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日鉄興和不動産株式会社(品川インターシティ)

オフィスビル管理業務の労働生産性向上と負担軽減に貢献

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  • #業務負荷軽減
  • #多様な人材の活躍できる場

東京都心のプライムエリアを中心に大規模都市開発や高級賃貸マンションを手掛ける総合デベロッパーの日鉄興和不動産株式会社。オフィスビル管理における人員不足をはじめとした社会課題に対し、積極的にロボットを活用した業務負担の軽減に取り組んできました。今回、品川インターシティ(開発:日鉄興和不動産株式会社、管理・運営:品川インターシティマネジメント株式会社)で実施した、業界初の『ビル管理業務へのUNI-ONE活用実証』について畑中様に伺いました。

課題

  • ロボットを活用したビル管理業務の自動化が進む一方、「人に頼らざるを得ない業務」に対する有効な改善策が無い
  • 人手不足の中、「働く人」からも選ばれ、多様な人材が活躍できる環境を実現したい

効果

  • UNI-ONEを活用した従業員は、歩数の減少に伴い、疲労の大幅な軽減を実感
  • 従来、車いすユーザーには難しかった床の清掃業務も、UNI-ONEを使えば可能に!
お話を伺った方

日鉄興和不動産株式会社 住宅事業本部 再開発推進部 再開発推進第一グループ 兼 フューチャースタイル総研室

チーフマネージャー 畑中 信二 様

多様な人材が活躍できる場を目指して

日鉄興和不動産様の会社概要、事業内容をお聞かせください

弊社は1952年に創業し、多岐にわたる不動産事業を展開している総合デベロッパーです。オフィスビル事業では、UNI-ONEを導入した品川インターシティをはじめとする先進的なプロジェクトを手掛けています。また、住宅事業では、外国人向け高級賃貸住宅やハイエンド・アッパーミドル層向けの都心型高級賃貸マンションを提供し、物流事業では最新鋭の物流施設を展開しています。さらに、ホテル事業や海外事業にも積極的に取り組み、スタートアップ支援施設の運営やオープンイノベーションにも力を入れています。

UNI-ONEを導入された経緯を教えてください

オフィスビル管理業務は、人手不足や従業員の高齢化といった課題が深刻化しています。これまでは、現場レベルの工夫や努力で何とか業務品質を維持できていた現場であっても、今後はそれも限界に近づいてくることでしょう。こうした背景から、日鉄興和不動産では、「働く人」からも選ばれるオフィスビルを目指し、自動清掃ロボットなどのテクノロジーを積極的に導入することで業務改善に取り組んできました。 一方で、現時点のロボット技術にはまだ限界もあり、設備面の制約もあって、一部の業務しか代替できていないのが実情です。これは自動化を目的としたロボットを否定するということではなく、むしろ「人にしかできない業務」も多く残されているという前提のもと、その様な業務の効率化や負担軽減も進めなければ、真に働きやすい環境は実現しえないということです。特に清掃や物流は長時間の歩行を伴うため身体的負担が大きく、体力や年齢によって作業スピードに差が出やすい業務です。さらに、同じ人でも疲れ具合によって作業効率が大きく変わるという課題もあります。そうした中で注目したのが「UNI-ONE」でした。移動しながら両手が自由に使える特性は、清掃や物流といった業務と相性が良いと感じたのがきっかけです。自動化ロボットが人の作業を代替するものであるのに対し、UNI-ONEは、人の動きを補い、力を引き出す“拡張のためのツール”として期待できました。将来的には、歩行に不安のある方にも新たな就労の機会を提供できる可能性があり、人材活用の幅を広げる意味でも大きな意義があると考えました。 そこで、多様な人材が活躍できる場の実現に向けて、まずは品川インターシティで試験的に導入し、清掃と物流業務でのUNI-ONE活用が、労働生産性の向上や業務負荷の軽減につながるかを確認することにしました。実証の場に品川インターシティを選んだのは、南北に4つのビルが並ぶ構造になっており、業務中の横移動が多いという特徴があるからです。

床清掃時間を約25%削減しながら、疲労も大幅軽減!

清掃業務では具体的にどのような検証を行ったのですか?

今回の実証では、実際に現場で清掃業務を行っている従業員にUNI-ONEに乗ってもらい、移動距離の長い外構部や屋内共用部の一部で床清掃を行ってもらいました。 作業時間については、UNI-ONEを活用することで対象業務の作業時間を約25%削減することができました。また、従来の徒歩による清掃では作業後半に清掃速度・品質が低下する傾向がありましたが、UNI-ONEでは作業開始から終了までパフォーマンスの変化がなく、安定した品質と速度が維持されました。 歩数ベースでの負荷軽減効果も明確で、従来1日約16,000歩だったところ、UNI-ONEの使用により約40%、具体的には約6,300歩の削減につながりました。実際に作業された従業員の方からも、「体感的にも負担が大きく減った」との声が寄せられました。 印象的だったのは、皆さん短時間でUNI-ONEを自在に操れるようになっていたことです。当初は、従来の清掃用具の柄が短く、UNI-ONEに乗った状態では扱いづらいという声がでましたが、これは株式会社テラモトのご協力により、UNI-ONEに最適化された長柄の清掃用具を用意していただくことで、解決することができました。 このように、UNI-ONEが清掃現場における業務効率化と働きやすさの両立に大きく貢献する可能性が実証されました。

車いすユーザーの活躍の場を創出

今回の清掃実証では、UNI-ONEの導入が多様な人材の活躍を後押しするツールになり得ることを実感できる非常に象徴的な取り組みがありました。 ご協力いただいたのは、自身が車いすユーザーである『一般社団法人集まろうよ。』共同代表の上原大祐さんです。上原さんには清掃業務のご経験はありませんでしたが、清掃スタッフの指導を受けながら実際にUNI-ONEに乗って作業していただいたところ、問題なく通常の床清掃業務を行えることが確認できました。これは、UNI-ONEが身体的な制約を越えて、ビル管理業務への参加を可能にすることを示した好事例となりました。今後、多様な人材が無理なく働ける環境づくりを進めていくうえで、UNI-ONEの可能性を強く実感しました。

▲ 『一般社団法人集まろうよ。』共同代表の上原大祐氏によるUNI-ONEを使った清掃業務実証の様子。「車椅子を利用する方々だけでなく、アイデア次第で多くの人々に新しい可能性や体験を提供できる未来を感じました。」(上原氏)

物流の疲労を大幅軽減

物流業務の運用についてもお聞かせください

物流業務では、館内の物流センターからテナント店舗への配送を対象に、UNI-ONEの運用実証を行いました。台車を使用する前提で比較したところ、UNI-ONEを使うことで1回あたりの歩数を約80%削減できました。これは、従業員の身体的負担の軽減に大きく貢献する結果だと捉えています。

▲ UNI-ONEを使えば、重たい台車も小さな力で運搬可能。

▲ 配送バッグを使った小口配送も検証

UNI-ONEを通じた新たな価値の共創

今後の展望をお願いします

今回の実証では、UNI-ONEがオフィスビルにおける清掃・物流業務において実用的に活用できることを確認することができました。対象業務は限定的ではありましたが、今後さらに適用領域を広げていくことで、業務効率化や作業負荷軽減といった運用効果をより高めていける余地があると感じています。 また、UNI-ONEの活用拡大は、結果として多様な人材が活躍できる環境づくりの実現にもつながるものであり、企業としての社会的責任にも資する取り組みだと捉えています。 更には、UNI-ONEを街区内のモビリティインフラとして活用することで、エリア内の回遊性向上や、街全体のにぎわい創出にも貢献できるのではないかと感じています。例えば、XRなどの先端技術と組み合わせることで、新たな体験型イベントの展開など、これまでにない価値提供のあり方も検討できるのではないかと考えています。UNI-ONEを通じて、オフィスビルの業務効率化にとどまらず、都市空間全体での新たな活用へ取り組んでいきたいです。