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ジベルノーが最終周の最終コーナーで
ロッシをかわして優勝した |
フランスGPの舞台に復帰して今年で4年目を迎えたル・マンサーキット。昨年は不順な天候によって波乱に満ちた決勝レースとなったが、実力を発揮したバレンティーノ・ロッシ(Repsol Honda Team)が優勝、宇川徹(Camel Pramac Pons)が2位とHonda勢が大活躍した。果たして、今年もMotoGPクラスは波乱のレースとなり、Honda勢がレースの主導権を握った。
2日間の予選を終えて、PPを獲得したのはロッシ。2日目の予選が雨となったため、初日のベストタイムで今季2回目のPPが決まった。アレックス・バロス(Yamaha)、ロリス・カピロッシ(Ducati)、マルコ・メランドリ(Yamaha)と続き、マックス・ビアッジ(Camel Pramac Pons)が5番手、セテ・ジベルノー(Team Telefonica Movistar Honda)が7番手、宇川が8番手と、2列目までの8人中4人をHonda勢が占めており、決勝レースの活躍に期待が膨らんだ。このコースで走るのは初めてのニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)は13番手で、玉田誠(Pramac Honda Team)は15番手、今大会から出場の清成龍一(Team Telefonica Movistar Honda)は23番手から決勝に挑むことになった。
迎えた決勝日。前日の雨は上がったが、依然として雲が厚い。朝のウオームアップ走行はコース上にパッチが残る難しいコンディションだったが、決勝レースはドライコンディションでスタートが切られた。
ホールショットを奪ったのはカピロッシ。しかし、ほどなくしてロッシが難なくトップに浮上すると、後続をぐいぐいと引き離し、今季3勝目に向けて好調な走りを披露した。その後方では、バロス、宇川、ビアッジ、ジベルノーがセカンドグループを形成。し烈な2位争いを繰り広げた。
折り返し点を迎えた15周過ぎ、今年もまたル・マンでのレースが雨のために中断した。ウェットレースが宣言された第2レースは、13周で行われることになった。今年からMotoGPクラスのルールが改正され、中断された場合はその時点の順位でグリッドに並び、残り周回数の戦いで順位を決めることになった。
2回目のスタートでホールショットを奪ったのは2番手スタートのバロス。これにロッシとジベルノーが続いたが、第2レースはタイヤの選択が大きく勝負を分けることになった。トップグループを形成する3人はレインタイヤをチョイスして後続を一気に引き離す好走を見せた。終盤はロッシとジベルノーの一騎打ちとなり、最終ラップまで激しい抜き合いが続いたが、最終コーナーでロッシを交わしたジベルノーが今季2勝目を飾った。
一方、サスペンションの問題でピットスタートになった宇川と、カットスリックからレインタイヤに変更したために同じくピットスタートになったビアッジは、最後尾から追い上げるレースとなり、ビアッジ5位、宇川7位でフィニッシュ。カットスリックを選択したヘイデンは12位、MotoGPデビュー戦の清成は13位で完走を果たした。玉田は第2レースで惜しくも転倒リタイヤ。
10位以下が周回遅れとなる波乱に満ちたレースだったが、Honda勢は開幕から4連勝を収めた。2勝2位2回のロッシがランキング首位をキープし、2位ビアッジ、3位ジベルノーとチャンピオンシップでもHonda勢が上位を独占する結果となった。
250ccクラスはトニー・エリアス(Aprilia)が今季2勝目を挙げた。ランディ・デ・ピュニエ(Aprilia)とし烈な2位争いを繰り広げたロベルト・ロルフォ(Fortuna Honda)は3位と健闘した。
125ccクラスはダニエル・ペドロサ(Telefonica Movistar jnr Team)が今季2勝目を収め、ランキングでも単独首位に浮上。東雅雄(Ajo Motorsports)は燃料系のトラブルで10位と、悔しい結果に終わった。
■Moto GP
●セテ・ジベルノー(優勝)
「第2レースはタイヤの選択にすごく悩んだが、最終的にレインタイヤに決めた。周りを見るとカットスリックを選んでいる選手も多かったが、自分の決断が正しいと信じていた。最終ラップのロッシとの戦いは、完全に限界を超えていた。家に帰って、最終ラップの戦いを振り返ってみたい。前回のスペインからワークスマシンに乗っているが、乗るたびに慣れてきている。しかし、ドライではまだロッシのようには乗れていないと思うし、次のイタリアでは自分の走りに集中したい」
●バレンティーノ・ロッシ(2位)
「勝てなかったのは残念だが、ファンにいいレースを見てもらえたと思う。最初のドライコンディションのレースはいい走りが出来たが、ウェットレースはすごく難しかった。最後までジベルノーを抜こうと全力を尽くした。抜くことは出来なかったが、こういうレースで2位になり20ポイント獲得できたことは、チャンピオンシップを考えれば最高の結果だったと思う」
●マックス・ビアッジ(5位)
「今日の結果には納得している。なんたって、ピットスタートから5位になれたんだからね。レースがもう少し長ければ4位のジャックも抜けたと思う。グリットについたときにはインターミディエイトがベストの選択だと思ったが、ウオームアップで走り出したときにレインタイヤへのチェンジを決断した。今日、ジベルノーが勝ったことは、これからのチャンピオンシップを考えればいい結果だった」
●宇川徹(7位)
「最初のレースはスタートに失敗したが、いいリズムで走れるようになって3位まで上がることができた。ウエットのレースは、サスペンションの問題でピットスタートになって、追い上げるのが難しかった。とても残念だ」
●ニッキー・ヘイデン(12位)
「今日のレースは、とても貴重な経験だった。第1レースはトラブルがあって思うように走れなかった。第2レースはタイヤの選択に失敗した。納得するにはほど遠い結果だったが、こういう状況のレースでどうすればいいのかということを学ぶ上では、いい経験だったと思っている」
●立川章次監督
「難しいコンディションのレースだった。優勝したジベルノーは、確かに危ういシーンもあったが、最後まで我慢する走りを見せてくれたと思う。ドライのままならロッシにアドバンテージがあったと思うが、ロッシもまた、あの難しい状況の中で最後までしっかりと走ってくれた。こういう難しいレースで勝てたことは、素直に嬉しい」
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