Round03アンドラ
トライアル 決勝
2018年6月17日(日)
サン・ジュリア
Repsol Honda Teamのエース、トニー・ボウがトライアル世界選手権第3戦アンドラ大会で勝利。自身の勝利記録数を99に伸ばし、歴代首位に並びました。
ボウにとって今シーズン2度目の勝利は、ボウが住まいとしているアンドラでの、いわば地元での大会でもたらされました。これまで99勝の最多勝利記録を持っていたのは、長くRepsol Honda Teamのライダーとして活躍したドギー・ランプキン(7回の世界チャンピオンを獲得。うち4回をRepsol Honda Teamで獲得)です。今回の勝利でボウはランプキンの記録に並び、さらに前回日本GPでつめよられていた選手権争いのライバル、ジェロニ・ファハルド(ガスガス)に7点差をつけ、総合首位をリードすることになりました。
今回の大会は、いつものアンドラ大会の例にもれず、険しく厳しいものでした。ただ、トップライダーにとっては確実に走れば走破できるものが多く、わずかなミスが順位を変動させるという点で、難しい大会となっていました。1ラップ目、ボウは第10セクションまでをすべてクリーン。第11、第12と連続して5点となって一瞬暗雲が立ち込められますが、それでも1ラップ目は2位に1点差をつけてトップを守ることができました。2ラップ目、ボウはさらに素晴らしい走りをみせ、1ラップ目の鬼門だった第11セクションをクリーン、15セクションを走って減点をたったの6点に抑えて、ライバルの追撃を振りきったのでした。2位のアルベルト・カベスタニー(ベータ)はボウに2点差。まったく油断のできない、ぎりぎりの勝利でした。
一方、藤波貴久は少し不本意な予選結果によって、先頭グループでセクションを回る一群の中にいました。前回日本GPではボウやファハルドといったライダーが予選を失敗して先頭グループにいたので、スタートハンディーはそれほど多くはありませんでしたが、今回は難しいものとなりました。加えて、セクションでのスコアが結果に反映されないという致命的なトラブルもありました。点数の把握はライダーの責任とされていて、これが藤波に重くのしかかり、今回の順位は12位。日本GPの初日にランキング5位に浮上していた藤波は、今回の順位でランキング8位となっています。
アンドラは、標高が高く、岩々はとても高く難度が高い地形です。しかし今回のセクションは、走れば走るほどにラインが決まってきて、クリーンが出るものになっていきました。標高1300mで失うパワーの対策に腐心してきたRepsol Honda Teamの面々にとって、この大会はとても難しいものでした。しかも今回は、とても暑い中での大会開催で、これもライダーの体力を消耗していきました。
次のトライアルGPはポルトガルで、すぐ翌週に開催されます。ポルトガルGPは、2018年世界選手権の第4戦目となります。
トニー・ボウ(優勝)
「アンドラでの勝利はとてもうれしいです。私が住んでいるところでの大会でもありますが、それ以上に、多くのプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、厳しい大会を制して勝利を得たことに幸せを感じます。今日はマシンの調子もとてもよく、痛めた背中もそれほど問題とはなりませんでした。前回はマシンと背中、どちらにも若干の問題があったので、そこが克服できて今回はとても前向きになれる一戦となりました。今シーズンの選手権を戦う上でも、この勝利はとても重要なものとなりました。累計勝利数は99となったということで、次は新記録の100勝を目指さなければいけません。そういうこともあり、今年はとても複雑で、難しいシーズンが続くと思われますが、私たちはこれからも全力で戦い続けます」
藤波貴久(12位)
「今日は我々にとってはとても難しいトライアルになりました。スタートが早く充分にラインが見えてこない中でトライしなければならず、しかもマシンにも全幅の信頼がおけないまま、トライを重ねることになりました。マシンを完ぺきにセットアップすることができず、手痛い失敗となりました。負傷を引きずっていた体の方は、開幕戦のころに比べるとだいぶよくなっているので、残念な結果となりました。来週のポルトガル大会に向けて、見失ってしまったマシンの方向性をきちんと見出せればと思っています」
ミゲール・シレラ監督
「トニー・ボウは簡単に勝っていると思われているかもしれませんが、決してそんなことはありません。特に今回の戦いは難しいものでした。作業も膨大でした。ボウは体の調子が万全ではないこともあり、それを承知でのアンドラ大会でしたから、ここでの勝利はとても重要なものとなりました。その一方で、藤波にはいくつかの問題がありました。今回はいいトライアルにはほど遠かったので、次回はもっといいトライアルに近づけなければいけません。アンドラのように、高い標高での戦いに向けてチームはがんばりました。この成果は、ポルトガルでもきっといい結果を生んでくれると信じています。我々の2人のライダーが、トップに位置することを願っています」
順位 | ライダー | マシン | L1 | L2 | 総減点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | ![]() |
10 | 6 | 16 | |
2 | A.カベスタニー | ベータ | 11 | 7 | 18 | |
3 | J.ファハルド | ガスガス | 14 | 6 | 20 | |
4 | J.ブスト | ガスガス | 11 | 13 | 24 | |
5 | A.ラガ | TRRS | 16 | 13 | 29 | |
6 | J.カセレス | ヴェルティゴ | 24 | 22 | 46 | |
12 | 藤波貴久 | ![]() |
31 | 23 | 64 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | ![]() |
70 | |
2 | J.ファハルド | ガスガス | 63 | |
3 | J.ブスト | ガスガス | 61 | |
4 | A.ラガ | TRRS | 54 | |
5 | A.カベスタニー | ベータ | 46 | |
8 | 藤波貴久 | ![]() |
34 | |
16 | 小川友幸 | ![]() |
5 |