決勝日:6月19日(土)/20日(日) 開催地:バルデブロア 天候:土曜日:晴れ、一時雨/日曜日:快晴 気温:土曜日:24℃/日曜日:20℃ 観客数:5000人
5月22日、23日の日本ラウンドと6月5日、6日のアメリカ・ラウンドを経て、トライアル世界選手権は再びヨーロッパに戻ってきた。6月19日、20日にフランスのバルデブロアで行われた第5戦では、藤波貴久(Repsol Montesa HRC)とアダム・ラガ(ガスガス)がそれぞれ1位と3位を分けた。藤波のチームメイト、ドギー・ランプキンは両日とも2位となり、もうひとりのチームメイト、マーク・フレイシャーは8位と6位に終わった。
第5戦の開催地となったバルデブロアは、南仏の有名な避暑地ニースから60km北上したところにあるのどかな田舎町。先週末に降った雨のせいで道路わきの崖が崩れてしまい、主要道路が通行止めとなったため、今回の“トライアル”は大会開催前からすでに始まっていた。チーム関係者は全員、長距離迂回を余儀なくされてしまったのだった。
試練はさらに続いた。バルデブロアが標高1000mにあり、1000mという標高がトライアル世界選手権の場合、高くも低くもないという中途半端なものであるため、通常高い標高の場所で使うパーツを完全に使用できるわけではないという難しい状況となっていたのである。
地元のテレビ局の天気予報によると土曜日は雨ということだったが、最初のライダーがスタートするころになると気温は20℃を超え、雨の予報が疑わしいものと映っていた。トライアル世界選手権がヨーロッパに戻ってきたことにより、参加台数が増えたため、最後のトップライダーがスタートを切ったのは昼近くだった。
最初の4つのセクションは比較的簡単で、ここを終えた時点では藤波が減点1、ランプキンが減点2、ラガが減点3となっていた。ところがその直後、予報どおり突如雨が激しく降り始めた。雨はすぐに止んだとはいうものの、コースはすでにかなりスリッピーになっていたのである。
15個のセクションのうち11個は村の南側にある流れの速い川に設けられていた。残りの4つはドライ・ロックで、そのうちの2つはパドック上の険しい崖に設けられていた。川のセクションの大半は、アプローチの部分に岩が点在し、水の中の見えない部分に大きな岩が隠されているというものだった。状況が常に変化していたため、ライダーはここで素早いリアクションとライディングスキルを試されたのだった。
土曜日の1ラップ目に関して、トップライダーたちの成績はそれほど良いものではなかった。3時間半というタイムリミット内で完走しなくてはいけないため、最後のいくつかのセクションは下見を行わずにトライしなくてはならなかったからである。それでも、1ラップ目を終えた段階ではランプキン、ラガ、藤波の順となっていた。ちなみに減点25を科された藤波の場合、そのうちの3つはタイムペナルティだったのである。
2ラップ目に見せたのはラガだった。セクション1から12までの減点をわずか2点におさえたラガは、最後の2つのセクションで減点5を受けたものの強さを発揮した。この結果、土曜日の優勝者はラガとなり、2位がランプキン、3位藤波となった。フレイシャーはウエット・コンディションのときにうまく足を着くことができず、8位で一日目を終えた。
日曜日に関して変更されたセクションは一箇所だけだった。また、夜間に雨が降ったが、朝の強烈な太陽によってコースは乾いていた。序盤トップに立っていたのはジェロニ・ファヤルド(ガスガス)、ラガ、ランプキン、藤波の4人で、この4人は最初の4つのセクションを難なく通過していった。
最初の試練となったのは、前日と同じで2段の階段があるセクション5だった。ここではファヤルドがただひとりクリーンをマークし、藤波が減点1、ラガとランプキンが減点5を科された。その後、ランプキンも挽回し、1ラップ目を終えた時点での順位はランプキン、藤波、ラガ、ファヤルドとなった。
2ラップ目はランプキンと藤波の神経戦となった。この2人は他のライダーを寄せ付けず、まったく差のない状態でトライを重ねていった。そして、セクション14でランプキンが減点1を受けた時点でこの日の2人の減点は並んだ。ただし、クリーンの数は優勝した藤波が24だったのに対してランプキンは22と2つ少なかったのである。
3位にはラガがアルベルト・カベスタニー(ベータ)を振り切って入賞。フレイシャーは前日よりはるかに良いパフォーマンスを見せ、6位に入った。
現在ポイントトップの藤波と2位のランプキンの差は11点。フレイシャーはランキング5位につけている。次戦は6月27日にアンドラのサンフリア・デ・ロリアで行われる。 |