7月2日(金)・予選1日目 サーキット:ネルソン・ピケ・サーキット 天候:晴れ 気温:27℃ コースコンディション:ドライ
|
 |
|
玉田誠
|
ブラジルGPの歴史は短く、96年から定着した7回のリオGP(98年を除く)を含めて、これまで12回開催されている。1987年から89年までの3年間は、ブラジルの首都ブラジリアに近いゴイアニアでブラジルGPが開催された。92年にはサンパウロのインテルラゴス。その後、95年にリオ・デ・ジャネイロのネルソン・ピケ・サーキットでブラジル戦が復活、以来、同サーキットで「リオGP」として開催されている。
過去7回のリオGPでは、Hondaが6勝と圧倒的な強さを発揮してきた。特に、この4年間は、Hondaで3年連続チャンピオンに輝いたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が、連続優勝している。それだけに今年は、ヤマハに移籍したロッシと、Honda勢の戦いに大きな注目が集まる。
ネルソン・ピケ・サーキットは、オーバルコースとグランプリコースが組み合わされているコース。南アフリカGPのウェルコム、日本GPのツインリンクもてぎと同じような形態だが、このふたつのサーキットと決定的に違うのは、そのオーバルコースの一部を使用すること。全体的に中速コーナーが多く、オーバルコースの一部を使用するストレート部分では、時速330km近い最高速をマーク。前戦オランダGP同様、ハイペースなバトルが演じられるコースでもある。
しかし、このサーキットは、南アフリカのウェルコム同様、レースの開催数が少ないために、路面コンディションが悪く、さらに、グランプリでもっともバンピーな路面が、選手たちを苦しめることでも有名だ。今年は、例年より2ヶ月から3ヶ月早い開催。この時期は、雨が少なく、気温も高いことから、タイヤにも選手にも厳しいレースとなることは必至の状況となった。
そんな中で開幕したリオGP。午前中のフリー走行では26℃、午後の予選では27℃の最高気温を記録した。その陽射しの強さは、国土のほとんどを、熱帯および亜熱帯気候が占めるブラジルらしいものだが、その一方で、この時期のリオ・デ・ジャネイロは、湿度は低く、暑いけれど過ごしやすい気候でもある。
こうして、先週のオランダGPとは対照的に、リオGPは終日、好天に恵まれた。フリー走行では、このサーキットで圧倒的な強さを発揮するロッシがトップタイムをマークしたが、予選ではセテ・ジベルノー(Team Telefonica Movistar Honda MotoGP)が2番手以下に0.679秒の大差をつける好走で暫定PPを獲得。2番手には、昨年の大会でMotoGP初表彰台を達成した玉田誠(Camel Honda)、3番手には、地元グランプリにファイト満々のアレックス・バロス(Repsol Honda Team)と、Honda勢が上位を独占。さらにマックス・ビアッジ(Camel Honda)7番手、ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)8番手とトップ10に4台のHonda勢が入り、予選用タイヤのアタックに失敗したコーリン・エドワーズ(Team Telefonica Movistar Honda MotoGP)は12番手だった。
今季2回目の2週連続開催。先週のオランダGPから、海を越え、赤道を越えて舞台は南アメリカへ。グランプリ史上でも珍しい強行日程となったが、グランプリサーカスは見事、リオに移動を果たした。そして、今大会もっとも闘志を燃やしているのは、過去3戦連続でロッシの前に2位に終わっているジベルノーだった。それだけに初日から気迫満点。ロッシが得意とするリオGPで、雪辱を果たす意気込みに溢れていた。
その闘志溢れる走りは、午前中のフリー走行から爆発した。このセッション、最終的に3番手に終わったが、ロッシと目まぐるしくポジションを入れ替える熱い走りは、4戦ぶりの優勝を期待させるものだった。そして午後の予選では、フリー走行から引き続き決勝用のセットアップを順調に進め、最後に行った予選用タイヤのアタックでは、2番手以下に0.679秒の大差をつける快走を披露、今季3勝目に向けて大きく前進した。
もうひとり、地元グランプリを迎えたバロスも、ジベルノー同様、前戦の雪辱に闘志を燃やしている。オランダGPでは、トップグループにからみながらも痛恨の転倒を喫している。それだけに、地元リオGPでは、Honda移籍後初優勝を狙う意気込み。バロスは、2週連続開催というハードスケジュールを縫って、サーキット入りする前日まで、マナウスにあるHondaマナウス製作所をヘイデンとともに訪問、社員の大歓迎を受けていた。その声援の中で今大会の必勝を期したバロスだが、フリー走行では前戦オランダGPの転倒で痛めた左手の影響で8番手も、予選では3番手に浮上した。
玉田誠も、昨年のリオGPでは、デビューシーズン初の表彰台3位を獲得。「大好きだ」というサーキットで、フリー走行から快走、予選では2番手に浮上した。過去2戦表彰台から遠ざかっているビアッジも、予選7番手から2日目のジャンプアップに闘志。昇り調子のヘイデンも、バンピーで荒れた路面をものともしない走りで、フリー走行2番手と快調なスタート。予選は8番手だったが、2日目のポジションアップに期待を膨らませた。エドワーズも、決勝用のセットでは、十分に優勝を狙える好走。しかし、予選タイヤのアタックに失敗して12位に終わっているだけに、2日目のポジションばん回に大きな期待が集まる。
250ccクラスは、ランディ・デ・ピュニエ(アプリリア)が暫定PPを獲得。Honda勢は、6戦を終えて、2回の優勝を含む5回の表彰台で総合首位のデ・ピュニエを猛追するダニエル・ペドロサ(Team Telefonica Movistar Honda 250)が4位。過去2戦表彰台に立って昇り調子のトニー・エリアス(Fortuna Honda)が5位、ロベルト・ロルフォ(Fortuna Honda)8位、リオGP初体験の青山博一(Team Telefonica Movistar Honda 250)は、バンピーな路面に苦戦して14番手に終わったが、若手が揃うHonda勢は、2日目のポジションアップが必至の状況となった。
125ccクラスは、ヘクター・バルベラ(アプリリア)が暫定PP。Honda勢は、6戦を終えて総合トップのアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Honda)18歳が6番手。以下、ジュリアン・シモン(Honda)、シモン・コルシ(Honda)と、ともに17歳の若手が続いた。125ccクラスは、バンピーで滑る路面に苦しんだ選手が多いだけに、路面グリップが上がる2日目は大きく変動する可能性が大きく、Honda勢の上位進出が期待される。 |