決勝日:5月22日(土)/23日(日) 開催地:ツインリンクもてぎ 天候:土曜日:曇りのち雨/日曜日:曇りのち霧雨 気温:土曜日:10℃/日曜日:11℃ 観客数:1万7000人
Repsol Montesa HRCの藤波貴久は、5月22日、23日にツインリンクもてぎで行われたトライアル世界選手権第3戦で両日とも優勝し、初の地元完全制覇を成し遂げた。これにより藤波は、チャンピオンシップポイントでもチームメイトのドギー・ランプキンと同点で首位に立ち、優勝回数においてはランプキンに勝っている。
しかし、藤波は楽に連勝した訳ではない。両日ともライバルのランプキンとは接戦だった。また、日曜日に関しては藤波のもうひとりのチームメイト、マーク・フレイシャーが3位に入り、Repsol Montesa HRCのライダーが表彰台を独占した。
ツインリンクもてぎで行われる日本ラウンドは、シリーズの中でも最も威信の高い大会のひとつである。ここでは、ヨーロッパでおなじみのサポートトラックがない代わりに、各チームはロードコースのピットレーンに設けられた素晴らしいガレージを使用することができる。MotoGPでは当たり前のことだが、トライアル・メカニックにとっては特別な機会なのである。
サーキットの外にある森は格好のセクションとなっており、さらにメインスタンド前に設けられた人工の第1セクションと第15セクションは毎年素晴らしい構成となっているが、特に今年は日本庭園をイメージして、川や木が設置されていた。
金曜日まで降り続いた雨のせいで、コースは滑りやすいものとなっていたが、それでも金曜日の午後に行われたコース下見では、大勢のライダーが減点数の少ない大会になると予測していた。このため、土曜日に1ラップ目の第1セクションに入った段階では、皆が緊張感を隠せずにいた。
第1セクションではスリッピーな丸太が最大の難関となっていた。目の前でアダム・ラガ(ガスガス)が減点5を科されたのを見た藤波は、慎重に減点2でここを通過。ランプキンもチームメイトに従った。
その後、セクションはサーキットの外の険しい崖のセクションから森のセクションへと移っていった。8セクション目を終えた段階で藤波とランプキンの減点数の差は2点。フレイシャーも1点差でこれに続いた。
しかし、その後3人のポイント差は広がり、1ラップ目終了時点で藤波が減点2のままであったのに対してランプキンが9点、フレイシャーが10点となった。ランプキンは第11セクションの比較的簡単な障害物でマシンから落ちて減点5を科された。
2ラップ目に入ると、他のライダーがどんどんパフォーマンスをアップさせ、藤波にプレッシャーがかかってきた。かたやランプキンはいつものように素晴らしい追い上げを見せていたが、第5セクションに入ってすぐのところで若干後ろに後退してしまい減点5を科された。このため、2ラップ目に減点11となった藤波とは1ポイント差で2位に終わった。
その結果、土曜日のウィナーは藤波となり、2位がランプキン。ランキング首位でもてぎ入りしたラガが3位に入り、グラハム・ジャービス(シェルコ)、フレイシャーと続いた。また、トップ争いとは別に、地元の小川友幸が乗ったHondaのニュー4ストローク・マシンにも注目が集まっていた。ちなみに小川は総合9位で土曜日のトライを終えたのである。
日曜日に関しては3つのセクションが若干変更されたが、コースの難易度に変化がなかったため、神経をすり減らすような戦いが予想された。フレイシャーが最初の8セクションでクリーンを出すと藤波も第7セクションまでクリーンを連発。ランプキンも第5セクションまでクリーンを連続した。
第11セクションまで藤波とランプキンの減点数は同じだったが、次のセクションでランプキンはマーカーフラッグに触れたとオブザーバーによって判定された。その後、ランプキンはこのペナルティに対して正式に抗議を出したが受け入れられなかった。
これに落胆したランプキンは、第13セクションでも減点3を出し、1ラップ目を終えた段階では藤波、フレイシャーに続いて3位に終わる。しかし、2ラップ目に関してランプキンの追い上げは素晴らしく、15セクションをすべてクリーンで通過したのだった。
藤波は、日曜日も2ラップ目にはプレッシャーを受けていたが、それでも減点数でランプキンに並び、クリーンの数で勝ったため優勝し、初の地元2連勝を達成した。3位にはフレイシャーが1ポイント差で入った。4位にはラガのチームメイト、ジェロニ・ファヤルド(ガスガス)が入ったためラガは5位に終わり、ポイントテーブルでも藤波とランプキンに7ポイント差をつけられた。ニュー4ストローク・マシンに乗る小川は2日目も9位に入り、ニューマシンのデビュー戦を好成績で終えている。
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