いよいよシーズンも大詰めを迎え、残るは第7戦オートポリス大会と第8戦もてぎ大会の2戦のみとなりました。Honda勢では#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴組)、#18 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム組)、#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)の3台にタイトル獲得のチャンスが残されていますが、いずれもポイントリーダーには20〜28点の差をつけられており、タイトルを奪還するには残る2戦で確実にポイントを獲得することが重要になっています。
一方でハンディウエイト制に目を移すと、開幕戦から第6戦までのハンディウエイトが「獲得ポイント数×2kg」となるのに対して、第7戦オートポリス大会では「獲得ポイント数×1kg」となり、ハンディウエイトが半減されるほか、最終戦もてぎ大会ではハンディウエイトが全く科せられないこととなります。つまり、これまで重いハンディウエイトに苦しんできた上位陣たちがその重荷から解放され、本来の実力を発揮できるようになるわけです。Honda勢では、#100 RAYBRIG HSV-010が今シーズンのタイトル争いを一貫してリードしてきましたが、第6戦富士大会では76kgだったハンディウエイトが第7戦オートポリス大会では38kgと半分になるので、優勝争いの最前線に返り咲くことが期待されます。同様に、#18 ウイダー HSV-010と#17 KEIHIN HSV-010も残る2戦では本来のポテンシャルを発揮してくれるでしょう。
Hondaとしては、#100 RAYBRIG HSV-010、#18 ウイダー HSV-010、#17 KEIHIN HSV-010の3台がタイトル獲得の可能性を残した状態で最終戦に挑めるようにすることが、第7戦オートポリス大会における第1の目標となります。より具体的にいえば、SUPER GTでは優勝すると20点が与えられるため、第7戦ではポイントリーダーとのポイント差を20点以下まで圧縮することを目指します。
ただし、これらはあくまでも最低限の目標です。というのも、1戦で20点をひっくり返すには、自分たちが優勝した上で相手が無得点に終わらなければならないからです。これは我々の目指すところではありません。Hondaとしては自力優勝が可能な5ポイント未満の差で最終戦を迎えることを狙います。できれば、前述した3台すべてにそうなってほしいのですが、現実にはそれが不可能なので、#18 ウイダー HSV-010と#17 KEIHIN HSV-010の2台に関しては「できるだけポイント差を埋めて最終戦に臨む」ことを目標として掲げたいと思います。
では、オートポリスではどんな成績が期待できるのでしょうか?
8月29日、 30日の両日、大分県のオートポリスにおいてタイヤメーカー合同テストが行われました。これは、タイヤの銘柄ごとに各自動車メーカー1台の参加が認められるもので、Hondaからは#100 RAYBRIG HSV-010が臨みました。
すでにご承知の通り、オートポリスは今春までに大規模な再舗装工事を行いました。今回のテストは、この工事後、初めてのものですが、舗装工事により従来のバンプが解消されたおかげでブレーキング中の姿勢が安定し、最高速もより伸びるようになっています。この影響で各メーカーともペースは上がりましたが、もともと優れたコーナリング性能を持つHSV-010 GTは持ち前の力をフルに発揮できるようになり、テストではライバルを圧倒するパフォーマンスを発揮しました。昨年、HSV-010 GTを苦しめたタイヤかすの問題もすでに解決しているので、今度ばかりはかなり自信があります。文句なしに優勝を目指し、攻めの姿勢でオートポリス大会に挑みます。
では、5台のHSV-010 GTの中では、どのマシンが栄冠を勝ち取るのでしょうか? 率直にいって、#100 RAYBRIG HSV-010、#18 ウイダー HSV-010、#17 KEIHIN HSV-010の3台はどれが勝ってもおかしくない状態です。チャンピオン争いを有利に進めるだけなら、#100 RAYBRIG HSV-010の優勝を期待したいところですが、3台そろって最終戦までタイトル獲得の可能性を残してほしいとの思いもあるので、#18 ウイダー HSV-010と#17 KEIHIN HSV-010の健闘も願わずにはいられません。というわけで、この3台が優勝するチャンスは互角と申し上げておきます。
シーズン前半のトラブルから解放された#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志組)は、決勝中のペースだけを見ればトップクラスのスピードを取り戻していますが、一発のスピードでは上記の3台にまだ追いついていません。この問題さえ乗り越えることができれば、#8 ARTA HSV-010にも上位フィニッシュのチャンスが巡ってくるでしょう。
引き続きマシンとタイヤのマッチングが課題の#32 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴組)は、コンディションに恵まれなかったり不運に見舞われたりなどして、道上選手と中山選手にとってはフラストレーションが募るレースが続いているので、そろそろ気持ちよく戦えるようにと考えています。
阿蘇山系の雄大な大自然に囲まれたオートポリスが舞台となる第7戦は9月29〜30日の開催となります。SUPER GTが九州を訪れる、年に一度の機会なので、九州地方ならびに中国地方の皆さんは是非、足を運んでいただき、5台のHSV-010 GTに熱いご声援をお送りいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。