決勝日:7月25日(日) 開催地:プエルト・パハレス 天候:快晴 気温:28℃ 観客数:2000人
7月25日にスペインのプエルト・パハレスで行われたトライアル世界選手権第8戦で、藤波貴久(Repsol Montesa HRC)は今季8勝目を挙げ、タイトル獲得に王手をかけた。地元のアダム・ラガ(ガスガス)でさえ藤波の勢いを止めることはできず、2位に終わったのである。
藤波のチームメイト、ドギー・ランプキンは3位に入ったが、1ラップ目を終えた段階では首位だっただけに、3位という結果に満足していなかった。藤波のもう1人のチームメイト、マルク・フレイシャーも6位に終わったため落胆していた。
2週間のインターバルを経て、トライアル世界選手権を戦うメンバーはスペインに集結した。スペインは世界中でトライアルの人気がもっとも高い国。通常スペイン大会はバルセロナに近い地域で開催されるが、今年は北西部の沿岸にあるプエルト・パハレスで行われた。
プエルト・パハレスはオビエド市の南70kmの山間にある村である。冬の間はスノーリゾートとして賑わうこの村も、今回はトライアル・マシンで賑わっていた。一番高いところで標高1600メートルに達する会場では、大きなロックの表面を越えるセクションがポイントとなっていた。
アンドラ大会同様に、スペイン大会も日曜日1日の構成だった。しかし、アンドラの場合と違って、土曜日に行われたヨーロッパ・シリーズの大会に、世界選手権に出場しているライダーの参加は認められなかった。土曜日と日曜日のコースはほぼ同じで、セクションも大半が共用されていたが、日曜日のセクションの方が世界選手権のレベルにふさわしい難易度を持っていた。
大半のセクションが初めてのものであったため、難易度を予想するのは難しかったが、このコースではトップライダーでさえ苦戦するということがすぐに分かってきた。最初の障害物ではラガとランプキンが減点1を受け、藤波が減点3を課されたからである。
コースは1400メートルの地点から急激に上がっていった。次の難関は草に覆われた山の頂上の手前に設けられたセクション6で、ラガがクリーンをマーク。ランプキンは減点2、藤波は減点5を受けた。1ラップ目を終えた時点で、藤波はトップのラガに7ポイント差をつけられて3位につけていた。
1ラップ目を終えた時点で、ラガとランプキンの減点数は27で同点だったが、ランプキンにタイムペナルティがあったため、ラガがトップとなった。この時点でフレイシャーは4番手につけていたが、2ラップ目では調子を落としていった。
2ラップ目に入ると、ラガとランプキンのパフォーマンスが上がらなかったのに対して、藤波は素晴らしい復活を見せた。しかし、それでも当初藤波が優勝するのは難しいというのが大方の見方だった。しかし、第12セクションで、ラガがトライの前に岩を動かしたというペナルティを課された。この判定はその後、物議をかもすことになった。
ラガは正式に抗議を出したが受け入れられず、結局藤波に2ポイント差をつけられて2位となった。ランプキンも最後のセクションで減点5を出して3位に転落したのである。フレイシャーもミスが続き、最終的には6位で地元のスペイン大会を終えた。
現在ランキングトップの藤波と2位のランプキンの差は24点、ランキング3位のラガとの差は28点となっている。次戦は最終戦となり、9月4日、5日にスイスのムティエで開催される。 |