2005年度アウトドア・トライアル世界選手権の開幕戦が、4月17日にポルトガルのパンピロサ・ダ・セラで行われ、ドギー・ランプキン(Repsol Montesa-HRC)がニュー4ストローク・マシンで歴史的な優勝を飾った。4ストローク・トライアル・マシンの優勝は、1986年にスティーブ・サンダースの駆ったHonda
RTLが優勝して以来のことである。
ディフェンディング・チャンピオンの藤波貴久(Repsol Montesa-HRC)は、ナンバーワン・プレートのプレッシャーを感じたのか5位という不本意な成績に終わった。もうひとりのRepsol
Montesa-HRCライダー、マーク・フレイシャーは、1ラップ目の成績は良くなかったが、2ラップ目に挽回して6位となった。
ポルトガルの田舎の村パンピロサ・ダ・セラは、ポルトから南東に約175km下ったところにある。パドックは村の広場に設置され、各セクションは村を挟んだ両側の谷あいと川沿いに設けられるというように、自然を生かした最高のロケーションが確保された。朝方降った雨により、コースはさらに面白いものとなったのである。
第1セクションと第2セクションは、パドック近くの川に設けられた簡単なセクションだったが、第3セクションから難易度も上がった。ここで最初に減点5を課されたのは藤波だった。この日、減点5を4回も出してしまった藤波にとって、最初のミスとなってしまった。
ランプキン、アルベルト・カベスタニー(シェルコ)、アダム・ラガ(ガスガス)の3人はクリーンを連発していたが、その後、ラガがセクション7で減点5を得た。村を取り囲む丘の上に設けられたセクションは、簡単なものもあるが、難しいものも多かった。このため1ラップは各ライダーが自分の持ち時間を考慮しながら、マインドゲームをプレイしあう展開となったのである。
ランプキンは時間に追われ、セクション11ではほとんどトライせずに減点5を選んだ。ラガもセクション11の最初の段差はクリーンしたが、垂直のカベの部分は安全性を考慮するという名目でパス。ここで差を詰めようとした藤波だったが、ハンドルバーに覆いかぶさってしまい、減点3となった。
1ラップ目の15セクションを終えた段階での首位はランプキン。2番手はカベスタニーで、3番手には若手のアントニオ・ボウ(ベータ)がつけていた。その後ろにラガ、グラハム・ジャービス(シェルコ)、藤波と続いた。1ラップ目ですでに3回減点5を出していた藤波は、この時点で合計減点27で、トップのランプキンの倍以上の減点を課されていたのである。
2ラップ目にはラガが、減点の合計が5ポイントと健闘した。反対にカベスタ二―の方は、セクション5とセクション11で減点5を出していた。
そんな中でランプキンは黙々と孤独の挑戦を続けていた。その後、比較的簡単なセクション9で減点5を出してしまったランプキンだったが、最後のふたつのセクションでクリーンを連発し、優勝をものにしたのである。
ラガは、オフィシャルが途中でスコアカードにミスがあったことを認めたため、2位に繰り上がった。その結果、カベスタ二―は3位となった。4位にはボウが入り、藤波は5位で開幕戦を終えたのである。1ラップ目にミスの多かったフレイシャーは2ラップ目に挽回して6位となった。
第2戦は、4月24日にスペインのタラゴナで行われる。
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