マシンをセッティングする時間が少ない!

2009年のシーズンは、レギュレーションが大きく変わり、正直、ドライバー的にはつらい部分もありますが、SUPER GTがますます面白くなることは間違いないと思います。
まずはレース日程です。今まで、金曜日に練習走行、土曜日が予選、日曜日に決勝レースを行う3日間のスケジュールでした。それが09年は土〜日曜日の2日間になり、土曜日の午前中に練習走行をして、午後からすぐ予選、翌日はもう決勝になります。
これまでのように、金曜日の練習走行で予選仕様とレース仕様の両方を試したり、レースを想定したロングランを行う余裕がありません。加えて、レース前の合同テストやメーカーテストもなくなりました。
ですから、ある程度予想を立ててセッティングを施したマシンをサーキットに持ち込み、土曜日午前中の少ない練習走行で煮詰めた状態で走るしかない。これまでのノウハウやチーム力が問われる状況になると思います。

ダウンフォースも減り、運転がよりシビアに。

リアウイングが小さく薄くなり、フロントバンパーにあったカナードという空力のフィンがレギュレーションで禁止されるので、ダウンフォースが大幅に減ります。ダウンフォースが少なくなると、これまでのように無理がききませんし、コーナリング中に挙動を乱してしまうことも多々あって、それをコントロールするのが結構難しいんです。
タイムを出すセットアップのときは、ガソリンが軽く、タイヤもいい状態で走ることになるのである程度の無理がきくのですが、問題はレース本番です。少ないダンフォースで挙動がシビアな上に、ロングディスタンスを走行してタイヤがグリップダウンしてくると、ミスにつながる可能性が本当に高くなります。ドライバーとしては、かなり不安要素がある状態で闘うことになるわけです。

ダウンフォースも減り、運転がよりシビアに。

周回を重ねてタイヤのグリップが厳しくなっていくと、ドライバーの運転技術や集中力の度合いによってラップタイムが上下し、確実にレース中のバトルが起こりやすくなるでしょう。また、そのバトルでのドライバーの緊張感は、いやが上にも高まることになります。僕らドライバーは大変ですけど、観る方にとっては、とても面白い状況になると思います。

2009年は、ウェイトハンディをそれほど気にせず全開で闘える。

あともう一つは、ウェイトハンディのレギュレーションですね。
08年は、シーズンを通して上位に入賞するとウェイトが加算されていきました。それが09年は、全9戦中、前半の2・3・4・5・6戦は、ドライバー1ポイント当たり2kgで上限100kgまで増えますが、後半の7・8戦は、ドライバー1ポイント当たり1kgと半分になります。さらに、最終戦はウェイトハンディなしです。上位に入るとウェイトを積むことに変わりはありませんが、負担がかなり軽減されるため、09年は、ウェイトを気にして上位に入るのを嫌ったりせず、全開で行くだけ行くという闘い方になりますね。

スーパーラップでタイヤをどこまで温められるか。

これまでは、午前中に1回目の予選が1時間あり、午後からスーパーラップに向けて2回目の予選がありました。ですから、タイヤが温まった状態でスーパーラップに臨めたんです。
それが09年は、予選は1回だけで、1時間のインターバルを経てスーパーラップに臨むことになります。つまりタイヤが冷えきっています。スーパーラップは、タイヤが冷えているとアタックできないので、タイヤの温め方が今まで以上にシビアになりますね。

混戦が予想されるなかで、NSX勢は抜きん出すことをめざす。

2009年のSUPER GTは、大きくレギュレーションが変わったので、これまで以上に混戦が予想されます。その中から、僕らNSX勢は何とかがんばって抜け出し、最終的に僕らのチームがタイトルを取るつもりでがんばっていきたいと思います。ぜひ、みなさんサーキットに来て、応援をよろしくお願いします。