第8戦アメリカGPが、8日、カリフォルニア州モントレーのラグナセカ・レースウェイで開幕した。アメリカGPがGPカレンダーに復活するのは、11年ぶり。今大会はMotoGPクラスのみの開催で、サポートレースでAMAシリーズが行われる。
11年ぶりにGPカレンダーに復活したラグナセカ。一周3.610kmのコースは、シーズンを通じてもっとも距離が短いサーキットである。しかし、前半部分が上り勾配、後半セクションで一気に下るという独特なレイアウトを持ち、上りきった部分にあるシケインは、左から右に切り返しながら一気に下る急坂となっている。このコーナーは「コークスクリュー」と呼ばれ、世界的に有名なコーナーである。
今年はグランプリ開催に向けて、セーフティゾーンを広げるなど大幅な改修が行われた。一周の平均時速は150km前後。もっともスピードが出るポイントでも時速260km台と、シーズンを通じてもっとも難易度の高いテクニカルコースとなっている。
午前中1回目のフリー走行は、11年ぶりの開催ということで、通常より1時間長い2時間で行われた。このセッションでトップタイムをマークしたのは、スーパーバイク時代にこのコースを経験しているトロイ・ベイリス選手(Camel Honda)。2番手には、地元Vに闘志満々のニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)が僅差で続いた。3番手にジョン・ホプキンス選手(スズキ)、4番手にセテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)、7番手にアレックス・バロス選手(Camel Honda)、8番手にマックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)と、予想通り、トップから9位までが1秒差以内という接戦の中で始まった。
午後の2回目のセッションでは、このコースを熟知しているヘイデン選手が、そのアドバンテージを生かし、1分24秒228というトップタイムをマークした。午前中1回目の走行で2時間を走り込んだこともあり、ほとんどの選手が、2回目の走行でそれほどタイムを更新できなかった。その中でヘイデン選手は、バイクのセッティングを順調に進めてトップに立つ快走。第3戦中国GPのフリー走行に続いて、今季2回目の首位に立った。2番手にはベイリス選手。3番手にはビアッジ選手で、1回目8番手から浮上。バロス選手も7番手から4番手にポジションを上げるなど、Honda勢がトップ4を独占。さらに、7番手にジベルノー選手、8番手にマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)と、トップ10に6台のHonda勢が並ぶ好調なスタートだった。
ヘイデン選手は、開幕前日のプレスカンファレンスで、「ここは、小さい頃からGPで走るのが夢だった。家族や友人がいるホームグラウンドで走ることができるのは本当にうれしい。この数戦は調子もいいし、開幕が待ち切れない」と語っていたが、大勢の地元ファンの前で見事、トップタイムをマーク、大きな拍手を浴びていた。ヘイデン選手にとっては、GPデビュー3年目にして初めて経験するホームグランプリ。当然、MotoGP初優勝の期待が膨らんでいる。
総合2番手につけたベイリス選手は、前戦までの低迷を吹き飛ばす快走を見せた。前戦オランダGPを終えたときに、「ラグナセカは大好きなサーキット。スーパーバイク時代は優勝も経験しているし、ここで調子を取り戻したい」と語っていたが、その言葉どおり、これまでの遅れを取り戻す快進撃だった。
今季初優勝に燃えるビアッジ選手も、この数戦は調子を上げている。第2戦ポルトガルGPで優勝のバロス選手も、11年ぶりに走るラグナセカで今季2勝目に闘志満々。2回の走行を終えてトップから1秒差以内に10台という大接戦となったが、トップ10に並んだHonda勢6台すべてが1分24秒台というレベルの高いを走りを披露した。
そして、Honda勢で、ただひとりトップ10入りを逃した玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)は13番手だった。しかし、その表情は明るかった。前戦オランダGPを終えた後に、右腕の筋肉疲労を軽減する“腕上がり”の手術を行った。その傷口を消毒しながらの参戦だが、「ポルトガルで右手の甲を骨折して、まだ完治していないので、どうしても右手をかばってしまう。それもあって右腕が疲れて仕方がなかったが、今回の手術で不安がなくなった」と、ポルトガルGPの怪我以来、抱えていた不安を解消してコメントも弾んだ。「ここは、今まで経験したことがないほど路面のギャップがすごい。ハンドルへの衝撃がすごいのでびっくりした。アップダウンも激しく、ブラインドコーナーも多い難しいサーキットだが、今日の走行でかなり慣れることができた。今日の走行で基本的なことはこなせたので、2日目からタイムを出して行きたい」と、予選、決勝と、ポジションを上げていく意気込みだ。 |