リスボン郊外のエストリルで、ポルトガルGPが開幕した。前戦スペインGPから2週連続の開催。開幕戦の激しい戦いの余韻がさめやらぬまま、1日目を迎えた。今年からレギュレーションが変更になり、MotoGPクラスは、1日目はフリー走行だけが行われる。125ccクラスと250ccクラスは従来通り。第2戦を迎え、早くもこの新ルールが関係者に定着した。
ポルトガルGPは、今年で8回目を迎える。1987〜88年はスペインのサーキットを使ってポルトガルGPが開催された。2000年からは、エストリルでポルトガルGPがスタートした。過去4年は、Honda時代の3勝を含めて、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が4連勝を飾っている。それだけに今年は、Honda勢は優勝奪還に闘志を燃やす大会となる。
エストリルは、長いストレートとテクニカルセクションを組み合わせた独特なコース。グランプリサーキットの中では、もっとも速度差が大きく、さらにバンピーな路面とパッシングポイントの少なさは、選手たちに厳しい戦いを強いる。また、海が近いことから風が強く、天候も変わりやすい。この日も雲の流れが速く、時折り雨となる不安定な天候となった。
1回目のフリー走行は、まさにエストリル特有の天候に選手たちは悩まされた。セッション開始と同時ににわか雨が降る。あっという間に路面はウエットとなり、コースインしたばかりの選手たちはピットで路面が乾くのを待つことになった。そのために周回数は10ラップ前後と伸びず、路面コンディションを確認する程度の走行となった。
その中でトップタイムをマークしたのはアレックス・バロス(Camel
Honda)だった。このセッション、ドライコンディションで走れたのはわずか15分程度だったが、バロスは快調にラップを刻んだ。2番手にジョン・ホプキンス(スズキ)。3番手にロッシ。4番手には、開幕戦で惜しくも優勝を逃し、その雪辱に燃えるセテ・ジベルノー(Team
Movistar Honda MotoGP)。6番手にトロイ・ベイリス(Camel
Honda)。7番手には、開幕戦で3位表彰台のマルコ・メランドリ(Team
Movistar Honda MotoGP)。8番手にニッキー・ヘイデン(Repsol
Honda Team)と、Honda勢が今回も順調なスタートを切った。
2回目のフリー走行は、1時間を通じてドライコンディションで行われた。依然として雲の流れは早く、青空と雲り空が交互にエストリル上空を覆う。気温も思ったほど上がらず、低い路面温度に選手たちは厳しい走りを強いられた。
トップタイムをマークしたのは、好調なバロス。このセッションでも快調にタイムを縮め、ただひとり1分38秒台に突入した。そのバロスには届かなかったが、ジベルノーが2番手、3番手にヘイデンとHonda勢が上位を独占した。以下、コーリン・エドワーズ(ヤマハ)、カルロス・チェカ(ドゥカティ)、ロッシと続き、マックス・ビアッジ(Repsol
Honda Team)7番手、玉田誠(KONICA MINOLTA
Honda Team)13番手。1回目のフリー走行で6番手のベイリスは、転倒を喫し16番手に終わった。
昨年、ポルトガルGPでキャリア初のPPを獲得。1分37秒933のサーキットベストタイムを持つ玉田は、自己ベストから大きく遅れる1分39秒997で初日を終えた。「タイヤが変わって初めて走るコースなので、まずは去年のセッティングでスタートした。他のサーキットでもそうだったが、予想したとおり、かなりセッティングをアジャストしなくてはいけなかった。フリー走行で雨が降ったこともあって、時間が足りなかった」と初日を振り返った。昨年は、予選でPPを獲得、決勝では2位と大活躍。後半戦の大ブレイクにつながった。それだけに今年もポルトガルGPに期するものは大きく、2日目以降の躍進に大きな期待が膨らんだ。
250ccクラスは、開幕戦スペインGPで優勝したダニエル・ペドロサ(Team
Telefonica Movistar Honda 250cc)が暫定PPを獲得した。ペドロサは昨年PPを獲得したが、決勝では4位と表彰台を逃している。ペドロサは、125cc時代からポルトガルGPでは優勝したことがないだけに闘志満々。開幕2連勝とポルトガル初制覇に向けて、絶好のスタートを切った。以下、ランディ・デ・ピュニエ、セバスチャン・ポルト、アレックス・デ・アンジェリスとアプリリア勢が続き、4番手にアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Team
Scot)。5番手にホルへ・ロレンゾ(Team Fortuna
Honda)。ヘクトール・バルベラ(Team Fortuna
Honda)9番手、青山博一(Team Telefonica
Movistar Honda 250cc)10番手と、トップ10に5台のHonda勢が入った。高橋裕紀(Team
Scot)は、初めてのコースながら16番手スタート。2日目の大幅タイム短縮に期待された。
125ccクラスは、ミカ・カリオ(KTM)が暫定PP。Honda勢は、トーマス・ルシが6番手。開幕戦で3位表彰台に立ったファブリツィオ・ライが8番手。エストリルを初めて走る日本人勢の小山知良は13番手、葛原稔永25番手で初日を終えた。 |