vol.4 | Rd.3 富士スピードウェイ プレビュー |
富士400kmでの高速バトルを制するために |
次戦のSUPER GT第3戦は、毎年恒例ゴールデンウィーク中の富士スピードウェイでの開催になります。
まず、皆さんの関心事項は、日本のサーキットでは最も長い約1.5kmストレートを有する富士で、「HSV-010 GTとライバルとの最高速度差がどの程度になるか?」じゃないかと思っています。
HSV-010 GTは、今まで全く富士を走っていないので、現状ではライバルとどの程度の速度差になっているかはわかりませんが、鈴鹿サーキットのバックストレートでは、決勝中に約4〜5km/hの差がありました。
仮にこの差のままだと富士の決勝レースでは、前車のスリップストリームに入っても第1コーナーでオーバーテイク出来なかったり、またコーナーで貯金(タイムマージン)を稼いでも、ストレートで後続車に追いつかれたりする等の事態が予想されます。ストレートでのパフォーマンスだけで勝負が決まるとは考えていませんが、富士では最高速度がレースの行方を左右する可能性もあります。
エンジン出力がほぼ同じとなっている現状のGT500では、速度差は空力性能が影響するものと考えられます。以前にもお話しましたが、HSV-010 GTのデザインは、リヤ周りにボリューム感があり、(サイドから見ると)フロントにかけて強いウェッジが効いているためにドラッグ(空気抵抗)が大きくなる傾向にあります。
どちらかと言うとフロントにボリュームがあり、開口を極力無くした形がドラッグを小さくする形となります。残念ながらHSV-010 GTはそうとは言えません。この状況を打破するためにも、先日菅生で開催されたタイヤテストの際に、新しい空力パーツもテストしてみました。少しでもライバルに追いつき追い越すために、最後まで“悪あがき”をするつもりです。
続いて、昨年からレース距離が500kmから400kmに短縮され、2回のピットインが義務付けられている点が挙げられるでしょうか。予選はこれまでのノックダウン方式ではなく、今シーズン初めてのスーパーラップ方式が採用されます。そのため、予選ではどちらのドライバーがスーパーラップを担当し、どのコンパウンドのタイヤを選択するのか?、決勝ではスタートはどちらが担当し、各スティントの周回数を何周にするのか?、これらの要素に対する事前のチーム戦略が重要になります。また、ここ2戦では、タイヤ2本交換や無交換作戦を採用しているチームが増えています。当日の天気や路面温度にもよりますが、どのコンパウンドをどのスティントに投入し、何本のタイヤを交換するのかは、刻一刻と変化する状況変化を踏まえ、それに素早く対応する決断力が順位に大きな影響を与えそうです。全ての車が2回目のピットインを終えるまでは、各車の作戦がわからず何が起こるかわかりません。
シリーズ前半でもあり、まだまだウェイトハンデの影響は少ない状況ですので、どのチームにも優勝できるチャンスはあると考えています。HSV-010 GTとしては初めての首都圏近郊で開催されるレースであり、連休中でもありますので、多くのファンの皆さんに来場いただきたいと思っております。その際は、富士のストレートで最も甲高く余韻を残して走り去るエキゾーストノート(排気音)のGT500マシンに、ご声援お願いします。