「第2、第3セクションから200mくらい歩くと、すぐに『ハローウッズの岩盤ゾーン』が見えてきます。ここに第4〜第6セクションがありますが、もてぎの名物ですね。ここは雨の程度にもよりますが、比較的天候に左右されず条件のよい場所です。高低差があり見た目にも過激なところで、『こんなところをバイクで上れるの?』というような崖を上がる設定になっています。危険度の高い場所ですが、やはり選ばれた選手達ですから、条件さえ良ければ高低差をクリアして行く可能性は高いですね」
「今年は8月開催なので、暑さに弱い方やお子さん連れの方は、『中央エントランスゾーン』から『ハローウッズの庭ゾーン』の中に入ってもらって、森の中を歩く方が楽かなとも思いますが、それを押してでも見る価値があるのが、この『岩盤ゾーン』だと思います」
「ここは自然の沢が流れるヌタヌタの場所で、競技の流れがどう変わるかが見どころですね。ここも、もてぎの名物でもありまして、昨年の日本GPでは、『ハローウッズの沢ゾーン』で勝負がついています。それまで難しいと思われてきたところもクリーンし減点ゼロを重ねてきて、本当の神経戦になった時に、一番グリップの悪い『ハローウッズの沢ゾーン』での減点が勝負に影響したのです。特に第9セクションは深い泥の中に作られたロックセクションなので、そこをどう切り抜けていくか? それこそクリーンを狙って減点5をもらってしまうと、3点で抜けた選手との間に2点の差がついてしまうので、そのあたりをどう予測して、どんな戦略でいくかで、展開がかなり変わってくると思います」
「また、このゾーンは日本独特の地形で、昨年は世界チャンピオンのトニー・ボウ選手は減点5になり、藤波貴久選手やアダム・ラガ選手も抜けるだけで精一杯という中で、唯一クリーンを出したのが昨年の全日本チャンピオン・小川友幸選手でした。このあたりで、日本人選手の活躍も見どころになるのではないかと思います」
「このゾーンは天候に関係なくいつも濡れていて、ほかのセクションが乾いていても、ここだけはマディ状態なので、どうしても条件の悪いところを見たいと思う方はここに足を運ばれるとよいでしょう。条件の悪い中でのトライアルの神髄が見られるのでないかと思います。どんなに現在のテクニックが進化していても、最終的にはバイクをどう進ませるか、その進ませ方の差が、トップ選手たちの差になってくるので、ここは見落とせない場所といってもよいでしょう」
「ハローウッズは元々、親子レクですとか、自然の中を散策するような場所なので、家族で来られた方は、森の中を歩いて『ハローウッズの沢ゾーン』の上にある『ハローウッズの庭ゾーン』の第10とか第11セクションなどもおすすめです。もてぎでの世界選手権の開催テーマでもある『自然との共存』という点では、家族みんなで散策をしながら、行った先にセクションがあって、そこに選手たちが来て、歩いてくるのもきつかった山道をバイクで駆け上がって行くのを見る。そういう楽しみもあります。そんな、もてぎの施設そのものを楽しんでいただけると、お父さんだけの趣味から家族の楽しみへと変わってくるのではないかと思います」