2005年度トライアル世界選手権、第4戦のアメリカ大会が6月4日、5日にスペリオア湖の湖畔の町、デュルースで行われた。
1日目に優勝したのはドギー・ランプキン選手(Repsol Montesa-HRC)で、2日目にはチームメイトの藤波貴久選手が優勝した。藤波選手は1日目2位、ランプキン選手は2日目3位だった。今大会の成績によって、藤波選手がランキングトップに浮上した。
2週間前に行われた日本大会が快晴だったのとは対照的に、アメリカ大会は悪天候に見舞われた。過去に3回トライアル世界選手権を開催しているデュルースだが、今回はオーガナイザーがセクションを数箇所変更し、川沿いの険しい谷にいくつものセクションが設けられた。中でも川沿いのセクション3と4は、今回のコースの中でもベストなセクションだったが、岩の表面が滑りやすくなっており、ライダー達は岩の上でマシンの方向を変えるのに苦戦した。
土曜日のトライアルが始まった直後にはまだ雨が降っていなかったが、その後、1ラップ目の途中から雨が降り始め、豪雨になった。このためライダー達のペースも上がり、皆次々とセクションを通過していったのである。
土曜日の1ラップ目を終えた段階で、トップはランプキン選手、2位藤波選手、3位アントニオ・ボウ選手(ベータ)となっていた。2ラップ目に入ると、雨脚はさらに強まり、ライダー達は華麗なパフォーマンスを披露するというよりは、安全性を重視したトライを繰り広げた。
その中でランプキン選手は、さらにポイント差を広げるのではなく、1ラップ目に築いたリードを守るという作戦に出た。それでもセクション10では水位の増した川にはまってしまったが、今年デビューしたHondaのニュートライアルマシンは、水の中でもエンジンが止まらなかったため、ランプキン選手はそのまま川から脱出することができたのである。
こうして1日目のランプキン選手は、藤波選手に4ポイント差をつけて優勝した。2位には藤波選手が入り、3位ボウ選手となった。もうひとりのRepsol Montesa-HRCライダー、マーク・フレイシャー選手は、7位という不本意な順位で1日目を終えたのだった。
日曜日の朝はさらに雨が激しくなり、霧も深かった。オーガナイザー側から開始時間を1時間遅れさせるという発表が出された。これは水位の上がった川沿いのセクションを変更するためで、実に15セクション中12のセクションが変更された。
最初のライダーがスタートする頃には晴れ間も見え始めたが、1ラップ目を終える頃にはまた豪雨となった。このためオーガナイザーは2ラップ目に関して、安全上の理由からセクション9、10、11を取り消した。コースマーカーでさえ、雨に流されてしまったのである。
1ラップ目、快調だったのは藤波選手。ランプキン選手もセクション12を終えた時点で藤波選手に並んだ。しかし、セクション13でランプキン選手は派手に転倒してしまう。大破したマシンはメカニックがすぐに修理したが、ランプキン選手自身も手首を激しく痛めてしまった。
だが、ランプキン選手は諦めず、手首にテーピングを施してトライを続行。優勝した藤波選手、2位のアルベルト・カベスタニー選手(シェルコ)に続いて3位に入った。フレイシャー選手は2日目も6位に終わり、表彰台に上がることができなかった。
ジュニアクラスに出場している女性ライダー、ライア・サンツ選手(Repsol Montesa-HRC)は、1日目4位、2日目5位となった。
第4戦を終え、藤波選手はランキングトップに浮上したが、同2位タイのランプキン選手とカベスタニー選手とのポイント差は2ポイントと僅差である。
次戦は6月19日にアンドラのセントジュリア・デ・ロリアで行われる。
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