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Honda GTプロジェクトリーダー松本雅彦に聞く「SUPER GT 第1戦 岡山国際サーキット」

初戦を終えて見えてきた課題

  • Honda勢の最上位が10位という結果について、率直な感想は?
  • 厳しい結果だと思います。HondaはNSX CONCEPT-GTを各チームに供給する立場ですが、そのポテンシャルを最大限まで引き出せるセッティングをHondaとして各チームに提案することができませんでした。
  • 2016年のNSX CONCEPT-GTはハイブリッドシステムが非搭載となりましたがその影響は?
  • 基本的にその影響はないと考えています。これまでは、重さをハイブリッドシステムによりカバーしていましたが、今季、ハイブリッドシステムを搭載できなくなったことで車体が軽くなったので、ハイブリッドのアシストで得られていたパワーと重量分の速さは相殺されます。

  • 2016シーズンに向けて、エンジンを開発するうえではどのような目標を掲げていたのですか?
  • エンジンに関しては、レギュレーションの変更により、1時間あたりの最大燃料流量が従来の100kから95kgに減りました。その条件下で、エンジンの性能を最大限に発揮することと、ハイブリッドシステムの出力が期待できなくなった分を補うことが、エンジン開発の目標でした。
  • 実際にレースで戦ってみて、どんな課題が見えたのでしょう?
  • テストでは各チーム、燃料搭載量などが異なる条件下で走行していましたが、今回の開幕戦では、各メーカーのクルマが初めて同条件で走り、その性能の差がようやく明らかになりました。そこでわかったのは、NSX CONCEPT-GTの最高速が他車に比べて足りないこと。正直なところ、他社に比べてわれわれのエンジン出力が不足しているという認識はありましたが、出力不足だけが最高速が上がらない原因ではありません。

  • 車体のポテンシャルが十分に発揮されていないということですか?
  • われわれのクルマは、ブレーキをかけたときに挙動が不安定だったり、また、コーナリング時にグリップ感が足りなかったりという問題を抱えていました。これを解決するには、Hondaの開発陣が、たとえばウイングの角度や重量バランス、タイヤ、サスペンション、ライドハイトなどの使い方を各チームに提案する必要があるわけですが、今回はベストな提案ができなかったということです。
  • 第2戦に向けての取り組みは?
  • われわれとしては、今回の結果を解析することで、どうしてこれほどまで下位に沈んでしまったのかを見出し、次戦に向けた対応策を早急に考える必要があります。第2戦の富士まであまり時間はありませんが、われわれが目標とするレベルのクルマに少しでも近づけ、ドライバーやチームの要求に応えられるよう、次のレースに挑みたいと思います。

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【プロフィール】
松本 雅彦(まつもと まさひこ)

1963年生まれ。86年本田技術研究所和光研究所入社。初代「VTECエンジン」研究開発に従事。87年〜92年第二期F1エンジン性能担当として「V6 1.5Lターボエンジン」「V10 3.5L、V12 3.5Lエンジン」の研究開発を担当。エンジン担当エンジニアとしてレース転戦。第二期撤退後「無限ホンダ F1プロジェクト」参画、エンジン開発担当。第三期においても「F1 V10 3.5L」「V8 2.4Lエンジン」研究開発担当。エンジン担当エンジニアとしてレース転戦。2005年以降エンジン開発責任者として、F1撤退までエンジン開発担当。撤退後はGTエンジン開発担当。エンジン研究開発責任者として10年「Honda GTプロジェクト」LPL代行、12年「Honda GTプロジェクト」LPL就任。