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Driver's Interview ジェンソン・バトン
Driver's Interview ジェンソン・バトン

F1元世界王者のSUPER GT参戦


昨年末から今年にかけて、国内外のモータースポーツ界で大きな注目を集めたニュースがあった。それは、「F1元世界王者であるジェンソン・バトンがGT500にフル参戦する」という衝撃的なものだった。この知らせには多くのファンが驚き、興奮し、そして期待に胸をふくらませた。しかし、現在のGT500は世界でも屈指のレベルを誇るシリーズ。たとえ元F1ドライバーであろうと、すぐに好成績を残すのは難しいカテゴリーでもある。

「ワールドチャンピオンがGT500でどんな走りをみせるのか」世界からの視線が注がれる中で開幕した今季のSUPER GTだったが、そこでバトンは想像を超える結果を残した。 岡山国際サーキットで行われたデビュー戦でいきなりの2位表彰台を獲得すると、第3戦鈴鹿でも2度目の2位に輝いた。さらには、今季これまでの3戦すべてでポイントを獲得し、ランキングトップにつけているのだ。特筆すべきは、34kgというハンディーウエイトを積みながら表彰台に上がった第3戦鈴鹿。そのレースを終えたばかりのバトンに、今季のこれまでの感想と今後の展望を聞いた。

山本尚貴、ジェンソン・バトン

──2度目の2位表彰台、おめでとうございます。まずは今の感想から聞かせて下さい。

ジェンソン・バトン(以下、JB):ありがとう。本当にハッピーだよ。今日はオーバーテイクを楽しめたし、いい仕事ができたと思う。低い気温の中でタイヤのグリップを得るのに苦労してライバルに抜かれてしまった場面もあったけれど、全体としては本当に楽しんだ。もちろん勝てればベストだったけど、きちんと2位に入ったことでランキングトップに立てたことには大きな意味がある。

──3レースを終えたところで、改めてSUPER GTの難しさは何でしょうか?

JB:トラフィック(コース上の遅いクルマ)をいかにオーバーテイクするかだ。GT300のマシンを抜くためにレコードラインを外れると、タイヤがピックアップ(ほかのマシンのタイヤの表面が劣化して剥がれたゴムの固まりが、自分のマシンのタイヤ表面にこびりついてしまうこと。これによりマシンの挙動が乱れ、ラップタイムが大幅に落ち込むケースが多い)を拾ってしまい、それを解決するのにかなりの時間がかかってしまうんだ。SUPER GTの経験が多いドライバーはうまく対処できるかもしれないけど、僕のようにこのカテゴリーでの経験が少ないと、そう簡単なことではない。これまでの僕のキャリアの中でも初めての経験だからね。そういう意味でもSUPER GTでは「トラフィックをどうさばくか」が大きなポイントになる。
あとは、やっぱりタイヤと車重だ。SUPER GTはタイヤウォーマーを使わないから、走り始めは慎重に、それでいてアグレッシブに温める必要がある。僕が乗っていたころのF1が約600kg、GT500のNSXは1034㎏で車重もかなり違うから、それにも慣れる必要があるんだ。とにかく、今はSUPER GTの難しさや楽しさに「目から鱗」といった心境かな。

RAYBRIG NSX-GT

──そもそも世界王者であるあなたが、なぜSUPER GTへの挑戦を求めたのでしょうか?

JB:GT500は世界に誇れる日本の自動車メーカー3社が参戦している、とてもレベルの高いカテゴリーだということ。それからほかのカテゴリーでは見られなくなってしまったタイヤメーカー間の戦い「タイヤウォーズ」があること。これら2つが揃っているレースは、世界的に見ても貴重な存在なんだ。GT300の存在も、SUPER GTをおもしろいものにしている。GT500同士で戦いながら、同じコースでバトルしている29台ものGT300をうまくかわさなければならない。自分が速く走れていたとしても、GT300のかわし方を誤ると難しいシチュエーションになることがあるからね。僕自身、今までに経験のないことだから、難しいけど楽しんでもいるよ。
そしてなんと言っても、SUPER GTの最大の魅力は速いドライバーが大勢、参戦していることだ。レーシングドライバーならだれでも、そのカテゴリーでベストな選手とレースをしたいと思うだろう? 国籍を問わず速いドライバーとレースができるのも、SUPER GTの魅力の一つだ。

山本尚貴、ジェンソン・バトン

──チームメートである山本尚貴選手の印象は?

JB:尚貴は才能あふれたドライバーの一人。いつも100%の力で勝負していて「常に強いドライバー」だね。彼がチームメートでラッキーだよ。あと、性格も負けず嫌い(笑)。今の彼はスーパーフォーミュラでも、SUPER GTでもランキングトップに立っているから、今のところ“大きなチャンス”のシーズンだね。そんな彼と情報を共有しながら、残りのレースも可能な限りプッシュしていくよ。

──ところで、以前よりも来日の機会が増えたと思いますが、日本での時間を楽しんでいますか?

JB:もちろん! カリフォルニアに住んでいるので、年明けからシーズン開幕前はテストなどで飛行機での移動が多くて忙しかったけれど、最近はそれもひと段落したので、日本に来ることを楽しめている。今年は僕が日本に来るときはなぜか天気が悪いんだけど、鈴鹿(第3戦)はいい感じだったね。ただ、そのほとんどの時間をサーキットで過ごしているから、ドライビング以外のことはまだなにもしていない。以前よりも日本で過ごす時間は増えたのに、残念ながら観光などはできていないんだ。今年の後半は、そうした時間が取れるといいね。

RAYBRIG NSX-GT

──次戦(第4戦タイ)からシーズン中盤戦に入ります。シリーズチャンピオンを目指す上で必要なことは何でしょうか?

JB:とにかく毎回ポイントを獲ることだね。次戦以降はさらにウエイトが重くなり、燃料リストリスターも装着されるから、僕らにとっては間違いなく厳しいレースになる。タイのコースレイアウトはHondaにとって難しいサーキットだと思うしね。だからこれからは1ポイントでも2ポイントでも確実にポイントを獲ることが大切なんだ。レースごとの結果で一喜一憂するのではなく、チャンピオンシップ全体を通した戦略が求められていくだろうね。僕自身のことで言えば、まだすべての力を出しきれていないけど、多くのことを学んでパフォーマンスが向上していることに満足している。引き続き、SUPER GTに合わせたドライビングを学んで、このポジションを守っていきたいね。

──では、最後にファンへのメッセージをお願いします。

JB:いつも本当に応援をありがとう。ファンのみんながいなければ、モーターレーシングは存在しない。サーキットには、Honda、そしてチーム・クニミツのファンが大勢来てくれて、僕らにとってとても大きな力になっているんだ。それにF1時代からたくさんの人たちが応援してくれるから、僕にとってはやっぱり日本のレースは特別に感じる。応援してくれるみんなのためにも、シーズンを通していい結果を残していきたい。チャンピオンを目指してがんばるよ!

ジェンソン・バトン
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