round 3

June 19 2011
FIM Trial World Championship Spain
第3戦 スペイン

ボウ、地元で快勝。藤波は4位に

Repsol Montesa Hondaのトニー・ボウをはじめ、スペイン人ライダーにとっては母国でのグランプリとなります。会場となったポブラドゥラ・デ・ラス・レゲラス(Pobladura de las Regueras)は、ポルトガルの北にある無名の小さな町で、その名を知る人も多くありません。
この大会、ボウは2位のアダム・ラガ(ガスガス)に大差をつけて快勝。3位はアルベルト・カベスタニー(シェルコ)でした。

ボウのチームメート藤波貴久にとって、この日は厳しい一日となりました。それでも1ラップ目は3位につけ、元世界チャンピオンとしての意地を見せましたが、最終的にはラガに逆転を許して4位。ラガは1ラップ目の4位から、2ラップ目に調子を上げてきて、最後は2位までポジションを上げました。

ボウは今回の勝利でシーズン3勝目となります。世界選手権ポイントでも、最大のライバルであるラガに10ポイント差をつけてトップをキープしています。

  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久
  • ライア・サンツライア・サンツ

会場のポブラドゥラは渓谷の谷の町。よいセクションとなる地形がそこここに点在しています。スペインの国内選手権の会場として使われたあとに、巨額の費用を投じてパドックなどの整備を行い、いまや世界でもトップクラスの快適な会場となりました。

第1セクションと最終セクションの2つが人工セクション。その他はスペイン独特の乾いた岩盤に、滑りやすい森の中。トライアルの魅力が満載の15セクションによる世界選手権スペイン大会です。

スタートから第4セクションまで、ボウは失点なく試合を進めていきました。第5セクションは川の中に設けられた最初のセクション。ここでボウは1点を失いました。一方、藤波はさらにここをクリーンして、ラガ、カベスタニーらからリードを広げていきます。

藤波は第8セクションまでをクリーンして後半のコースに向かったのですが、第9セクションで2点減点となってボウと同点となると、13セクションまでを連続して減点してしまいます。さらに最終15セクションでも5点。その後2ラップ目にも第1セクションで5点となってしまい、好結果を望むべくもなくなってしまいました。

対照的に、ボウは試合が進んでいくに従い、本来の強さを取り戻してきました。第5セクションで1点を取ったあとは、9セクションと13セクションで1点ずつを取っただけで、わずか3点で1ラップ目をまとめてしまいました。これにより、1ラップ目に2位につけたカベスタニーに8点差をつける好リードとなりました。

ボウのこの日の唯一の5点は、2ラップ目の第1セクションでした。滑りやすい巨大な丸太で、ボウはフロントタイヤを滑らせてしまいました。しかしこれが、ボウの集中を高めることになりました。ボウは2ラップ目、この5点以外にはたった1点の減点をおかしただけで、15セクションを走り抜けました。

2ラップでボウのトータルの減点は9点。2ラップ目にたった5点の減点で追い上げてきたラガに対して10点差の快勝でした。

2ラップ目、追い上げどころか減点を増やしてしまった藤波は、表彰台に上るチャンスもふいにしてしまい、なんとかジェロニ・ファハルド(オッサ)から4位の座を守ることに専念することになりました。今回、藤波が4位となり、ファハルドを下したことで、年間ポイントランキングでも5位から4位に浮上しました。

この大会の前、最終戦ポーランド大会の中止が決定しました。現地の大規模な地滑りがその理由です。地域一帯を襲った大雨によって、現地はたいへんな状況になっているようです。

次戦は1週間後、スペインとフランスの国境にあるアンドラ公国で開催されます。

コメント

トニー・ボウ(優勝)「結果がこういう結果だからよかったが、今日は難しい大会でした。滑りやすい川のセクションで、トップスタートで最初にトライしなければならなかったので、状況はとても不利でした。それでも、1ラップ目によく集中してリードを作ることができたので、これなら2ラップ目に不慮のことが起きても、なんとか勝利できるのではないかと自信が持てました。いい走りで、いい結果が出せたので、今日はとてもうれしいです。母国グランプリでの勝利は、いつも格別です」

藤波貴久(4位)「今日はいくつかのセクションで最悪のパフォーマンスになってしまいました。4位となれたのは、ある意味でラッキーと言わなければいけないかもしれません。1ラップ目、私は9セクションまでトップで、試合をリードしました。これがまず、いつもと違う状況でした。その後、失敗をし始めると、その失敗は徐々に大きな、致命的なものになっていきました。1ラップ目の15セクションと2ラップ目の第1セクションでの5点こそ、致命的で決定的でした。ポジションを守ることができ、4位に入れたことが今はせめてもの幸いです。さらに幸運だったのは、ファハルドが私の後ろのポジションにいることです。こんな結果だというのに、私は選手権でファハルドを抜くことができたのですから」

ライア・サンツ(ジュニアクラス17位)「日曜日は、土曜日に開催されたヨーロッパ選手権よりもいい走りができましたが、それでも十分ではありませんでした。その結果が17位です。第1セクションと第4セクションにある大きなステップのおかげで、まず20点はまちがいなく減点してしまいます。これを抜きに結果を集計してみれば、私の成績はトップ10に入れるものになります。今日は、この2つのセクションが敗因となりました」

決勝
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 総減点 クリーン数
1 1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 3 6 9 25
2 2 A.ラガ ガスガス 14 5 19 20
3 5 A.カベスタニー シェルコ 11 11 22 21
4 3 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 13 17 30 18
5 4 J.ファハルド オッサ 20 18 38 15
6 6 J.ダビル ベータ 38 23 61 14
ポイントスタンディング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 75
2 A.ラガ ガスガス 65
3 A.カベスタニー シェルコ 62
4 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 52
5 J.ファハルド オッサ 50
6 J.ダビル ベータ 37