round 8

September 3/4 2011
FIM Trial World Championship ISOLA 2000
第8戦 イゾラ2000

ボウ、最終戦優勝でタイトル獲得を飾る

2011年トライアル世界選手権も最終戦。Repsol Montesa Hondaのトニー・ボウは、最終戦を勝利で飾り、5度目の世界チャンピオンとなりました。ボウは土曜日に2位となりタイトルに王手をかけたあと、日曜日に優勝を果たしました。ボウと2位のアダム・ラガ(ガスガス)との点差は、最終的には13点でした。ラガは土曜日に勝利して、この時点でボウとのポイント差を10点まで縮めましたが、ボウが逃げきりました。

ボウのチームメートである藤波貴久は困難に耐えて、土曜日に5位、日曜日には4位。ランキングでは堂々3位を獲得しました。アルベルト・カベスタニー(シェルコ)は両日ともに3位に入り、ジェロニ・ファハルド(オッサ)からランキング4位の座を奪い取っています。

フランスのスキーリゾート地、イゾラ2000は、2009年にも世界選手権を招いていて、このときも最終戦として開催されています。ニースの北90km、さまざまな地形が点在している、絶好のトライアルフィールドです。主なセクション構成は、乾いた岩の第1セクションに始まり、4つの川セクション、そして谷筋のセクション群とまとまっています。

土曜日のトライアルは、雨が降るのを予測したラガが早いペースでセクションを巡っていきました。ボウも同様にペースを早めるべくトライしましたが、ラガのこのペースにはついていけず、トータルの試合時間ではボウはラガより45分よけいに時間を費やしました。これからもラガのペースがいかに早かったかがわかります。

  • 中央左から藤波貴久、トニー・ボウ中央左から藤波貴久、トニー・ボウ
  • 藤波貴久(左)、トニー・ボウ(中央)、A.ラガ(右)藤波貴久(左)、トニー・ボウ(中央)、A.ラガ(右)
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久
  • ライア・サンツライア・サンツ
  • ライア・サンツライア・サンツ

ラガが第12セクションに到着したとき、雨が降り始め、後ろを走るライダーには大ハンデとなりました。早いペースで試合を進めていたラガの勝利が見えてきました。ボウは2位に甘んじはしましたが、3位のカベスタニーにはなおリードを保っています。残り1戦のタイトル争いを考えても、2位獲得は悪くない結果といえました。

藤波は、日本大会での負傷により本調子とはいえませんでした。特に1ラップ目の減点が多く、2ラップ目のばん回も届かず、5位に甘んじました。5位は藤波にとっても今シーズン最低順位です。前回はメカニカルトラブルによる5位でした。

この土曜日の戦いで、ボウは日曜日に6位以上に入ればタイトル確定という状況になりました。すでに4回のアウトドア世界チャンピオンとなっているボウの、5つ目のアウトドアタイトルへの挑戦です。土曜日に降り始めた雨は一晩中激しく降り続き、主催者はセクションに変更を加えました。

それがどう作用したのか、日曜日の第1セクションで、ボウはライバルがいきなり5点を取るのを目撃します。ここでボウはもう一度集中力を高め、しっかりとクリーン。試合の冒頭から5点のリードを奪うことに成功します。そしてそのまま、調子よくクリーンの山を築いていくボウ。結局、1ラップ目の第15セクションで、ボウの減点はたったの1点。2位のラガに11点の大差をつけています。3位は藤波の21点で、ボウの圧倒的な好調ぶりがうかがえます。

2ラップ目、ボウの好調は相変わらず。試合の終盤、ボウは予期せぬ5点をとってしまいましたが、それでもラガに対する優位は圧倒的で、最後は余裕のゴールとなりました。ボウとラガの減点数の差は6点。ラガは2ラップ目を2点の減点だけで追い上げましたが、ボウの好調の前には結局届かず。カベスタニーはラガにさらに20点遅れて3位。それでも藤波の上位につけました。

ボウは、今回の勝利で2011年のFIM SPEAトライアル世界チャンピオンを獲得。これはボウの5つ目の世界タイトルですが、ボウはこの他に5つのインドア世界タイトルも獲得しています。

コメント

トニー・ボウ(2位/優勝 ランキング1位)「今年も、ついに世界チャンピオン獲得までたどりついて、とても幸せな気分です。しかも今日は、優勝で世界チャンピオン獲得に華を添えられました。最高です。今回は非常に過酷な週末でした。その1つが、土曜日のレースです。ラガはほとんどのセクションをドライ状態で走り、私はほとんどのセクションを雨の中で走ることになりました。私たちの間に、なぜここまで大きなスコア上の開きが出たかという、その答えがこれです。そして今日、私はタイトル獲得を目前にして少し緊張して試合に臨みました。しかし第1セクションでクリーンしたことにより、力が湧いてきて、それで気持ちも入れ替わりました。今シーズン、ラガとのタイトル争いは大変厳しいものでしたが、最後には私が勝利してタイトル争いにも勝つことができました。私自身と私のチームが最善の仕事をしたことに大きな喜びを感じています」

藤波貴久(5位/4位 ランキング3位)「今年もランキング3位でシーズンを終えました。今年、ボウもラガもとてもよいライディングをしてきたと思います。そんな中での3位獲得です。もちろん、今日の5位という結果には満足はできません。結果を見れば、最悪の週末だったともいえます。雨が降り始めたときには、雨の中ベストのライディングができる自信もなく、5位に甘んじることになりました。日曜日も、1ラップ目はよくありませんでした。2ラップ目に回復したものの、終盤で5点を連発してしまい、また納得のいかない4位に甘んじることになりました。ともあれ、ボウのチャンピオン獲得と、私のランキング3位獲得は、それぞれ喜ばしいことであり、チームにとってもよい結果でした。それを素直に喜びたいと思います」

ライア・サンツ(ジュニアクラス13位/15位 ランキング21位)「ベストが出せたとは思えない週末でした。ここへ来る時点で、すでに疲れが出てしまっていて、よい走りはできませんでした。先週の女子世界選手権で勝利して、よりよいライディングができると期待していたのですが、身体的疲労がそれを許してくれませんでした」

1日目
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 総減点 クリーン数
12A.ラガガスガス651123
21トニー・ボウモンテッサ(Honda) 7192622
35A.カベスタニーシェルコ11395010
44J.ファハルドオッサ1939588
53藤波貴久モンテッサ(Honda)24355911
613J.チャロナーベータ3750876

 

2日目
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 総減点 クリーン数
11トニー・ボウモンテッサ(Honda) 1 7 8 26
22A.ラガガスガス 12 2 14 22
35A.カベスタニーシェルコ 22 12 34 12
43藤波貴久モンテッサ(Honda) 21 22 43 13
56J.ダビルベータ 32 19 51 11
68M.ブラウンガスガス 32 35 67 6
ポイントスタンディング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 204
2 A.ラガ ガスガス 191
3 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 155
4 A.カベスタニー シェルコ 129
5 J.ファハルド オッサ 115
6 M.ブラウン ガスガス 90
 
15 小川友幸 Honda 17
18 柴田暁 Honda 10
20 砂田真彦 Honda 7
25 松浦翼 Honda 4
26 斎藤晶夫 Honda 2