6月24日(木) ・予選1日目
サーキット:アッセン・サーキット 天候:雨 気温:14℃ コースコンディション:ウエット
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S.ジベルノー
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グランプリで、もっとも長い歴史と伝統を誇るオランダGP(ダッチTT)が、24日、オランダ北東部のアッセンで開幕した。「ダッチTT」は、1925年に第1回大会が開催された。WGPがスタートした1949年からは「オランダGP」となり、今年で56回目(ダッチTTとしては74回目)を迎える。アッセンは、56年に及ぶ世界グランプリの歴史の中で、唯一、休むことなくグランプリが開催されてきた伝統あるサーキットでもある。
「ダッチTT」がスタートした1925年から54年までは、公道コースが使われた。55年には、一部公道を使用する7.7kmのサーキットが作られ、現在は6.027km。右コーナー14、左コーナー9とコーナーの数も多く、もっともスピードが落ちるシケイン、そしてヘアピンを除き、中速、高速コーナーが続くため、ほとんどのコーナーでアクセル全開。常にバイクが右に左にバンクしているという独特なコースレイアウトにより、平均時速180km前後に達し、グランプリが開催されるサーキットの中でもっともアベレージの高いコースとして有名だ。
アッセンは、天候が変わりやすく雨の多い場所でもある。過去のレースでも、雨に見舞われることが多く、昨年も雨のレースとなり、セテ・ジベルノー(Team Telefonica Movistar Honda MotoGP)が優勝している。また、過去10年の大会でも、Hondaは9回の優勝を誇る。ライディングテクニックはもちろん、エンジン、車体の総合力が問われるコースで勝ち続けて来ただけに、過去2戦優勝を逃しているHondaにとって今大会は、シーズン3勝目を懸けた重要な戦いでもある。
終日雨となった予選では、その期待に応えて、ジベルノーが素晴らしい走りで暫定PPを獲得。2番手にアレックス・バロス(Repsol Honda Team)。ドライコンディションはもとより、雨に強い2人が好スタートを切り、コーリン・エドワーズ(Team Telefonica Movistar Honda MotoGP)8番手、マックス・ビアッジ(Camel Honda)10番手とトップ10にHonda勢が4台。難しいコンディションの中で、まずまずのスタートを切った。ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)は15位、玉田誠(Camel Honda)は17位だった。
この日は、断続的に強い雨が降る1日となった。フリー走行では、カルロス・チェカ(ヤマハ)が2分14秒799でトップタイム。Honda勢は、午後の予選に向けて雨のフィーリングをつかむ走行に徹し、バロスが2分16秒193で5番手。ビアッジ6番手で最初のセッションを終えた。スーパーバイク時代に、このコースを得意とし、何度も優勝しているエドワーズはRC211V初走行となるアッセンを確実に走って15番手。リアのスピニングに悩まされた玉田は17番手。時折、雨足が強まるコンディションの中で痛恨の転倒を喫したヘイデンは20番手と波乱のスタート。一方、雨の第2戦スペインGPで優勝、昨年のオランダGPの覇者ジベルノーは、わずか6ラップを走って23番手に終わっていたが、午後の予選に向けて自信をのぞかせていた。
その自信は、さらに雨足の強くなった午後の予選で、見事に証明される。フリー走行をほとんど走っていないジベルノーが、周回を重ねるごとにタイムを短縮する快走を披露。1時間のセッションが終わったときには、2分12秒540という素晴らしいタイムで暫定PPを獲得。2位のバロスに1.183秒差という圧倒的な速さで4戦連続PPに王手を掛けた。
2番手のバロスも、今大会は、初日から好調な走りを見せる。過去2戦、イタリア、カタルニアで昇り調子をアピールしてきたが、この日、雨の予選で見せた走りは、本来の調子を確実に取り戻したように見えるリズムあるもの。ジベルノーとともに、今大会の優勝候補のひとりに浮上したことを感じさせていた。
その2人の走りには及ばなかったが、周回を重ねるごとにタイムを上げるエドワーズが、フリー走行の15番手から8番手に浮上。フリー走行で6番手と好調なスタートを切ったビアッジは、セッティングにややつまずいて10番手も、2日目の予選では、ともにフロントローを狙う存在。フリーで転倒を喫したヘイデンは、さらに強くなった雨の中で15番手と確実に走り切り、フリー走行の問題を解決できなかった玉田も17番手と苦戦したが、問題点がクリアなだけに、2日目の予選に向けて期待をつないだ。
250ccクラスは、アンソニー・ウェスト(アプリリア)が暫定PPを獲得。Honda勢は、今大会からニューシャシーを使用するロベルト・ロルフォ(Fortuna Honda)が5番手とまずまずの走り。アレックス・デボン(Honda)が6番手に続き、開幕から5戦連続フロントローに並び、すでに2勝を含む4回の表彰台に立っているダニエル・ペドロサ(Team Telefonica Movistar Honda 250)は、ロルフォとともにニューシャシーで予選に挑み8番手。アッセンを初めて走る青山博一(Team Telefonica Movistar Honda 250)は、予選では転倒を喫し15番手に終わったが、フリー走行では5番手と健闘し、2日目のポジションアップに自信をのぞかせた。
125ccクラスは、ヘクター・バルベラ(アプリリア)が暫定PP。Honda勢ではシモン・コルシ(Honda)が3番手と健闘。今季2勝を挙げて総合首位に立つアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Honda)が4番手。2日目のポジションアップに期待をつないだ。 |