決勝日:6月5日(土)/6日(日) 開催地:ダルース 天候:土曜日:雨のち晴れ/日曜日:快晴 気温:土曜日:11℃/日曜日:23℃ 観客数:4000人
5月22日、23日に地元のツインリンクもてぎでダブルウインを達成した藤波貴久(Repsol Montesa HRC)が6月5日、6日にアメリカ・ミネソタ州のダルースで行われたトライアル世界選手権第4戦でもダブルウインを達成した。その結果、藤波はチームメイトのドギー・ランプキンに10ポイント差をつけてランキング首位を確実なものとしている。
トライアルの本場ヨーロッパから離れ、日本に続き、2カ所目の遠征地となるアメリカ。前回ダルースで世界選手権の大会が行われたのは2002年のことだった。冬場はスキーリゾートとして人気の高いスピリット・マウンテン・リクリエーション・センター。有名なスペリオル湖を見下ろすスキー用スロープに設置された施設を中心として、ウエットとドライの障害物を利用したセクションが本大会のために設けられた。
金曜日に行われた下見では、各セクションがやさしすぎるという意見がライダー達から出された。トップライダーとメーカーの意見がFIMとオーガナイザーに提出され、オーガナイザー側はただちにこれに対処した。
大会に先立つ21日間、雨が降り続いていたというのに、山の斜面の土は驚くほど乾いていた。しかし、標高が下がると、ぬかるみの多いコンディションだったのである。
予報通り土曜日の朝に豪雨が降ったことや、前日セクション変更が行われたことにより、コースはかなり難易度の高いものとなっていた。比較的簡単な第1セクションに続くロックの第2セクションでは、藤波のチームメイト、マーク・フレイシャーだけがクリーンをマーク。藤波、ランプキン、アダム・ラガ(ガスガス)はいずれも減点2で無難に通過した。
第3セクションは“大きな壁”と呼ばれる高さ4メートルのロック。ここでクリーンをマークしたのはラガだけで、ランプキンは減点5を科された。
豪雨が続いたため、土曜日の1ラップ目はマディなコンディションとなり、いくつかのセクションは走行不可能な状態だった。2ラップ目になると第9セクションは川の水かさが増したため、安全上の理由から廃止されたのである。
1ラップ目を終えた段階での首位はランプキン。2点差でグラハム・ジャービス(シェルコ)が続き、藤波はジャービスと1点差で3位につけていた。
2ラップ目になると雨も上がり、発生していた濃霧も晴れてきた。今回もランプキンは“壁”で苦戦して落下。マシンもろとも地面に叩きつけられた。フロントフォークが破損したマシンの横で動かぬランプキンを見て、周囲に一瞬緊張が走ったが、すぐにランプキンは起き上がった。
負傷が治療され、マシンが修復されたとはいうものの、その後もランプキンの不調は続いた。代わってトップ争いを繰り広げたのが藤波、ラガ、ジャービスの3人だった。2ラップ目に一番減点の少なかったのはラガだが、最終的に藤波が2位のジャービスに4点差で土曜日の競技を終え、優勝した。3位にはラガが入り、ランプキンは4位、フレイシャーは不調で6位に終わった。
明けて日曜日は素晴らしい天候に恵まれた。気温はどんどん上がって23℃にまで達した。天候の変化を予測していたオーガナイザーは、セクションの難易度を変更し、3つのセクションをさらに難しいものとし、4つのセクションの難易度を引き下げた。
前日、壁から墜落して負傷したランプキンだが、日曜日の1ラップ目にはいつもの彼に戻っていた。今回もランプキン、藤波、ラガの戦いとなり、3人はほとんど大差なく第13セクションに向かった。ここでランプキンは信じられないようなミスを犯してしまう。マーカーフラッグの逆側からセクションに進入してしまったランプキンは減点5を科されたのだった。
1ラップ目を終えた段階での順位は藤波、ラガ、ランプキンだったが、2ラップ目に入りランプキンが挽回。優勝した藤波に追いつくことはできなかったが、減点数でラガに並び、クリーンの数が上回ったことにより2位に入った。3人目のRepsol Montesa HRCライダーのフレイシャーは7位という不本意な順位で2日目を終えている。 |