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"ダッチウェザー"に見舞われるも快走を見せたジベルノー |
1925年に始まり今年で73回目を迎えるダッチTT。1949年に始まったロードレース世界選手オランダGPは、”ダッチTT”とともに歴史を刻んできたが、今大会はダッチTT第1回大会以来、累計1000万人を超える観客数を記録した。
決勝日は、1000万人目の入場券を手にしたファンに、Honda CBR600RRがプレゼントされた。
オランダGPが行われるアッセンは、天候が不安定なことで有名なサーキット。今年も、2日間の予選こそ快晴となったが、決勝日は雨が降ったり止んだりの”ダッチウェザー”となり、選手、チームにとって厳しい戦いとなった。
快晴に恵まれた2日間の予選でPPを獲得したのはロリス・カピロッシ(Ducati)。2番手には初日から好調な走りを見せたマックス・ビアッジ(Camel Pramac Pons)で、初日のフリー走行と予選、2日目のフリー走行でトップタイムをマークして絶好調のバレンティーノ・ロッシ(Repsol Honda Team)は、最後のアタックでタイヤの選択にミスして3番手に終わった。しかし、コンスタントにハイアベレージな走りをキープ、2日間を通じてライバルを圧倒することになった。
以下、セテ・ジベルノー(Team Telefonica Movistar Honda)7番手、宇川徹(Camel Pramac Pons)11番手、ニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)12番手と、PPのカピロッシから約1秒差という僅差の中で予選を終えた。
アッセンは、グランプリでもっとも難しいコース。初日26℃、2日目29℃と、絶好のコンディションの中でアッセン攻略に全力を尽くした玉田誠(Pramac Honda Team)は18位、清成龍一(Team Telefonica Movistar Honda)も22位と苦しいグリットから決勝を迎えることになった。
決勝日は、2日間の予選とは一転、断続的に雨が降る”ダッチウェザー”となる。125ccと250ccはウェットコンディション。最後の決勝レースとなったMotoGPクラスは、辛うじてドライコンディションでグリットにつくことになったが、ウォームアップで再び激しい雨となり、「ウェットレース」が宣言されて再スタートが切られることになった。
好スタートを切ったのは予選3番手のロッシ。予選2番手のビアッジがピタリとマーク。さらに2列目から好スタートを切ったジベルノーがその二人の後方につけてHonda勢がレースの主導権を握る。そして1コーナーのブレーキングでロッシとビアッジをかわしたジベルノーがホールショットを奪うことになった。
レースはその後、ジベルノーとビアッジ、やや遅れてロッシとトロイ・ベイリス(Ducati)が接近戦を繰り広げる。その中からベイリスが転倒で脱落。優勝争いは、ジベルノー、ビアッジ、ロッシの3人に絞られ、雨の第4戦フランスGPで今季2勝目を飾っているジベルノーが、中盤過ぎに独走状態を築き、続くビアッジに約10秒の大量リードで3勝目を飾った。
2位には、中盤以降、タイヤのスライドに苦しんだビアッジで、後半、そのビアッジを激しく追ったロッシが3位。第2戦南アフリカGPに続いて、Honda勢が今季2回目の表彰台独占を果たした。
その後方では、ヘイデン11位、宇川12位、玉田16位、清成17位でフィニッシュ。雨のレースに苦戦したが、Honda勢は全車が完走を果たした。
これで、ロッシ、ジベルノー、ビアッジの3人がチャンピオンシップポイントでも4位以下を圧倒。コンストラクター、チームポイントでも、Hondaがトップを守った。
250ccクラスはアンソニー・ウェスト(Aprilia)が優勝、5位セバスチャン・ポルト(Telefonica Movistar jnr Team)、6位ロベルト・ロルフォ(Fortuna Honda)。125ccクラスは、スティーブ・イエンクナー(Aprilia)が優勝、トーマス・ルシ(Elit Grand Prix)7位。ダニエル・ペドロサ(Telefonica Movistar jnr Team)は8位だったが、総合ポイントでトップをキープした。東雅雄(Ajo Motorsports)は転倒リタイアと残念な結果だった。
■Moto GP ●セテ・ジベルノー(優勝) 「オランダGPはいつもそうだが、木曜日に予選が始まって、どうも調子がつかめなかった。しかし、2日目の予選、決勝前のウォームアップとだんだんいい走りができるようになった。ウォームアップで2番手になったときは今日はいいレースができると思った。雨が降って厳しいレースになったが、マシンもタイヤも完璧で、最後まで自分のリズムで走ることができた。優勝できて本当に嬉しい」
●マックス・ビアッジ(2位) 「いいスタートが切れたし、一周目からいいポジションにつけることができた。今日はジベルノーとの戦いになったが、彼のペースについていくのは難しいことではなかった。しかし、マッコイを抜くのに手間取って、それからはジベルノーを追うのが難しくなった。後半はタイヤのスリップも激しくて2位をキープすることにした。難しいレースだったが、チームが素晴らしい仕事をしてくれた」
●バレンティーノ・ロッシ(3位) 「レースは3位で終わってしまったが、チャンピオンシップではまだリードがあるし、結果としていいレースだったと思う。それにしても、今日のペースは、雨としては凄く速かったと思うし、ドライとラップタイムの差が10秒ちょっとしかなかったのは驚きだった。序盤は100%で走ったが、ヘルメットの中に水が入って前が見えなくて苦しかった。次のドニントンは、ぜひ、ドライで走りたい」
●ニッキー・ヘイデン(11位) 「グリットが悪く、後方から追い上げるのは厳しかった。とにかく前が見えなくて、こんなに前が見えないレースは初めてだった。レース中は、何人もの選手とバトルしたし、宇川選手の前でフィニッシュすることができた」
●宇川徹(12位) 「ここは250cc時代に雨のレースで勝ったこともあるし、自分としては自信があった。しかし、いい走りをすることができなかった。人間が乗れていないことを感じるし、今は何を言っても言い訳になってしまう。同じバイクとタイヤでHondaが勝っているんだからね。今回は言うべき言葉もない」
●立川章次監督 「今日はHondaにとっては、完璧なレースでした。雨に強いジベルノーがレースを引っ張る形になり、ビアッジとロッシがそれを追う形となった。ジベルノーはフランスの優勝で自信をつけているし、今回はそれを証明する形となった。HRCのいろんなバックアップでベストなセッティングで走れたこともあるが、本人の努力もある。次のドニントンもいい結果を残せるようにしたい」
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