなかったHonda勢も、ラグナセカでは上り調子を感じさせる好走だった。そして戦いの舞台は、再びヨーロッパへ。イギリスGPから次戦ドイツGPと続く2連戦は、シーズン中盤戦の山場となるが、この厳しい戦いをHonda勢は上り調子で迎えることになった。
初日は、2回のフリー走行が行われた。この日のドニントンは、朝から厚い雲が空を覆った。そのために気温も路面温度も上がらず、転倒者の多い1日となった。2回目のセッションでは、終始、小雨がぱらつく厳しいコンディション。上位10位までは、1回目の走行タイムがこの日のベストとなった。
1回目にトップタイムをマークしたのはコーリン・エドワーズ選手(ヤマハ)。Honda勢はアレックス・バロス選手(Camel Honda)の4番手を最高位に、トップ10に5台。小雨が降り続いた2回目のセッションでは、バロス選手がトップタイムをマーク。上位4番手までHonda勢が占める快走で、予選に向けて大きな期待を膨らませた。
バロス選手は、1回目のセッションで順調にセットアップを進めた。小雨が降り続く2回目のセッションでは、ベストタイムを更新することはできなかったが、今季2回目のPP獲得に向けて自信をみなぎらせていた。前戦アメリカGPでも予選3番手と好調だったが、決勝では他車の転倒に巻き込まれて転倒リタイアという悔しいレースになっただけに、今大会は闘志満々。2日目の予選と決勝での好走に期待が膨らんでいる。
総合5番手のマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)も、前戦アメリカでは今季初のリタイアを喫しているだけに、その雪辱に気合が入っている。メランドリ選手も小雨が降る2回目のセッションではタイムを更新できなかったが、2番手と順調にセットアップを進めた。総合6番手のセテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)も、2回目のセッションは3番手。前戦アメリカでは、マシンのセットアップに大きな前進を見せている。昨シーズンも、この大会で表彰台に立って調子を取り戻しているだけに、今大会をターニングポイントにしようと闘志を燃やしていた。
2回目のセッションで4番手と今回も好調なトロイ・ベイリス選手(Camel Honda)は、総合では8番手。しかし、前戦アメリカGPの行われたラグナセカ同様、ドニントンも自信のあるサーキットだけに、初日から自信溢れる走りを見せた。その一方で、前戦アメリカで初優勝を達成したヘイデン選手は、1回目の走行ではセッティングに多くの時間を割いて9番手。2回目の走行では、セッション中盤に一時的に雨が強くなり、不運の転倒を喫した。ヘイデン選手にとっては、不完全燃焼の一日になっただけに、2日目の挽回に期待したい。マックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)は、1回目12番手。2回目の走行ではわずかにタイムを更新したが、総合で12番手と変わらず。しかし、一昨年の大会では優勝しているだけに、予選でのポジション挽回は必至の状況となっている。
玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)は、1回目の走行でドニントンでもっとも転倒者が多い、下りのS字セクションで転倒を喫した。怪我はなく、スペアバイクで再スタートして13番手。2回目のセッションは、「コンディションが悪かったので慎重に走った。転倒で身体のあちこちを打って痛かったが、走りには影響はなかった。大丈夫」と、周囲の心配を吹き飛ばしていた。第2戦ポルトガルGPの怪我も順調に回復している。前戦アメリカGPでは、予選9番手から決勝7位と復調を感じさせているだけに、今大会の走りに期待が集まっている。「今日の転倒は自分のミス。転んだコーナーは、気をつけないといけないと思っていた」と、2日目に向けて気持ちを引き締めていた。
250ccクラスは、フリー、予選ともに完全なドライコンディションで走行が行われ、ホルへ・ロレンゾ選手(Team Fortuna Honda)が暫定PPを獲得。青山博一選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)が3番手。ダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)4番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)6番手と、Honda勢が好調なスタートを切った。青山選手は昨年の大会でもフロントローを獲得しているだけに、2年連続のフロントローと今季初のPPが期待されている。ルーキー高橋裕紀選手(Team Scot)は、フリー走行では15番手だったが、予選では一気にタイムを伸ばし8番手に浮上した。ヘクトール・バルベラ選手(Team Fortuna Honda)は10番手。トップ10にHonda勢6台と、好調なスタートとなった。
125ccクラスは、ミカ・カリオ選手(KTM)が暫定PP。7戦を終えて僅差で総合3番手につけるトーマス・ルシ選手(Honda)が2番手。マイク・ディ・ミリオ選手(Honda)は5番手。ルーキー小山知良選手(Honda)が初コースながら、8番手と健闘。今季初フロントローを射程に入れる好スタートを切った。葛原稔永選手(Honda)は初コースに苦戦して38番手だった。 |