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Repsol Honda Teamの2人が、優勝と3位を獲得 |
3週連続のグランプリ開催。その最後のレースとなるオーストラリアGPは、メルボルン郊外のフィリップアイランドで開催された。前戦マレーシアGPでは、バレンティーノ・ロッシ(Repsol Honda Team)が素晴らしい走りで今季7勝目を飾り、チャンピオンを決めた。そして、リオGP、パシフィックGP、マレーシアGPと3戦連続で表彰台独占を果たしているHonda勢は好調の波を持続したまま、3連戦の最後の戦いを迎えることになった。
過去2年、オーストラリアGPを制しているのは、3年連続チャンピオンを決めたロッシで、今年も当然のように優勝候補の筆頭。タイトル争いのプレッシャーからも開放されて、ロッシ本来の“速さ”に注目が集まった。
予選初日、フリー走行でトップタイムをマークしたのは予想通りロッシ。最初の走行で、昨年までのサーキットベストタイムを更新する快走を見せ、早くもライバルを圧倒。トロイ・ベイリス(Ducati)、ロリス・カピロッシ(Ducati)、ギャリー・マッコイ(Kawasaki)と続き、マックス・ビアッジ(Camel Pramac Pons)5位、ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)6位、セテ・ジベルノー(Team Telefonica Movistar Honda)8位、宇川徹(Camel Pramac Pons)10位とやや混戦ムード。しかし、フィリップアイランドは中高速コーナーが連続するハイスピードテクニカルコースだけに、Honda勢はセッティングに専念する選手も多かった。
そして午後の予選では、ロッシがさらにタイムを更新して暫定PPを獲得。カピロッシ、ベイリスと続き、ビアッジ4番手、ジベルノー5番手、ヘイデン6番手と、まずまずの走りを見せた。
初日の予選は、フィリップアイランドとしては絶好のコンディションとなる気温17℃無風。2日目はやや風が強くなるが、気温は25℃まで上昇。天候が不安定なことで有名なフィリップアイランドだが、2日間ともに、これまでにない素晴らしいコンディションのなかで予選アタックが繰り広げられることになった。
フリー走行では、ここまで完璧な走りを見せているロッシが決勝を想定した走りでトップタイム。ライバルを圧倒する走りは午後の予選でも健在で、昨年のサーキットベストタイムを約1.8秒も更新するスーパーラップで今季8回目のPPを獲得した。以下、カピロッシ、ジベルノー、ベイリスの順でフロントロー。2列目には、ヘイデンが今季最高位の5番手。ビアッジ6番手、宇川8番手と、2列目までに5台のHonda勢が並ぶことになった。
迎えた決勝レース。好天に恵まれた2日間の予選から一転、激しい雨の中で朝のウオームアップ走行が行われた。そして125ccクラスは強い雨が降る中で決勝が行われ、250ccクラスは雨こそ止んだがウエットコンディション。最後の決勝レースとなったMotoGPクラスは天候が回復して、辛うじてドライコンディションとなった。しかし、14℃という低い気温と路面温度は、選手たちにとって、タイヤの選択とセッティングが大きく変わるために厳しい戦いとなることが予想された。
ホールショットを奪ったのはベイリス。すかさずジベルノーがトップを奪い、オープニングラップを制した。その後方には、ベイリス、マルコ・メランドリ(Yamaha)、カピロッシ、ヘイデン、ロッシ、ビアッジと続く。毎年大接戦が繰り広げられるフィリップアイランドだが、今年も序盤から激しい戦いとなった。
このレース、タイトル争いから開放されたロッシの走りは、今季最高の素晴らしさだった。序盤こそ様子見の走りでトップ集団の後ろにつけていたが、4周目に4番手、5周目にトップに立つと、後続をぐいぐいと引き離す快進撃を見せた。
しかし途中ベイリスの転倒で、ロッシは黄旗追い越しのために10秒のペナルティを科せられてしまう。それを知ったロッシは猛然とスパート。27周を終えたときには2位のカピロッシに約15秒の大差をつけ、10秒のハンディキャップをあっさりと跳ね返すことに成功して、今季8勝目を飾った。
2位にはカピロッシ。3位には、ジベルノーと宇川とのし烈な3位争いを制したヘイデンが入り、MotoGP初表彰台登壇。そして、ヘイデンと激しい戦いを演じたジベルノーが4位、宇川5位とHonda勢は表彰台独占こそ逃したが、トップ5のうち4台という大活躍だった。以下、玉田誠(Pramac Honda Team)10位、序盤にコースアウトして大きく遅れたビアッジは17位、清成龍一(Team Telefonica Movistar Honda)19位という結果だった。
250ccクラスは、予選8番手からスタートしたロベルト・ロルフォ(Fortuna Honda)が雨のレースを制して今季2勝目。トップのマニュエル・ポジアーリ(Aprilia)に7ポイント差と迫り、タイトル決着は最終戦に持ち越した。激しい雨の中で行われた125ccクラスは、アンドレア・バレリーニ(Ajo Motorsports)が初優勝、2位に東雅雄(Ajo Motorsports)と、Honda勢が1-2フィニッシュ。これでHondaは、今季初の3クラス制覇を成し遂げた。
■Moto GP ●バレンティーノ・ロッシ(優勝) 「今日は信じられないレースだった。サインボードでマイナス10秒と出たときには、何が起きたのかまったく理解できなかった。でも、次の周回にポジションが8と出たときに、やっと理解することが出来た。それからは100%で走ったし、最後は勝つことが出来て嬉しい。今日は、いいリズムで走れた。序盤はスタートが良くなかったし、風が強いこと、他の選手のブレーキングがアグレッシブだったことなどあり、なかなか前に行くことが出来なかった。優勝した後は、僕の尊敬するバリー・シーンの“7”の旗を持って走った。彼は世界チャンピオン以上の人だったからね」
●ニッキー・ヘイデン(3位) 「この数戦、トップライダーたちとバトルすることが出来るようになっていたし、今日は何としても表彰台が欲しかった。それをついに手にすることが出来て本当に嬉しい。この表彰台はチームみんなのものだと思うし、Honda、チーム、スポンサーに感謝したい。今日はロッシとカピロッシについていきたかったが、何回も小さなミスをしてポジションを下げてしまった。最後は宇川とジベルノーを攻略出来たし、とっても嬉しかった」
●セテ・ジベルノー(4位) 「今回は予選で転んで、雨のウオームアップでも転んでしまった。そのためにセカンドバイクで走らなくてはならなくて、厳しい戦いになってしまった。スタートは良かったが、シフトダウンがうまくいかなくて苦しかった。それで、チャンピオンシップのことを考えて着実に走ることを決めた。次のバレンシアはホームGPだし、表彰台はもちろん、優勝を狙って行きたい」
●宇川徹(5位) 「2日間の予選と決勝のコンディションが、あまりにも違ってしまって、厳しいレースになってしまった。セッティングも完全なドライ仕様ではなかったし、ペースが上がってからは、苦しい走りになってしまった。ヘイデンとジベルノーに前に行かれて、表彰台に立てなかったのは残念。最終戦は何としてもいい結果を残したい」
●立川章次監督 「今日は難しいコンディションのレースになった。そういう状況のなかで、ロッシは今回も落ち着いたレースを見せてくれた。途中、イエローフラッグで10秒のペナルティが加算されたが、それを跳ね返す走りはさすがだった。ヘイデンも素晴らしい走りをして、表彰台に立った。これまでの成長を感じさせてくれたし、最終戦はもちろんのこと、来年が楽しみだ。今回はRepsol Honda Teamとして2人揃って表彰台に立ち、3クラスで優勝することが出来た。Hondaとしては素晴らしい1日となった」 |