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藤波は土曜に優勝するも、日曜で3位と後退 |
トライアル世界選手権第8戦は、7月19/20日にフランスのブレアル・スー・モンフォールで行われ、前戦のイタリア大会同様にmontesa HRCのドギー・ランプキンと藤波貴久が一勝ずつ挙げた。
フランスの北西部、レンヌ近郊にあるブレアル・スー・モンフォールは、海岸からさほど離れていない場所にあり、標高も低い。
このトライアル・パークは過去10年間、国際競技会の開催地として有名になってきたが、世界選手権が最後に開催されたのは1994年のことだった。今回も運営とコース準備に関しては抜群だったが、コースがコンパクトであるために、セクションは若干バラエティ不足だった。
セクションの設計を担当したのはフランス人で元トライアル世界選手権ライダーのブルーノ・カモッツイで、セクションは主に大きな岩を用いたものとなっていたのである。
第7戦を終えた段階でランキング首位のランプキンと2位の藤波のポイント差は8点。今回を含めて残りは2大会。タイトル争いの渦中にいるランプキンと藤波の間には、緊張感が流れていた。
土曜日の1ラップ目では、お互いに序盤ミスもあったが、その後二人そろって挽回し、ランプキンが藤波に僅差をつけてトップで15セクションを終えた。
しかし、土曜日の2ラップ目、最初の3分の1に関して藤波と好バトルを展開したランプキンが、第6セクションから第10セクションにかけて、減点2−2−5−0−5を受けてしまう。
このチャンスを見逃さなかった藤波は、終盤リラックスして素晴らしいトライを見せ、ランプキンを引き離し、土曜日の優勝をもぎ取った。かたやランプキンは必死で2位キープに専念した。ここで2位に入ることができないと、一気に藤波にポイントを詰められてしまうからである。
初タイトル獲得のためには、残りのトライアルで勝ち続けなくてはいけないということを知っていた藤波は、土曜日の優勝を喜んでいた。ランプキンの方は翌日に期待をかけていたのである。
コース・デザインがほぼ完璧で、セクションの難易度のレベルも正しいと判断されたため、今シーズンに入って初めて土曜日の夜にセクション変更は行われなかった。
日曜日の1ラップ目、緊張のため第2セクションで減点5を受けた藤波に対して、ランプキンは前日失敗続きだった第6−第10セクションでも減点を最小限にとどめていた。
1ラップ目を終えた時点でランプキンは2番手につけるアルベルト・カベスタニー(Beta)に10ポイント差をつけて、楽勝ペースを築き上げた。
藤波の方は、3番手につけるアダム・ラガ(Gas Gas)にも追いつけず、グラハム・ジャービス(Sherco)と4位争いを繰り広げた。
2ラップ目、リラックスしてトライを続けるランプキンの優勝は確定的だった。このため、周囲の関心は、誰が2位に入るかに移っていた。通常ランプキンと優勝争いを繰り広げている藤波は、今回はラガと2位争いを展開することになった。
ラガと藤波の二人は最終セクションまで素晴らしいトライを連発し、観客の目を釘付けにした。しかし、最終的に1ポイント差で藤波は3位に終わってしまったのである。
もうひとりのmontesa HRCライダー、マーク・フレイシャーは、今回土曜日5位、日曜日6位と振るわなかった。
●ドギー・ランプキン (土曜日―2位、日曜日―1位) 「昨日、藤波が優勝して僕が2位に終わったので、今日はもうこれ以上藤波にポイント差を詰められないようにしようと思っていた。今朝は自信があったけど、皆もスコアを抑えてくるだろうというのがプレッシャーとなっていた。セクション2でクリーンを出したのが重要だった。セクション4で藤波が減点5を受けたというニュースを聞いた時、今日はいけると思った。1ラップ目の出来はパーフェクトだった。2ラップ目はリードを保つことに専念していた。ラガが2位に入るというのは予想外で、そのおかげで藤波に10ポイント差をつけて最終戦を迎えられる。10ポイント差というのは0ポイント差よりはるかにいいからね」
●藤波貴久(土曜日―1位、日曜日―3位) 「今日は本当にひどい一日でした。今朝から気分が悪くて、プレッシャーもありました。そんなに大きなプレッシャーというわけではなかったのですが、1ラップ目は調子が悪く、スピードが乗らず、ミスを連発してしまいました。2ラップ目は1ラップ目とはまったく違って良いライディングができたのですが、その時点ではすでにランプキンに逃げられていたし、ラガにも先行されていました。残り1大会で10ポイント差あるので、ランプキンを破るのはかなり難しいと思います。でも、僕は諦めません。僕はまだ自分が世界チャンピオンになれると信じています」 |