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減点を抑えて両日を制したフレイシャー |
03年トライアル世界選手権第2戦が4月12〜13日、ルクセンブルクのエッテルブルクで行われた。今回は23歳のスペイン人ライダー、マーク・フレイシャー(montesa HRC)が両日とも優勝。一気にランキング2位に浮上した。開幕戦アイルランド大会の優勝者であるmontesa HRCのドギー・ランプキンは両日2位、藤波貴久は両日4位となった。ちなみに、ランプキンはランキング首位をキープしたが、藤波はランキング3位と一歩後退した。
今回の舞台であるエッテルブルクは、森の斜面に大きな岩を設置して作った人工セクションが多いコース。とはいえ、連日の晴天によりドライで埃っぽくなっていため、コースの難易度としては決して難しいものではなかった。そのため、減点数も少なくなるだろうと読んだ各ライダーは、土曜日の最初のセクション・トライ開始前にスタートを遅らせ、少しでもアドバンテージを得ようと駆け引きしていた。
1ラップ目、フレイシャーとランプキンは15のセクションの大半で接戦を演じた。フレイシャーがランプキンに2点差をつけて同ラップを終えようとしていた。ところが、ランプキンが今年から新たに科されるようになった3時間半という中間タイムリミット(1ラップ目を終える規定時間)に若干遅れ、さらに2点減点されてしまった。
2ラップ目ではフレイシャーが最初のセクションで減点5を科されたため、ランプキンが有利のように思われた。しかし、ランプキンもセクション8とセクション13で不本意なミスを犯したため、結局1日目の優勝はフレイシャーとなった。
一方、藤波は土曜日の1ラップ目にリヤのサスペンションのセッティングに苦戦したものの、2ラップ目は最小減点で競技を終えた。しかし、初日の順位はフレイシャー、ランプキン、グラハム・ジャービス(Sherco)に続いて4位と、表彰台には一歩届かなかった。
二日目に変更されたセクションはふたつだけだった。またしても減点数が少なくなることが予想され、トップライダーたちはナーバスになっていた。温かい春の日差しの中、集まった大勢の観客はスタート地点で待機するライダーたちのスタートを、今か今かと待ちわびていた。
1ラップ目、ランプキンはセクション3で痛恨のミスを犯すが、その後のセクション8でフレイシャーや黒山健一(Beta)が減点5を科される中をクリーンで通過して挽回。結局、1ラップ目終了時点での順位は、黒山、ランプキン、ジャービス、藤波となった。
1ラップ目にトータルタイムアロワンスを大半使ってしまったため、2ラップ目は各ライダーともスピードアップして各セクションに臨んだ。そんな中でランプキンはセクション3で転倒し、マシンの修理に時間を費やした。しかし、フレイシャーと黒山にも同じようなミスがあったため、大差はつかなかった。
結局、混戦となった2日目を制したのは減点を19に抑えたフレイシャーで、2位にはランプキンと黒山が減点20で並んだ。タイブレークの結果、ランプキンが黒山を抑えて2位、黒山3位という結果になった。藤波は2日目も4位に終わり、無念にも表彰台を逃した。
●マーク・フレイシャー(1日目―1位、2日目―1位)
「僕にとってもチームにとっても良い週末になった。先週アイルランドで行われた開幕戦で高成績を残すことができたので、その感触を維持したまま今回の大会に臨むことができた。エッテルブルクのコースは簡単にクリーンを出すことができるけど、同時にミスも犯しやすいという難しいものだ。大勢のライダーがこの罠にはまってしまったようだね。まだ、このマシンに乗り始めて日が浅いけど、とても満足している。このままの勢いで今後の大会に臨んでいきたいね」
●ドギー・ランプキン(1日目―2位、2日目―2位)
「今回の結果にはがっかりしている。特に2日目にセクション3で2度も減点5を出してしまったことが悔やまれる。フレイシャーと黒山は2度ともあそこでクリーンを出しているのにね。また、1ラップ目のセクション11でも5点減点してしまった。通常は3回も減点5を出せば優勝するチャンスはほとんどない。でも、今回はすごく接戦だったね。いくつかのセクションはすごく簡単で、マルクは気に入っていたようだ。今回、マルクはコース特性をフルに生かしたようだね。僕は転倒した時に体を打って背中とくるぶしがまだ痛い。大したことのない打撲だけど、明日の朝はもっと痛くなりそうだ」
●藤波貴久(1日目―4位、2日目―4位)
「今回は土曜日の1ラップ目にリヤサスペンションのセッティングがうまくいかず、急いで交換するというトラブルがありました。交換はスムーズにできたのですが、マシンのフィーリングは完璧な状態には戻りませんでした。その後も、サスペンションの調整を続け、2ラップ目には良い成績を出すことができました。でも、日曜日もまだマシンには若干違和感があったんです。大会中にサスペンションの調整を行いながら良い成績を出すというのは難しいですね。次のドイツ大会に向けては、十分テストを積んで万全の体制で臨みます」
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