GTプロジェクトリーダー 瀧敬之介 現場レポート
vol.2 Rd.1 鈴鹿サーキットレビュー(&Rd.2 岡山国際サーキット プレビュー)
開幕戦を終え、次戦岡山に向けて

2010 SUPER GT開幕戦は、HSV-010 GTにとっては、ほろ苦いデビュー戦になってしまいました。多くの皆さんからHSV-010 GTのデビューウィンを期待されていただけに、悔しい気持ちで一杯です。

予選では18号車の小暮選手が、1分53秒182でポールポジションを獲得してくれました。今回はノックダウン方式のため、セッション3(S3)で使用したタイヤで決勝のスタートタイヤに使用しなければなりません。そのためS3に残った2台は、決勝を見据えハードタイヤをチョイスしていましたので、ポールポジションが獲得できた時は、正直ホッとしました。HSV-010 GTにとってはスーパーラップ方式の方が、そのポテンシャルを発揮しやすいと思っていましたが、ハードタイヤでこのタイムが出せたので、序盤さえ持ちこたえられれば、決勝では優勝できる手応えを感じていました。

決勝レースでは2台のHSV-010 GTを、クラッシュで失うことになったのは全くの想定外でした。またHSV-010 GTがレース序盤にGT500の下位に固まってしまったのも想定外でした。この予期せぬ展開が、このクラッシュを誘発した一因でもあると思います。本当にレースの難しさを感じました。しかしながら、大きなクラッシュにかかわらず、ドライバー二人に怪我等が無かったのは何よりでした。
このアクシデントでのセーフティカーによる周回が、結果的には100号車のタイヤ無交換作戦につながるのですが、この作戦に伊沢選手、山本選手の二人はよく応えてくれたと思います。戻ってきた100号車のタイヤを調べしましたが、4本ともきれいに磨耗していました。テスト時からHSV-010 GTは、比較的タイヤに優しいクルマである事は確認されていましたが、それ以上に100号車の2人が、マシンのパフォーマンスを最大限に引き出す、いい仕事をしてくれたとのだ思います。結果的にはこの作戦で表彰台を獲得できたのですが、次戦以降は“奇策”を用いなくても表彰台を獲得したいのが本音です。

次戦の岡山国際サーキットに向けてですが、まずは5台全てを走らせることが最大の課題です。幸い2台ともモノコックに大きなダメージは無かったのですが、岡山までの短いインターバルで、必要なパーツを製作してマシンの修復にあたらなければなりませんが、Honda GTプロジェクト関係者一丸となり、是が非でも乗り越えたいと思っています。またテストや鈴鹿の予選で課題となっていました、ライバルとのトップスピード(最高速)の差ですが、鈴鹿の決勝ではその速度差も4〜5km/hに縮まっています。岡山のコースレイアウトでは最高速の差が出にくい上に、開幕前のテストでもマシンセッティングの方向性が見えていますので、期待してください。

次戦こそ皆さんに勝利の報告をしたいと思っていますし、何よりも私自身が誰よりも勝ちたい気持ちで一杯です。
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