WCT 2019 | 総集編

トニー・ボウがトライアル世界選手権で全勝し、13年連続のチャンピオンを獲得

2019年のトライアル世界選手権では、トニー・ボウ(Repsol Honda Team)がチャンピオンとしての強さを発揮した。全7大会8レースを全勝し、トライアル世界選手権のタイトルを獲得。インドアのX-Trial、アウトドアのトライアル世界選手権ともに、13年連続でチャンピオンとなった。

開幕戦のイタリア大会は、前日の雨で難しいコンディションの中で行われた。ボウは1ラップ目に大きなミスを犯したものの、2ラップ目の減点はわずか4点に留めて、ライバルに大差をつけて勝利。レース後にボウは「今日のライディングにはとても満足している」と語っていた。

第2戦は、シリーズで唯一の2日間開催の日本大会。初日は雨の影響を受け、ツインリンクもてぎのセクションは難関続きとなったが、ボウはミスを最小限に抑えて優勝し、チームメイトの藤波貴久も3位に入った。2日目もボウと藤波でダブル表彰台を獲得。ボウは、30のセクションをすべてクリーンで走破し、自身2度目、10年ポルトガル大会以来のオールクリーンを達成した。藤波は、2日連続で3位表彰台を獲得し、チームやファンのおかげと感謝を伝えた。

トニー・ボウ
トニー・ボウ

第3戦オランダ大会、第4戦ベルギー大会は、2週連続での開催。ここでもボウは強さをみせ、連勝を飾った。

7月の第5戦ポルトガル大会は、ボウの母国スペインにほど近い大西洋側の街ゴウヴェイアで開催された。18年の同大会で世界選手権100勝目を達成したボウは、厳しい戦いを制して大会連覇。1ラップ目の序盤はミスやペナルティーでライバルに後れを取るも、2ラップ目の減点を抑え、最終的にはトップを堅持した。この結果、タイトル獲得王手をかけて、続くフランス大会を迎えることになった。

そのフランス大会では、ボウは1ラップ目の減点7点、2ラップ目の減点1点、そしてタイムオーバー減点1点と最小の減点でまとめ、ライバルに圧倒的な差をつけて優勝。最終戦を残して、ボウの2019年のチャンピオン獲得が決定した。「これは奇跡ではない、伝説である」。Repsol Honda Teamが作った、タイトル記念Tシャツにはそう記されていた。

トニー・ボウ
トニー・ボウ

最終戦は、19年チャンピオンのボウにとって新たな挑戦となった。シーズン全勝がかかったスペイン大会のセクションは、地中海に面したラヌシアの整備されたパドックと乾いた岩肌だった。ボウは最小減点でシーズン全勝を達成し、世界選手権での勝利記録を112に更新した。チームメートの藤波も2ラップ目のいい走りで3位に入り、同大会中にほかの選手に科された処分を受け、ランキング3位でシーズンを終えた。

そして9月末に開催されたトライアルの国別対抗戦「トライアル・デ・ナシオン」には、ボウはアダム・ラガ(TRRS)とジェロニ・ファハルド(ガスガス)とともに、スペイン代表として参加。藤波は黒山健一(ヤマハ)、小川友幸(TEAM MITANI Honda)とともに日本代表として挑んだ。スペイン代表はわずか4点の減点に抑え、16年連続、26回目の優勝を飾った。対する日本代表は予選では6番手。決勝は先頭でのスタートとなり、ほかのチームを参考にすることなく、セクションを通過することになったが、1ラップ目を終えて2番手につけると、2ラップ目はさらに減点のない走りで2位表彰台を獲得した。

POINTS

順位 ライダー マシン 総合 1 2 3 4 5 6 7
1 トニー・ボウ Honda 160 20 20 20 20 20 20 20 20
2 A.ラガ TRRS 134 15 17 17 17 15 17 15 17
3 藤波貴久 Honda 112 10 15 15 13 13 11 11 15
4 J.ブスト ヴェルティゴ 96 11 9 9 11 11 9 17 11
5 J.カサレス ヴェルティゴ 81 17 11 7 15 17 15 13 9
6 J.ダビル ベータ 80 7 13 13 9 8 10 8 7
17 小川友幸 Honda 5   2 3
※FIM(国際モーターサイクリズム連盟)より、ファハルド選手に対し、2018年9月16日より1年間、レース結果から除外する裁定が下されたため、ランキングが変更されています。