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トライアル世界選手権の開幕戦は、厳しい戦いとなった。イギリス北アイルランドのニューキャッスルは、アイリッシュ海に面した海岸沿いの街。この街に広がる広大な森林公園が開幕戦の舞台となった。
2日間にわたって行われた今回の大会、1日目は厳しい戦いの結果、GAS GASのアダム・ラガに勝利を奪われる結果となった。しかし2日目は、REPSOL MONTESA HONDAのトニー・ボウが見事な走りで勝利を得た。この結果、ボウとラガはランキングポイント同点となり、今シーズンの激しいタイトル争いが予感される開幕戦となった。
ボウのチームメートの藤波貴久は、土曜日からの不調をついに克服できなかった。それでも土曜日にはアルベルト・カベスタニー(シェルコ)を同点クリーン差で破って表彰台に入った。しかし日曜日は、カベスタニーとジェロニ・ファハルド(ベータ)にわずかの差で敗退して、5位に転落してしまう結果となった。
土曜日の試合は、雨模様だった。海風が山にぶつかって細かい雨を降らせている。時折激しく降る雨は、コンディションをよりいっそう難しくしていた。ボウは、最初の3セクションをクリーンして試合をスタートしたが、第4セクションで、リードはラガに移った。さらにボウが1ラップ目の後半で2回の減点5を追加したことで、ラガのリードはいよいよ確定的になっていった。
2ラップ目、ボウとラガの実力は互角だったが、1ラップ目のわずかな差が、ラガの勝利を決定した。ボウは、2ラップ目に追い上げていた最中、第14セクションで痛恨の減点5。持ち時間が少なくなる中、パンクしたタイヤで一か八かの勝負に出た結果だったが、これがボウの敗退を決定的とした。
藤波は、2ラップ目にトップ2に迫る好スコアをマークして追い上げ、カベスタニーとの同点勝負に競り勝って表彰台を獲得した。1ラップ目の5位からの復活だった。
日曜日は、朝から明るい日差しに恵まれて暖かだった。土曜日のセクションはいくらかの危険性が指摘されたほか、1分半の持ち時間内では走破できないほどに長いものが多かったため、日曜日の大会に向けて修正が加えられて、若干難度が下げられていた。ボウとラガの一騎討ちは、土曜日同様この日もし烈なものとなった。1ラップ目はラガが2点リード。減点5が1つもなかったラガに対し、ボウは沢登りの第8セクションで減点5点をとっていたからだ。
しかし、その第8セクションが、2ラップ目には勝利を決定するカギとなった。ボウはここを見事にクリアして「クリーン」を獲得し、そしてラガは減点5となった。ボウは第8セクションのみならず、15セクションのうち12のセクションをクリーンにしてみせた。2ラップ目の減点はわずか3点。ラガとの接戦を制するには、充分すぎるマージンを生んだ。
| 順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | 総減点 | クリーン数 |
| 1 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 27 | 21 | 48 | 11 |
| 2 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 29 | 21 | 50 | 14 |
| 3 | 3 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 47 | 23 | 70 | 8 |
| 4 | 5 | A.カベスタニー | シェルコ | 41 | 29 | 70 | 7 |
| 5 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 38 | 43 | 81 | 7 |
| 6 | 6 | D.ランプキン | ベータ | 48 | 43 | 91 | 6 |
| 順位 | No. | ライダー | マシン | ラップ1 | ラップ2 | 総減点 | クリーン数 |
| 1 | 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 12 | 3 | 15 | 21 |
| 2 | 2 | A.ラガ | ガスガス | 10 | 13 | 23 | 19 |
| 3 | 5 | A.カベスタニー | シェルコ | 18 | 13 | 31 | 18 |
| 4 | 4 | J.ファハルド | ベータ | 14 | 19 | 33 | 15 |
| 5 | 3 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 25 | 12 | 37 | 16 |
| 6 | 6 | D.ランプキン | ベータ | 24 | 30 | 54 | 13 |
| 順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
| 1 | トニー・ボウ | モンテッサ(Honda) | 37 |
| 2 | A.ラガ | ガスガス | 37 |
| 3 | A.カベスタニー | シェルコ | 28 |
| 4 | 藤波貴久 | モンテッサ(Honda) | 26 |
| 5 | J.ファハルド | ベータ | 24 |
| 6 | D.ランプキン | ベータ | 20 |
| 順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
| 1 | ガスガス | 55 |
| 2 | モンテッサ(Honda) | 53 |
| 3 | ベータ | 44 |
| 4 | シェルコ | 40 |
コメント
トニー・ボウ(2位/優勝)
「日曜日は満足できる結果だった。といっても、序盤では土曜日同様にミスをしてしまった。土曜日はばん回のチャンスなく試合を終えてしまったが、日曜日はいいライディングができた。特に第7、第8セクションはがんばった。この結果で、ラガを引き離すことに成功した。この2つのセクションでの成功が自信になったし、そして勝利も得た」
藤波貴久(3位/5位)
「この数年来、最も厳しい週末となった。土曜日は、緊張もしていたし、体の動きも硬かった。ニューマシンでの初めての世界選手権で、このマシンとの相性がまだ完ぺきとは言えなかったからだ。それに輪をかけたのが、とても滑るセクション群だった。1ラップ目の数多くの失敗をばん回して表彰台に上るのは難しかった。しかし、それ以上に日曜日は厳しい戦いとなった。マシンのセッティングをやや変更して、2ラップ目はやや持ち直したが、すでに時遅しだった」
ライア・サンツ
※REPSOL MONTESA HONDAの女性ライダー、ライア・サンツは、土曜日のジュニアクラスで18位となった。日曜日はより上位を目指すも、足の負傷によりリタイアを余儀なくされた。1ラップ目を終えたところで検査のため病院へ向かう残念な結果となった。