性能

VFR1200X
Photo: VFR1200X Dual Clutch T ransmission

ゆとりある動力性能と独自のサウンドを追求したV4エンジン

エンジンは、低・中回転域から高回転域までトルクフルかつスムーズで、V4ならではの独自のサウンドと鼓動感を追求した、PGM-FI採用1,236cm3水冷V型4気筒。エンジン前後長と、吸・排気系の配置に影響を及ぼさないエンジン高とを理想的にバランスさせるために、Vバンク角は76°に設定。さらに、28°位相ピンクランクシャフトを採用し、狭角のVバンクで発生する一次振動を低減させている。また、前方から見た場合、フロントバンクとリアバンクのそれぞれのシリンダーを左右対称に配置。左右方向の一次振動も抑えている。さらにHonda独創のユニカムバルブトレインを採用。気筒ごとに使われる4本のバルブを1本のカムシャフトで駆動させることで、エンジンの軽量・コンパクト化に貢献している。また、マフラー構造は3室リターン+1パイプ構造とし、独自のV4サウンドと鼓動感を演出。さらに、エキゾーストパイプ内にはトリメタルキャタライザーを採用し環境性能に配慮している。スロットルボディーにはスロットルグリップの開度を電気信号を介した伝達とすることで応答性・操作性を向上させ、リニアなスロットルフィーリングを実現するスロットル・バイ・ワイヤ方式を採用している。

操る楽しさを様々なシーンで。Honda セレクタブル トルク コントロール

後輪への駆動力のレベルを必要に応じて任意に選択できるHonda セレクタブル トルク コントロールを装備。フューエルタンク左前側に配置されたレベル切替スイッチで、ライダーによる後輪駆動力のレベル選択(3レベル+オフ)が可能。レベル設定オンの状態では走行中、前・後輪の回転差を感知し、そこから算出したスリップ率がライダーの選択した所定のレベル以上となった場合、ECUが後輪のタイヤがスリップしたと判断しスロットル・バイ・ワイヤと燃料噴射の最適なコントロールにより、エンジントルクを最適化し後輪駆動力を抑制。システム作動時はメーターパネルのインジケーターの点滅でライダーに知らせる。

より扱いやすさを追求したデュアル・クラッチ・トランスミッション

より扱いやすさを追求したデュアル・クラッチ・トランスミッションHondaがモーターサイクル用に世界で初めて開発したデュアル・クラッチ・トランスミッション。メインシャフト上で奇数段(1-3-5速)をインナーメインシャフト、偶数段(2-4-6速)をアウターメインシャフトに同軸上に配置することで、トランスミッションの2軸レイアウトを可能なものとした。インナーメインシャフト/アウターメインシャフトはそれぞれに独立したクラッチを持ち、例えば1速から2速への変速時においては、コンピューターがシフトアップを検知すると、2速へ予備変速を行い、1速側のクラッチを切りながら2速側のクラッチを接続する。このような2組のクラッチの切り替えにより、駆動に途切れのない、スムーズで素早い変速を追求。快適性と操る楽しさをさらに高めている。

*Honda調べ(2010年6月時点)。

デュアル・クラッチ・トランスミッションに、2種類の操る歓び。 ATモード/MTモード

デュアル・クラッチ・トランスミッションには「ATモード」「MTモード」の2種類の走行モードを設定。ハンドル右手元のモードスイッチにより選択でき、「ATモード」では走行状況に応じて的確なシフトアップ/ダウンを自動的に行い、「MTモード」では左手の人差し指で操作するシフトアップスイッチと親指で操作するシフトダウンスイッチにより任意に変速可能。なお「ATモード」では、走行中に任意で変速操作をした場合、再び「ATモード」に自動復帰する機能を採用している。また、「ATモード」では、クルージング走行からスポーツ走行までをカバーする「Dモード」、より高回転をキープするスポーツ走行に適した「Sモード」の選択が可能。さらに、加減速時の駆動力変化やエンジンブレーキ時、Sモードのシフトタイミング等でのシフト制御で、より人の感性に近いフィーリングを追求。操る楽しさを味わえる操作感にこだわっている。

制動力を最適に前・後輪へ配分し、ロックを回避するコンバインドABS

ブレーキには、フットブレーキを操作すると前・後輪が連動するコンビブレーキシステムに、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を組み合わせた「コンバインドABS」を採用。走行中、前・後輪に装備した車輪速センサーからの情報をもとに、自己診断機能付ECUがタイヤのロックを監視。ブレーキのかけ過ぎや急な路面変化によるタイヤのロック傾向を検知するとタイヤのロックを回避し、車体コントロール性と制動性能に貢献する。

※コンビブレーキシステムはあくまでもブレーキ操作を補助するためのシステムであり、前・後輪のブレーキを同時に操作することがブレーキングの基本です。ABSは制動距離を短縮させるためのシステムではありません。ABSはあくまでもライダーのブレーキ操作を補助するシステムです。したがって、ABSを装備していない車両と同様に、コーナー等の手前では十分な減速が必要であり、無理な運転までは制御できません。ABS作動時は、キックバック(揺り戻し)によってシステム作動を知らせます。