ROUND 06
アメリカ
キングマン
2017.07.29-30(土・日)・トライアル
アリゾナで開催された第6戦アメリカGPで、Repsol Honda Teamのトニー・ボウが決定的な勝利を勝ち取りました。土曜日に自身の95勝目をマークし、日曜日にはその記録を96勝に伸ばしました。この2連勝によって、トニー・ボウにとって11度目となる世界タイトルの獲得が、すぐそこに迫ってきました。
会場はアリゾナ州キングマンにあるマウンテンパーク。Repsol Honda Teamは、その初日から注目すべき活躍を見せつけました。
気温が高く、岩山のグリップが高まっていたことにより、1日目のセッションは予想されていたよりもはるかに簡単となりました。その結果、戦いはちょっとした失敗が順位に大きく響く神経戦の様相を呈しました。
2007年に、自身にとって初となる世界タイトルを獲得してから10年、常に栄光とともに歩み続けてきたボウが、ここでもその強さを示します。1ラップ目をたった2点で終えると、2ラップ目は減点なしのオールクリーン。ライバルのアダム・ラガ(TRS)も2ラップ目をオールクリーンでボウを猛追しますが、1ラップ目のわずかな点差により、ボウの勝利が決まりました。
今シーズン、いよいよ本領を発揮してきた若きライダーのハイメ・ブスト(Repsol Honda Team)は、2ラップ目に追い上げを見せ、今シーズン3度目の表彰台を獲得しました。前戦で2位となり表彰台に上がった藤波貴久は、今回は8位で戦いを終えるという不本意な結果となりました。
アメリカGPは、第2戦日本GPと同様、2日間にわたっての戦いとなります。設定の変更はありますが、土曜日と同じセクションを使い、15セクション2ラップを戦います。
2日目の日曜日になると、セクションはいくらか難易度を上げてきました。しかし王者ボウにとっては、この日も走破に悩むようなものはありませんでした。土曜日は接戦でしたが、日曜日は2位にダブルスコア以上の大差をつけて圧勝しました。
今シーズンも残りあと2戦。今回の戦いを終えて、ボウのチャンピオンシップのリードは28点となりました。このまま行けば、最終戦を待つことなく、次のチェコ大会でボウの11度目の世界タイトルが決まる可能性が非常に大きくなっています。
この日の戦いは、ボウにとっては土曜日と大差がなく、大きな失敗のできない難しいものとなりました。1ラップ目は3点の減点と、土曜日と大差のないものでしたが、ライバルは土曜日より苦戦を強いられたため、その結果、ボウの圧勝となりました。
1ラップ目に2番手となったのはブストでした。ブストの1ラップ目は10点。2ラップ目も安定した走りでボウに次いで2位に。この結果、Repsol Honda Teamが2戦連続で1-2フィニッシュを達成しました。
藤波貴久を加えて、表彰台を独占する可能性もあったのですが、藤波はこの日も苦戦し、7位に甘んじました。
アメリカGPを両セッションともに制覇、そしてトライアル2クラスでも両日を制覇しているため、チャンピオンシップであるメーカータイトル選手権も、モンテッサが2位のTRSに80点以上の大差をつけて、タイトル獲得が決定しました。
次の戦いは9月10日に開催される第7戦チェコ大会です。チェコ大会が終わると、いよいよ最終戦イタリア大会を迎えます。
トニー・ボウ(優勝)
「今日はとても難しいレースだったので、この結果を得られて幸せです。今回のセクションは、過去に例がないほどに簡単でした。それゆえ、私たちはひどく苦しむことになりました。ほんの小さなミスもしてはならないという緊張感に耐えながら、多くのことに耐え、戦い続けました。簡単なセクションとはいえ、失敗は常に可能性のあるものです。加えて標高が2,000メートルあり、これがマシンの動きを妨げていました。プレッシャーに耐え、勝利のために、そしてチャンピオンシップのために、より多くのポイントを獲得するためにがんばりました。その努力の結果に満足しています。こんなセクション設定でしたから、1ラップ目2点、2ラップ目0点という結果はいいとは言えません。明日は、セクションがより難易度を上げるよう、設定が変更されることでしょう」
ハイメ・ブスト(3位)
「前回表彰台を逃していたので、再び表彰台に上がれて、とてもうれしいです。序盤にはいくつかの失敗をしました。みんなが少ない減点で抜けているところで、減点を重ねてしまうこともありました。2ラップ目はいい走りができて、うまくいったと思います。日曜日は、土曜日よりもさらによくなると信じています」
藤波貴久(8位)
「予選で失敗をし、スタート順が早くなってしまいました。ただ、それが今回の大きな敗因だったとは思っていません。グリップのいい地形だったので、走る順番によって、セクションが大きく変わったこともありませんでした。私の問題点は、ボウやブストとは違うセッティングを選んだことで、マシンは力強さを発揮してくれませんでした。ステアケース(段差)のいくつかでは、あと一歩で落ちてしまうことになりました。日曜日は、セッティングを変えて上位を狙います」
トニー・ボウ(優勝)
「セクションはまたしても簡単すぎました。雨が降って、難易度は増したように思いましたが、すぐに簡単になってしまったようです。1ラップ目、私は3点で回ってきましたが、これは減点が少なすぎます。もっとみんなが減点するような大会でなければいけないと思います。それでもこんなに簡単な、そして難しいレースで勝つことができたのは満足です。チャンピオンシップの戦いでも大きな前進がありましたし、この週末は非常にいい週末になりました。これで気分よく、夏休みに入れます」
ハイメ・ブスト(2位)
「非常に満足です。私自身のライディングで言えば、今日は昨日よりよくありませんでしたが、1ラップ目には5点が一つだけだったというところが、今回の結果につながったと思います。2ラップ目では小さなミスはありましたが、セクションが簡単に感じられ、2位表彰台に上がることができました。チャンピオンシップでもランキング3位に上がったので、これはすばらしい結果です。残る2レースもうまく走って、ランキング3位でシーズンを終えるようにがんばりたいと思います」
藤波貴久(7位)
「満足な結果とは言えません。私にはつらい週末になりました。ステアケース(段差)は高かったのですが、高さそのものは普通だったと思います。しかし2,000メートルの標高では、エンジンがいつものようなパワーを発揮しませんでした。それは承知をしていたのですが、私の自信が足りませんでした。昨日そして今日と、厳しい戦いになってしまいましたが、チャンピオンシップではまだまだチャンスはあるし、いい位置で戦うことができると信じています」
ミゲール・シレラ監督
「モンテッサの監督として、メーカータイトルに貢献してくれるライダーにまず祝福を送らなければいけません。ボウ、ブスト、藤波、マルセル、モレット、皆におめでとうと言いたいです。彼らの活躍と成績によって、2017年もモンテッサはメーカータイトルを獲得することができました。ボウは2戦にわたって巧みな勝利を収め、ブストもすばらしい戦いをしてくれました。藤波は厳しい戦いとなりましたが、残り2レースではいい戦いをしてくれると信じています。標高の高い地で戦った、すべてのスタッフにも感謝をしなければいけません。チームにとっても今回は難しい戦いでしたが、チームのメンバーは、皆がいい戦いをしてくれました」
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | 総減点 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | ![]() |
2 | 0 | 2 |
2 | 67 | A.ラガ | TRS | 4 | 0 | 4 |
3 | 69 | ハイメ・ブスト | ![]() |
11 | 2 | 14 |
4 | 22 | J.ダビル | ガスガス | 10 | 4 | 15 |
5 | 33 | J.カサレス | ベータ | 12 | 8 | 20 |
6 | 37 | A.カベスタニー | シェルコ | 15 | 6 | 21 |
8 | 3 | 藤波貴久 | ![]() |
16 | 9 | 25 |
17 | 12 | エディー・カールソン | ![]() |
50 | 19 | 69 |
順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | 総減点 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | トニー・ボウ | ![]() |
3 | 6 | 9 |
2 | 69 | ハイメ・ブスト | ![]() |
10 | 13 | 23 |
3 | 47 | J.ファハルド | ヴェルティゴ | 20 | 7 | 27 |
4 | 67 | A.ラガ | TRS | 21 | 9 | 30 |
5 | 22 | J.ダビル | ガスガス | 20 | 13 | 33 |
6 | 37 | A.カベスタニー | シェルコ | 23 | 12 | 35 |
7 | 3 | 藤波貴久 | ![]() |
27 | 14 | 41 |
17 | 12 | エディー・カールソン | ![]() |
55 | 34 | 89 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | トニー・ボウ | ![]() |
155 |
2 | A.ラガ | TRS | 127 |
3 | ハイメ・ブスト | ![]() |
103 |
4 | 藤波貴久 | ![]() |
95 |
5 | J.ファハルド | ヴェルティゴ | 95 |
6 | A.カベスタニー | シェルコ | 85 |
18 | エディー・カールソン | ![]() |
10 |