GTプロジェクトリーダー 瀧敬之介 現場レポート
vol.3 Rd.2 岡山国際サーキット レビュー
HSV-010 GT初優勝。全車完走で次戦に繋がる一戦に

SUPER GT 第2戦 岡山で、HSV-010 GTの初優勝を飾ることが出来ました。HondaならびHSV-010 GTに多くのご声援をいただき、本当にありがとうございました。
開幕戦の鈴鹿では、ポールポジションを獲得したにもかかわらず優勝できなかったので、岡山では開幕戦以上に緊張しましたが、表彰台の頂点にいる小暮 卓史選手、ロイック・デュバル選手の勇姿をみて、ようやく実感が沸きました。多くのメディアの皆さんから「今の気持ちは?」と聞かれましたが、「ホッとした」としか言いようがなかったのが偽らざる気持ちです。

さて今回の岡山では、パーツの製作、マシンの修復に、多くのスタッフがギリギリまで携わっており、全マシンをグリッドに並べるため、サーキットに来るまでの時間さえもが戦いでした。そのためか土曜日のセッション開始前から、各チームのピットにはいつもとは違う、緊張した雰囲気を感じました。そんな中で迎えた公式練習1回目ですが、17号車がコースイン直後にクラッシュ(チームスタッフの深夜に及ぶ修復により決勝を走ることができましたが)。また公式練習2回目では、18号車がオーバーヒートでエンジンを壊すなどHonda GTプロジェクトにとっては、まさに “踏んだり蹴ったり”の状態となってしまいました。18号車はエンジンの交換が必要となり、これによりルール(1台のマシンが使用できるエンジンは年間3基)で決められた最後となる3基目のエンジンを使用することになり、今後厳しい闘いを強いられると思うと頭が痛い問題です。

今回もノックダウン方式で開催された予選は、2戦連続で18号車の小暮選手がポールポジションを獲得してくれました。セッション3(S3)で使用したタイヤで決勝をスタートするので、どのタイヤを使用するか厳しい選択を迫られます。予選日の気温は当初の想定よりも5〜6度低かったので、ポールポジションを獲るには、柔らかめのタイヤ選択の手段もありましたが、決勝を見据えて固めのタイヤを選択することにしました。そのタイヤでもポールポジションを獲得できたのは、小暮選手が上手くタイヤを温めて、マシンのポテンシャルを引き出してくれたからです。

迎えた決勝レースでは、スタートドライバーを務めたデュバル選手がポールポジションから上手くスタートし、前半のスティントでリードを確実に広げてくれました。途中後続車に差を詰められましたが、18号車はやや固めのタイヤを選択していたので、ここさえ凌げれば勝てるという手応えはありました。47ラップ目で小暮選手にドライバー交代し、終始安定したラップを刻んでくれましたが、チェッカーを受けるまでは何も起こらないよう、ただただ祈るのみでした。優勝も嬉しいですが、全車完走できたことも収穫です。8号車は11位から粘り強く追い上げてくれましたし、土曜日には全く走っていない上、最後尾スタートであった17号車もポイントを獲得できました。32号車と100号車はアクシデントに遭遇しながらも、最後まで走りきってくれました。HSV-010 GTが1台も欠けずに完走したことは、必ず次戦以降につながるものがあると思います。

ようやく優勝ができましたが、厳しい戦いがまだまだ続きます。更に全体の底上げが必要だと認識しています。これからもHondaならびHSV-010 GTへのご声援、よろしくお願いします。
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