9月3日(金)・予選1日目 サーキット:エストリル・サーキット 天候:曇り 気温:26℃ コースコンディション:ドライ
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A.バロス
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今年で7回目を迎えるポルトガルGP。80年代にスペインで2度、ポルトガルGPが開催されているが、リスボン近郊のエストリルでグランプリが開催されるようになって今年で5年目となる。エストリルは、大陸移動が続く後半戦を前に行われるヨーロッパラウンドとして、すっかり定着した。エストリルは、ヨーロッパでも有数のリゾート地。新鮮な海の幸が豊富な土地柄で、選手、チーム関係者にも人気の高いサーキットである。
コースは、長いストレートとテクニカルセクションが組み合わされたもので、グランプリの中でも特異なレイアウトを持つ。もっとも速度差が大きく、バンピーな路面とパッシングポイントが少なさは、選手たちに厳しい戦いを強いる。そして、大西洋に面した地理的要因から、風が強く、天候が変わりやすいために、ドライコンディションでは、セッション開始から熱い走りが繰り広げられることでも有名なサーキットだ。
開幕前日は激しい雨となった。予選1日目は雨こそ上がったが雲の多い空模様。今年も不安定な天候が予想され、初日から熱い戦いが繰り広げられることになった。その熱い戦いに、残念ながらニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)は参加することができなかった。前戦チェコGPの後、イタリアで行われたイベントに参加。そのままイタリアに残り、ポルトガルGPに向けてトレーニングに励んでいたが、スーパーモタードで走行中に転倒、右肩鎖骨を骨折、今回の欠場を決めた。ヘイデンは、ポルトガルGPに向けて、骨折した箇所の手術を行った。順調に回復に向かい、ヘイデン自身は、出場に意欲を見せたが、次戦日本GP以降、より完全な体調で出場するために、チームと協議の結果、欠場することを決断した。
ヘイデンを欠いたHonda勢だが、MotoGPクラスに出場する5台のHonda勢すべての選手が順調なスタートを切った。暫定PPは、Honda時代に、このサーキットで3連勝を飾っているバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)。僅差でセテ・ジベルノー(Team Telefonica Movistar Honda MotoGP)、アレックス・バロス(Repsol Honda Team)と続き、4番手に玉田誠(Camel Honda)、5番手にマックス・ビアッジ(Camel Honda)、7番手にコーリン・エドワーズ(Team Telefonica Movistar Honda MotoGP)と、すべてのHonda勢が上位につけた。
その差、わずか0.031秒差。チャンピオン争いを繰り広げるロッシに、この日、首位を譲ったジベルノーだが、その表情は明るかった。前戦チェコGPでは、今季3勝目を飾っている。シーズン前半戦の強さが完全に復活したジベルノーは、この日も、念願の初タイトル獲得に向けて素晴らしい走行を披露した。ベストタイムではロッシに首位を譲るも、予選の内容では圧倒的な仕上がりを見せた。こうしてハイアベレージで好ラップを刻んだジベルノーの走りは、チェコGPからの連勝を十分に期待させるものだった。
そのジベルノーに負けず劣らずの走りを見せたのが、3番手につけたバロスだった。フリー走行では、開始早々に濡れた路面に足元をすくわれて痛恨のスリップダウンも、その後、快調にラップを刻んでトップタイム。予選でもトップから0.179秒差の3番手。決勝を想定したロングランでも、ジベルノーに匹敵する快走を披露。前戦チェコGPでは、トップグループで優勝争いに加わるも痛恨の転倒を喫しているだけに、その雪辱に期待が膨らんだ。
4番手には今季2勝目を目指す玉田誠。決勝用のタイヤでは、満足なセッティングにならなかったが、予選用タイヤのアタックでは見事4番手につけた。2日目のセッティングが順調に進めば、今大会のダークホースとして注目を集めるだろう。ビアッジも今大会は好調だ。予選のアタックでは5番手に沈むも、ジベルノー、バロスと並ぶレベルの高い走りを披露。前戦チェコGPでは、チャンピオン争いをするロッシとジベルノーに遅れを取ったが、今大会では、その雪辱に闘志を燃やす。エドワーズもまた7番手と、2日目のさらなるポジションアップに期待が膨らんだ。
250ccクラスは、セバスチャン・ポルト(アプリリア)が暫定PPを獲得。2番手には、0.007秒という僅差でトニー・エリアス(Fortuna Honda)。さらに、0.034秒差でダニエル・ペドロサ(Team Telefonica Movistar Honda 250)と上位陣は大接戦。青山博一(Team Telefonica Movistar Honda 250)も、初めてのエストリルを順調に攻略。セッション中に転倒を喫したが、それでも6番手と、まずまずのポジションで初日を終えた。
125ccクラスは、総合首位に立ち、初のタイトル獲得に確実に前進するアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Honda)が、ここでも快調な走りで暫定PPを獲得。2番手にシモン・コルシ(Honda)と、このクラスもHonda勢が好調なスタートを切った。
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