2018年第4戦の会場は、ポルトガルの山の中にあるゴウヴェイアでした。この小さな町で、Repsol Honda Teamのエースであるトニー・ボウは、トライアル世界選手権に新たな金字塔を打ち立てました。通算100勝。これはRepsol Honda Teamにも長く在籍していたドギー・ランプキンの記録を抜いての、新記録となりました。ボウの世界選手権参戦は、今回でちょうど200試合。つまりボウはこれまで、勝率5割で世界選手権を戦い続けているということになります。

花崗岩に覆われた今回の自然公園での戦いは、特に厳しいものとなりました。気温が高く、体力的に厳しい上に、登り斜面は限りなく急で、難度はとても高い設定となっていました。

そんな中、王者ボウは15セクション2ラップの競技の前半、1ラップ目にして勝負をほぼ決めるという圧勝ぶりをみせました。特にボウ以外の全員が5点となる第10セクションを唯一クリーンしたことで、追いすがろうとするライバルを一気に引き離し、優位を確定的にしています。1ラップ目、ボウの減点はわずかに1点。2位は9点、3位は18点の減点を取っており、その差は決定的でした。

2ラップ目、減点は6点と1ラップ目より多くなりましたが、2番手との点差は逆に広がり、最終的には12点のリードを持ってポルトガルGPを勝利しました。ボウはこれで今シーズン3勝目となり、選手権ランキングでは2位に10点差とポイントリードを広げています。

藤波貴久は、厳しいセクションに苦戦をしますが、2ラップ目に健闘して減点を減らすことに成功。1ラップ目の12番手から順位を上げて8位でゴールしています。

100勝達成のボウは、これまでに145回の表彰台を獲得。勝率5割の記録もまた、ボウのみが持つ大記録です。そして、これまでの世界選手権に326大会出場し、現役と過去に活躍したすべてのライダーのうち、最も多くのポイントを獲得しているのは藤波です。絶対王者のボウにとっても、藤波はまだ追いつくべきライバルです。

次のトライアルGPは第5戦、フランス大会です。日程は7月14日、15日。南フランスの山中オーロンが会場となります。