グランプリの中で最も長い歴史と伝統を誇るオランダGP(ダッチTT)が、23日、オランダ北東部のアッセンで開幕した。夏至だった開幕前日は、最高気温が30℃を超える暑さとなった。そして予選1日目も快晴に恵まれ、最高気温が34℃という真夏日を記録することになった。昨年の予選1日目は雨で最高気温が14℃。雨と寒さの中で行われることが多いオランダGPだが、今年のオランダGP予選1日目は、今シーズンの最高気温を記録することになった。
オランダGPは、その前身となる「ダッチTT」が1925年に第1回大会が開催された。WGPがスタートした1949年からは「オランダGP(ダッチTT)」となり、今年で57回目(ダッチTTとしては75回目)。世界グランプリの歴史の中で、唯一、休むことなくグランプリが開催されてきた伝統ある大会でもある。
その舞台となってきたアッセンは、これまで多くの名勝負を生んで来た。1925年から54年までは公道コース。55年には、一部公道を使用する7.7kmのサーキットに変わった。その後、6.027kmになり、今年は2ヶ所で改修工事が行われ、5.997kmのニューコースへと生まれ変わった。
アッセンの特徴は、ハイスピードで駆け抜ける中速、高速コーナーが連続すること。平均時速は180km前後に達し、グランプリが開催されるサーキットの中でもっとも平均アベレージの高いコースとしても知られている。今年は天候に恵まれたことから、初日から素晴らしい走りが繰り広げられた。
この日、トップタイムをマークしたのは、ロリス・カピロッシ選手(ドゥカティ)。Honda勢は、3番手にセテ・ジベルノー選手(Team Movistar
Honda MotoGP)、4番手にアレックス・バロス選手(Camel Honda)、5番手にマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda
MotoGP)、6番手にニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)。トップから1秒差以内に8台という接戦の中で、Honda勢は好位置で初日を終えた。以下、マックス・ビアッジ選手(Repsol
Honda Team)9番手、トロイ・ベイリス選手(Camel Honda)13番手、玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)15番手という結果だった。
Honda勢でトップタイムをマークしたジベルノー選手は、このサーキットを得意とする選手のひとりだ。一昨年は優勝を飾り、昨年は2位と惜しくも優勝を逃しているが、今年も優勝候補の筆頭。1回目のフリーで2番手につけたジベルノー選手は、2回目のフリーでは、決勝に向けて多くの周回を刻み、そのために3番手に順位を落としたが、決勝に向けて順調にセットアップを進めた。
4番手のバロス選手も、2000年の優勝を筆頭に、2位1回、3位2回と、これまでアッセンでは通算4回の表彰台に立っている。今年も好調なスタートを切って初日4番手と、まずまずのスタートを切った。また、5番手のメランドリ選手も、アッセンを得意とする。昨年も表彰台に立っているだけに、念願のMotoGP初優勝に向けて闘志を燃やしている。さらに6番手にはヘイデン選手。レースを追うごとに調子を上げているだけに、今大会は、今季初表彰台を狙っている。
ビアッジ選手は9番手。ビアッジ選手もこのコースを得意とする選手だが、この日は、セッティングを詰め切れなかった。ベイリス選手も13番手と苦しいスタートとなったが、レースを追うごとにトップとの差を縮めているだけに、2日目に期待をつないだ。
玉田誠選手は、この日、最も厳しい戦いを強いられた。アッセンは、ハイスピードでマシンを切り返すという重労働が待ち受ける。しかし、第2戦ポルトガルGPで痛めた右手が依然として完全ではないだけに、苦しい走りとなった。「今回は予想以上に右手には厳しい。イタリア、カタルニアと良くなっていたのだが、ここは、ハイスピードで右に左にマシンを振らねばならず、さすがに痛みがある。ブレーキには影響はないのだが、ストレートでマシンを押さえるのが厳しかった」と苦痛の表情だった。2日目からは、映画会社とのタイアップで、スペシャルカラーのマシンで挑む。「2日目はテーピングなど、いろいろと対策して少しでもタイムを縮めたい。頑張ります」と気合を入れていた。
250ccクラスは、セバスチャン・ポルト選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。2番手には、過去4戦フロントローに並んでいるホルへ・ロレンゾ選手(Team
Fortuna Honda)。前戦カタルニアの転倒で鎖骨を痛めているが、今回も好調なスタートを切った。以下、Honda勢は、青山博一選手(Team Telefonica
Movistar Honda 250cc)が4番手。6番手にダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)。7番手にヘクトール・バルベラ選手(Team
Fortuna Honda)。8番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)と好調なスタートを切った。ルーキー高橋裕紀選手(Team
Scot)も難コースのアッセンで13番手。2日目のタイム短縮に期待をつないだ。
125ccクラスは、マティア・パシーニ選手(アプリリア)が暫定PP。Honda勢はアレックス・マスボー選手(Honda)が6番手。首位と1点差で総合2位のトーマス・ルシ選手(Honda)は10番手。小山知良選手(Honda)は初めて経験するサーキットで14番手と健闘。葛原稔永選手(Honda)は、ピットインのタイミングでタイムアタックできず29番手に終わったが、2日目のばん回に期待をつないだ。 |