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前年優勝のランプキンは、周囲を唸らせる
見事なテクニックを披露 |
‘03年4月5日、6日に北アイルランドのバンゴールで行われたトライアル世界選手権開幕戦では、montesa
HRCライダーでディフェンディング・チャンピオンのドギー・ランプキンと、同じくmontesa HRCに所属する藤波貴久が共に1勝し、幸先の良いスタートを切った。
曇りのち晴れという天候のもとで行われた1日目。藤波は開始早々の第2セクション、高さ3mのロック・セクションでクリーンをマーク。これに対してランプキンは岩の頂上近くで滑り、マシンが宙を舞ってしまった。それでも15個のセクションによって構成される1ラップ目を終えた時点で藤波とランプキンはわずか1ポイント差で1位、2位につけた。
2ラップ目でも明暗を分けたのは第2セクションだった。藤波が1ポイントの減点で通過したのに対して、ランプキンは再び5ポイントを課されてしまう。
その後もランプキンはハンドルバーが折れてしまうというトラブルに見舞われたが、それでもなんとかマシンを押して終了地点に到達したのだった。
その結果、1日目に優勝したのは藤波となり、2位にランプキンが入った。3位にはつい先日まで行われていたインドア・トライアル選手権で世界チャンピオンとなったアダム・ラガ(Gas Gas)が入った。
2日目になると5個のセクションが変更され、コースは前日よりさらに難しくなった。朝露の残るロック・セクションは、競技開始直後は滑りやすい状態にあり、何人ものライダーがここで苦戦していた。
その第2セクションでランプキンは再びミスを犯すが、そこからの追い上げは見事だった。1ラップ目を黒山健一(Beta)に続いて2位で終えたランプキンは、2ラップ目には課題となっていた第2セクションもクリーンし、2日目に2位に入ったマーク・フレイシャー(montesa HRC)に5ポイント差をつけて優勝。ディフェンディング・チャンピオンの素晴らしいパフォーマンスには、コースサイドに集まった大勢の観客から大きな拍手が巻き起こっていた。
かたや藤波の方は滑りやすいロック・セクションで苦戦し、2日目は最終的に4位に終わった。その結果、開幕戦を終えた時点で、ランキングは1位ランプキン、2位藤波となっている。
montesa HRCの3番目のライダー、フレイシャーは、1日目は8位と振るわなかったが、2日目には2位に入り、ランキングでも4位につけている。
次戦は4月12日、13日にルクセンブルグのエッテルブルクで行われる。
●藤波貴久(1日目―1位、2日目―4位)
「今回はこの会場に来る前から調子が良かったんです。シーズンオフにたくさんトレーニングや練習を積んだので、自信がありました。また、ランプキンと一緒に走る機会も多かったので、自分の実力が上がってきたことが分かっていました。昨年まではランプキンの独走状態でしたが、今年は誰がチャンピオンになってもおかしくないと思います。開幕戦で優勝できて本当に嬉しいです」
●ドギー・ランプキン(1日目―2位、2日目―1位)
「2日目も全部が全部うまくいったわけではない。コンディションが変化して、1日目よりさらにスリッピーになっていた。1ラップ目の第2セクションでは、今大会3度目の5ポイント減点になってしまったけど、2ラップ目にそこをクリーンできた時には優勝できると確信していたよ」
●マーク・フレイシャー(1日目―8位、2日目―2位)
「まだマシンのことを学んでいる最中なんだ。だから1日目には良い結果を残すことができなかった。2日目はセクションが難しくなっていたけど、自分に自信もついていたのでうまくいった。今回の結果には満足している。今後も2日目のような結果を出していきたい」
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