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ダニ・ペドロサ

2013年4月2日(火)

スペイン・ヘレス公式テストレポート

ダニ・ペドロサ ステファン・ブラドル ステファン・ブラドル マルク・マルケス マルク・マルケス アルバロ・バウティスタ ブライアン・スターリング

開幕戦カタールGP(4月7日決勝)に向けて、最後の調整の場となる公式テストが、3月23日(土)から25日(月)までの3日間、スペインのヘレスで行われました。テスト初日は、終日のウエットコンディション。2日目はウエットからドライ。3日目もウエットからドライという不安定な天候となりましたが、開幕戦カタールGPに向けて、Honda勢は最後の調整を行いました。

Repsol Honda Teamは、2月にマレーシアのセパンで2度の公式テストに挑み、3月中旬には2013年にMotoGP初開催となるアメリカ・テキサス州オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで、3日間のプライベートテストを実施。順調にプログラムを消化し、開幕戦カタールGPに向けての最終チェックを行いました。

昨年、シーズン最多勝利の7勝を挙げて総合2位となったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、マレーシアで行われた2度の公式テストで順調にメニューを消化し、ほぼ万全の状態を築きました。オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズでは、ニューコースの攻略とセットアップを行い、今季初開催のサーキットへの準備を整えました。そして、開幕に向けて最後のテストとなったスペイン・ヘレスでは不安定な天候が続き、思ったように周回はできませんでしたが、ウエットコンディション、ドライコンディションともに最終確認を済ませ、準備万全をアピールしました。

ペドロサは初日のウエットコンディションでは、雨量の多い時間帯に積極的な走行を行って2番手タイムをマークしました。ドライコンディションになった2日目は、タイヤのテストに多くの時間を割き、ここでも最終確認に重点を置く走りで4番手タイム。最終日は、ウエットコンディションで一日が始まり、マレーシアとアメリカ、そして2日目までにマシンの準備を整えていたペドロサは、最終日の走行をキャンセルすることを決めました。そのため、最終テストでトップタイムをマークすることはありませんでしたが、それだけに万全の状態をアピールすることになりました。今年はRepsol Honda Teamで8年目のシーズン。念願のチャンピオン獲得に向けて、いよいよ開幕戦を迎えることになります。

昨年のMoto2クラスチャンピオンで、ルーキーのマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、マレーシア、アメリカ、そして今回のヘレスと、周囲に多くの話題を提供し、大きな注目を集めました。マレーシアではペドロサに肉薄するタイムをマークしてルーキーにして総合3番手タイムをマーク。ホルヘ・ロレンソとバレンティーノ・ロッシのヤマハ勢も参加したアメリカ・オースティンでは、3日連続のトップタイムをマークして周囲を驚かせました。今回のヘレステストは、3日間を通じて不安定な天候となり、ウエットコンディションで3番手、ドライコンディションで5番手と、まずまずの内容で最後のテストを締めくくりました。

マルケスにとって、ヘレスはMotoGPマシンで初めて走るサーキット。今回のテストは天候が不安定だったこともあり、セットアップに多くの時間を割きました。そのため、最後までアタックする時間はありませんでしたが、開幕戦カタールGPに向けて、大きな期待を抱かせる内容でした。今年の2月に20歳になったばかり。1982年にフレディ・スペンサーがHondaで樹立した最高峰クラス史上最年少優勝記録更新に、世界中が注目するシーズンとなっています。

2011年のMoto2チャンピオンでMotoGPクラス2年目を迎えるステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、開幕に向けての最後のテストを総合5番手と、手応えのあるリザルトで開幕戦を迎えることになりました。今回のテストでは、ウエットコンディションだった初日とドライコンディションの2日目に転倒を喫しましたが、マシンのセットアップは確実に進み、念願の初表彰台、初優勝に向けて、手応えをつかんだウインターテストとなりました。マレーシアでは、ロングランなど決勝レースを想定したプログラムを積極的に消化。アメリカ、そして今回のテストでも、アベレージを上げるテストを引き続き行い、成果の大きなウインターテストになりました。ルーキーだった昨年の経験と反省を生かし、ウイークポイントの改善に努めたブラドルの今年の活躍が期待されます。

Hondaチームで2年目のシーズンを迎えるアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、2日目のテストで転倒、左手薬指と小指、右ひざなどを負傷したために、3日目のテストをキャンセルしました。ケガはそれほどひどくなく、開幕戦カタールGPには出場できる見込みですが、セットアップが進み、着実にタイムを上げているときの転倒だっただけに、残念な最終テストになりました。しかし、セパンテストで大きなステップを刻み、今回のテストでも、ドライコンディションではいいセットアップを見つけているだけに、開幕戦カタールGPに向けて大きな手応えを感じることになりました。

CRTマシンで出場するチームメートのブライアン・スターリングも総合23番手と前進しました。セパンテストでは、初めてのマシン、初めて経験するMotoGPクラスに順応するテストとなっていましたが、最終テストでは、ウエットでもドライでも順調にタイムを上げて、CRT勢のトップとのタイム差を縮め、開幕戦に向けて大きな弾みをつけました。

ダニ・ペドロサ (1分39秒630 総合4番手)
「ヘレスは3日間ともに天候が不安定でしたが、開幕戦カタールGPに向けて準備はできたと思います。最終日となった3日目は、朝方はドライでしたが、テストが開始されるころに雨が降り始めました。午後になればドライになる可能性もありましたが、このようなコンディションでは改めてテストをする項目もありませんでした。アメリカ・オースティンの最終日に、首の痛みを感じてテストを切り上げていますが、今回もちょっと痛みが出てきましたのでテストをキャンセルすることにしました。今回は初日がウエット、2日目にドライコンディションでテストをすることができました。ウエットでは雨量も多く、さまざまなテストに取り組むことができました。マシンのフィーリングはとてもポジティブでした。2日目のドライでは、これまで行ってきたテストのおさらいという感じで、いろいろなことを再確認するテストになりました。今回、ドライコンディションで走れた時間は短かったですが、マシンの状態はとてもよく、カタールGPに向けて準備は整ったという感じです。とにかく開幕戦が待ちきれない気持ちです」

ステファン・ブラドル (1分39秒975 総合5番手)
「今回は不安定な天候が続きましたが、大好きなカタールGPに向けて準備は整ったという気持ちです。ウエットコンディションになった初日は、ウエットコンディションのベースのセッティングを見つけるのに苦労し、さらに転倒したこともあって、タイムは満足できませんでした。しかし、徐々にタイムを上げていくことができました。ロングランもこなせましたし、タイヤが新品のときと、消耗してからのフィーリングをしっかり感じ取ることができました。2日目のドライコンディションでは、前日の雨の影響だったと思うのですが、フロントの安定感がなく、それを改善するために多くの時間を費やしました。この日も転倒してしまいましたが、その後、セットアップがよくなるに連れてフィーリングは向上し、タイムも上げることができました。最終日も天候が悪く、最後の1時間半くらいしか走れませんでした。しかし、2日目の状態よりよくなっていて、さらに自信を得ることができました。ドライで走ることができた時間が短く、コース上は常に混雑していましたが、それでもまずまずのタイムを出すことができました」

マルク・マルケス(1分40秒130 総合6番手)
「今回はドライとウエットと両方のテストをすることができました。初日は終日のウエットコンディションになりました。ウエットはマレーシアで何周か走っていますが、本格的なウエットコンディションのテストはこれが初めての経験でした。最初は気持ちよく走れませんでしたが、徐々にペースを上げることができました。とにかく、スムーズに乗ることがとても大事だということに気づきましたし、ウエットタイヤの消耗の仕方など、たくさんのことを学ぶことができました。タイヤが消耗してきてからのライディングは自分で工夫していかなければなりませんし、電子制御については、ドライコンディションのときより重要だということも分かりました。2日目は午後からドライコンディションになりました。RC213Vでヘレスを走るのは初めてでしたので、最初はMoto2で走っていたころと同じラインで走りました。次第にMotoGPマシンに合ったラインに変えていきましたが、リアタイヤのグリップを出すのにちょっと苦労しました。この問題の解決に少し時間を掛けすぎた感じでしたが、まだまだタイムを出せるという自信はありました。最終日も天候が不安定でしたが、ウエットだった午前中は、初日に抱えていた問題をかなり解決できましたし、ドライになった最後の1時間も、マシンのセットアップをかなり前進させることができました。ウインターテストを振り返ってみると、正直、自分が期待していた以上の内容でした。とにかく開幕戦を楽しみにしています」

アルバロ・バウティスタ (1分40秒686 総合10番手)
「ドライコンディションになった2日目に転倒し、指とひざを痛めてしまい、テストをキャンセルすることになりました。ドライコンディションでは、いろいろなメニューを消化できましたし、順調にセットアップを進めていました。それだけに残念な転倒でした。転倒したあとに雨になり、3日目もほとんどウエットコンディションだったので、それが少しは慰めになりますが、もっと走りたかったという気持ちです。初日のウエットコンディションは、いろいろなことに取り組んでいる状態でした。ドライコンディションでは、もっといい状態に仕上げられたと思います」

ブライアン・スターリング (1分42秒107 総合23番手)
「今回はドライとウエットの両方のコンディションで走行しましたが、ドライでもウエットでもあまりフィーリングが変わらなかったのがよかったですね。初めて走るサーキットでしたので、毎ラップ、確実にペースを上げていけるように走りました。ヘレスは好きなサーキットです。世界でも、すばらしいサーキットの一つだと思います。このサーキットで、チームの助けもあって、ウエットでもドライでもプッシュすることができました。もう少し天候がよかったら、もっと走り込めたと思いますが、いろいろなことにトライできたということではいいテストになりました。開幕戦カタールGPに向けて、今はすごく気持ちが高ぶっています」