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ダニ・ペドロサ

2013年2月13日(水)

セパン・2013年ポストシーズンテストレポート

ダニ・ペドロサ ダニ・ペドロサ マルク・マルケス マルク・マルケス ステファン・ブラドル アルバロ・バウティスタ

2013年のシーズン開幕を告げるMotoGPクラスの公式テストが、2月5日(火)から7日(木)までの3日間、マレーシアのセパン・サーキットで行われました。今季初となった公式テストには、Repsol Honda Teamからダニ・ペドロサとマルク・マルケス、LCR Honda MotoGPからステファン・ブラドル、GO & FUN Honda Gresiniからアルバロ・バウティスタと、チームメートでCRTマシンで出場するブライアン・スターリングの5選手のHondaライダーが参加しました。

Repsol Honda Teamは、1月24日にマドリッドで発表会を行い、今年はマシンのカラーリングを一新してシーズンに挑みます。昨年は、ペドロサが2012年シーズン最多勝となる7勝を挙げて総合2位。そこに、総合3位のケーシー・ストーナーの5勝を加えると、Repsol Honda Teamはシーズン通算12勝を挙げて、最高峰クラスでは2年連続19度目、通算61度目のコンストラクターズタイトルを獲得。チームタイトルも獲得して2冠を達成しました。しかし、惜しくも個人タイトルは逃すという悔しいシーズンとなり、今年は2年ぶりの3冠獲得を目標とするシーズンになります。

Hondaのエースとして念願の個人タイトル獲得が期待されるペドロサは、Repsol Honda Teamで8年目のシーズンを迎えます。昨年は、シーズン中盤戦に投入されたニューマシンのパフォーマンスを遺憾なく発揮し、シーズン優勝回数や連勝記録など、自己記録をすべて更新しました。昨年はケガもなく、シーズンを通して万全の体調で戦うことができ、今年も万全の状態で初テストを迎えました。今回のテストは、連日30℃前後の最高気温が続き、雨が降ったのはテスト2日目の夕方だけと、天候に恵まれたこともあり、予定していたメニューをすべてこなすことができました。

今回のテストは、今シーズンのエンジン仕様を決める重要なテストとなりました。今年からシーズン中に使用できるエンジンが6基から5基へ。シーズン中のエンジン開発も禁止となり、エンジンのスペックを決めることが、初テストの最重要課題となっていました。3冠奪還を目指すHondaは、ペドロサのリクエストに応え、今回の初テストにいくつかの仕様を準備しました。

ペドロサは、スペックの異なるエンジンで130ラップをこなし、3日連続でトップタイムをマークしました。3日目には、トータルのベストタイムとなる2分00秒100をマーク。ペドロサは「今回はタイムを出すことは目標ではない」と語りながらも、昨年の同時期のテストでマークしたベストタイムの2分00秒256をクリア。念願のタイトル獲得に向けて手応えのあるシーズン初テストになりました。

2度のタイトルを獲得し、昨年を最後に引退したストーナーの代わりにRepsol Honda Team入りしたマルケスも、ルーキーとは思えないすばらしい走りを披露しました。2012年のオフには、バレンシアとマレーシアで、ストーナーが乗っていたRC213Vでテストを行いました。このときのテストで、マルケスはMotoGPマシン初乗りとは思えないすばらしいタイムをマークしました。そしてRepsol Honda Teamの一員として正式なスタートとなった今季初テストでも、2013年型RC213Vで周囲を驚かせる好タイムをマークしました。

初日、2日目は、チームメートでトップに立ったペドロサ、昨年のチャンピオンのホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)に続いて僅差の3番手。最終日の3日目には、4番手へとポジションを1つ落としましたが、マレーシアGPのレース周回数の20周のロングランを実施、2分01秒台で最後まで走りきって、チームスタッフはもちろんのこと、ライバルたちも驚かせていました。今回のテストは、MotoGPマシンに慣れることが一番の目的で、さまざまなセットアップにチャレンジしました。マルケスにとって、変化を知るテストでしたが、初テストにして早くも、今季の優勝争いに加われる実力があることをアピールしていました。

MotoGPクラス2年目のシーズンを迎えるブラドルも、積極的に走り込みました。今季初テストのテーマは、ニューマシンに慣れること。さらに、レース後半にペースが落ちるという昨年のウイークポイントの克服に向けて、さまざまなセットアップに取り組みました。今年は、Moto2クラス時代にタイトル争いを繰り広げたマルケスが、Repsol Honda Teamに加わったことでモチベーションも上がっています。こうしたライバル意識が、今季の成績向上につながることは間違いありません。

GO & FUN Honda Gresiniで2年目を迎えるバウティスタも、ニューマシンのセットアップに集中しました。今季4台が参戦するHondaチームの中で、GO & FUN Honda Gresiniは、サスペンションとブレーキが他チームと異なります。今回は、ニューマシンとサスペンションのセットアップなど、多くのメニューを消化しました。昨年のバウティスタは、初ポールポジションを獲得、2度の表彰台に立つなど、大きな成長を遂げるシーズンとなりました。今年はさらに大きなステップを刻むことを目標に挑みます。また、チームメートのスターリングは、初めて経験するCRTマシンと、初めて走るセパンの攻略で3日間を終えました。

次回のテストは2月26日(火)から28日(木)までの3日間、セパンで予定されています。

ダニ・ペドロサ(2分00秒100 総合1番手)
「いい気分でセパンを離れることができます。3日間ともに、いいラップタイムを刻むことができました。多くの周回ができましたし、いろんなことに取り組むことができました。今年から実施される新しいルールに合わせたエンジンテストと、3kg増えるマシンの重量について、とても大事なテストに取り組むことができました。3日間を振り返ってみると、着実に前進することができたと思います。感触もよくて、とても満足しています。ブリヂストンのタイヤテストもこなせました。新しいハードコンパウンドは、グリップが増しましたが、その分、チャタリングも増えた印象です。これについては、これからのテストで引き続き取り組んでいかなければなりません。今回はウインターブレイクを終えて最初のテストでした。3カ月ぶりのRC213Vでしたが、とてもポジティブな印象です。路面コンディションもよく、暑くなりすぎず、順調な3日間でした」

マルク・マルケス(2分00秒636 総合4番手)
「この3日間の結果には、とても満足しています。なによりも、自分のタイムが、日を追うごとに安定していったことがとてもうれしかったですね。これは、今回のテストの一番の目標で、タイムを上げていくことは、2番目の目標でした。最終日の最後にはRC213Vで初めてレースシミュレーションに挑み、マシンをより理解することができました。おかげで次のテストに向けて、多くの情報を得ることができました。最終日には、初めての転倒を経験しましたが、比較的軽い転倒で、幸いケガもありませんでした。転倒の原因はブレーキングのミスで、フロントから転びました。この3日間は、セッティングではなく、電子制御など、セットアップの変更を感じ取るテストを行いました。最後にロングランも行えましたし、RC213Vへの理解度はかなり深まったと思います。今回の初テストは、ちゃんと乗れるだろうかと不安もありましたが、初日からいい走りができました。次回のテストが本当に楽しみです」

ステファン・ブラドル(2分01秒003 総合6番手)
「3日間ともにとても充実していましたし、自分たちの仕事をしっかりとこなすことができたと思います。そして、次のテストに向けて多くのデータを集めることができました。今回のテストは、多くのテストプログラムがあり、しかも、久しぶりの走行ということで体力的にも厳しいテストになるだろうと思っていました。しかし、冬の間にしっかりとトレーニングをしていたことで、メニューを着実にこなすことができました。初日はマシンに慣れるためのテストとなり、アクセルワークとブレーキングの感覚を取り戻し、リアのサスペンションのセッティングに取り組みました。2日目もリアのセッティングと、リアタイヤのフィーリングを感じ取るテストに集中しました。最終日は、電子制御やブリヂストンのハードタイヤのテストを行いました。3日間を通じて、とてもレベルの高いところからスタートを切ることができました。まだまだやらなければいけないことはたくさんありますが、満足のいく初テストとなりました」

アルバロ・バウティスタ(2分01秒502 総合7番手)
「ここ数日、猛暑の中での仕事はとても大変でした。しかし、テストメニューは順調に消化できましたし、いい状態で初テストを終えることができました。今年のマシンは、昨年に比べてフィーリングがかなり違いますので、いいセッティングを見つけることに集中しました。3日間を通じて、Showaのサスペンション、Nissinのブレーキのテストなど、多くの仕事をこなすことができました。開幕に向けて準備をしなければいけないことは多くありますが、たくさんのデータを得ることができました。長かったウインターブレイクを終えて、こうしてサーキットに戻ってくるのは、いつもうれしいですね。幸い天気もよくて、ほとんどのメニューを消化することができました。チームのもとに戻り、新しいシーズンのスタートが切ることができて、本当にうれしいです」

ブライアン・スターリング(2分05秒970 総合28番手)
「MotoGPにデビューすることができてうれしいです。今まで乗っていたマシンと、GresiniのCRTマシンはかなり違いがあり、それに慣れるためのテストとなりました。セパンは、初めて走るサーキットで、初めてのマシンを走らせるという点では厳しい条件となりました。しかし、すばらしいサーキットでしたし、すばらしいチームでスタートすることができてとてもよかったです。今回は初日に転倒してチームに迷惑をかけました。2日目は転倒の影響でペースを上げていくのが難しかったのですが、徐々にペースを取り戻すことができました。今回は初めてのテストでしたが、近いうちに戦闘的になれると確信しています」

中本修平|HRC取締役副社長
「今回のテストは、エンジンの仕様を決めなくてはいけない重要なテストであり、それを最優先課題として、3日間のテストに取り組みました。天候にも恵まれ、今回のテストに向けて、我々が準備したエンジンやテストパーツは、ほぼ消化することができました。ダニは、今年のエンジンを決めるテストに集中し、マルクは、RC213Vに慣れることを一番のテーマに取り組みました。今回はタイムを狙うテストではなく、2人とも一度もアタックしていませんが、まずまずの結果でした。今回のデータを整理して、次回のテストは次のステップに進みます。ステファンとアルバロも、それぞれの課題に取り組みました。テストライダーの秋吉耕佑と高橋巧も、それぞれの課題とメニューをこなすなど、シーズン最初のテストとしては、全体的に成果の大きい3日間となりました」