第5戦イタリアGPが、3日、フィレンツェ郊外のムジェロで開幕した。前戦フランスGPから2週間のインターバル。休養を取った選手たちは、第5戦イタリアGP、第6戦カタルニアGPと、シーズン前半の最大の山場となる2連戦に臨む。
ムジェロでは、1914年に初めて公道を使ってレースが開催された。1970年代には、フェラーリにより近代的なサーキットが建設される。そして90年代になり、イタリアGPの開催地として定着した。ムジェロ・サーキットは一周5.245kmで、右コーナーが9つ、左コーナーは6つ。MotoGPクラスは最高速度が330kmを超える。平均時速も170kmを超え、グランプリでも屈指のハイスピードコースだ。一昨年まで、このサーキットで11連勝を達成してきたHondaだが、昨年は雨のためにレースが中断、大荒れのレースとなり惜しくも優勝を逃した。
それだけに今年は、その雪辱に闘志を燃やす大会。その期待に応えて、初日のフリー走行では、セテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)がトップタイム、マックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)が2番手と好調なスタートを切った。さらに、アレックス・バロス選手(Camel Honda)6番手、ニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)7番手、マルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)8番手と、トップ10に5台のHonda勢が名前を連ねた。また、今大会は玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)が復帰を果たし、初日11番手とまずまずのスタートを切った。また、トロイ・ベイリス選手(Camel Honda)は14番手に入っている。
青空が広がったムジェロは、この日、最高気温が30℃に達した。チームがサーキット入りした水曜日から快晴が続き、3日連続で真夏日を記録した。その暑さの中で始まった1回目のフリー走行でトップタイムをマークしたのは、バレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)。以下、ビアッジ選手、ジベルノー選手、ヘイデン選手、メランドリ選手とHonda勢が続いた。そして10番手のバロス選手まで、わずか0.795秒差という大接戦。今大会も初日からレベルの高い走りの応酬となった。
その厳しい戦いは、午後の2回目の走行でも変わらなかった。その中で、前戦フランスGPで2位になり、本来の走りを取り戻しつつあるジベルノー選手が、大きくタイムを伸ばしトップに浮上。2年連続PPに向けて好調なスタートを切った。それに続いたのが、地元イタリアで今季初優勝に闘志を燃やすビアッジ選手。ジベルノー選手から、わずか0.018秒差と好調な走りを見せた。3番手には、ロッシ選手。以下、カルロス・チェカ選手、ロリス・カピロッシ選手とドゥカティ勢が続き、6番手にバロス選手、7番手ヘイデン選手、8番手にメランドリ選手と、ここまでトップから1秒差以内という大接戦だった。
ジベルノー選手は、前戦フランスGPの後に、ルマンでテストを行っている。初日は、その確認作業がメインとなったが、Honda RC211Vが確実にポテンシャルアップしていることを感じさせる快走だった。今日2番手につけたビアッジ選手も、ルマンで行ったテストの成果を強調する出だしとなった。ビアッジ選手自身、「今季最高の金曜日だった」という言葉どおり、ジベルノー選手とともに、今季初優勝に向けて最高のスタートとなった。
前戦フランスGPで激しく転倒したバロス選手は、完全な体調とはいえなかったが、初日6番手とまずまずのスタートを切った。2001年には、ここで優勝を飾っている。ムジェロ2回目の優勝に向けて、2日目以降の走りに期待が膨らんだ。7番手につけたヘイデン選手も、ムジェロは得意とするサーキット。昨年は、雨の中断で2ヒート制となり、決勝は不本意なレースだっただけに、今年はその雪辱に燃えている。
8番手のメランドリ選手は、1回目のフリー走行で5番手とまずまずのスタートを切った。しかし、2回目の走行で転倒、その影響で思うようにタイムを伸ばせなかった。今季4戦中2回表彰台に立っているメランドリ選手。地元イタリアだけに、MotoGP初優勝に向けて気合満点。周囲も、メランドリ選手のMotoGP初優勝に期待を寄せている。
そして、この日大きな注目を集めたのが、玉田誠選手だった。第2戦ポルトガルGPの予選で転倒、右手を負傷して第3戦中国GP、第4戦フランスGPを欠場した。怪我から1カ月半。復帰を果たした玉田選手は、「まだ完全ではない。痛みがないと言えば嘘になるが、走っているときは100%。もちろん優勝を狙っていく」と元気いっぱいのコメント。1回目のフリー走行では、トップから1.711秒遅れの15番手だったが、午後の2回目の走行では、トップとの差を約1秒まで縮めて11番手に浮上。「まだ完全にセッティングが決まっていない。ただ、周囲のペースが思った以上に速いので、こっちもペースを上げていかなくてはいけない。ここは大好きなコース。決勝に向けて、いい状態に仕上げたい」と、完全復帰をアピールしていた。
250ccクラスは、ケーシー・ストーナー選手が暫定PPを獲得。アレックス・デ・アンジェリス選手、セバスチャン・ポルト選手とアプリリア勢が続いた。Honda勢は、4番手ダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)、5番手ホルへ・ロレンゾ選手(Team Fortuna Honda)、7番手ヘクトール・バルベラ選手(Team Fortuna Honda)、8番手青山博一選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)、9番手アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)と、トップ10に5台。初めてムジェロを走る高橋裕紀選手(Team Scot)は16番手だったが、250ccクラスも僅差の戦いだけに、2日目のばん回に大きな期待が膨らんだ。
125ccクラスは、ミカ・カリオ選手(KTM)が暫定PP。Honda勢はファブリツィオ・ライ選手が4番手。ムジェロ初走行となる小山知良選手は11番手。前戦フランスGPで右鎖骨を骨折、2週間のインターバルで復帰の葛原稔永選手は29番手だった。
|