4月19日(日)、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて2009 オートバックス SUPER GT第2戦「KEIHIN SUZUKA 2&4 RACE」の決勝レースが開催された。
鈴鹿サーキットは、昨シーズン終了後より「観戦・イベントエリアの快適性向上」、「パドック・ピットエリアの利便性・快適性向上」、「レーシングコースのさらなる安全性向上」を目的に大規模改修工事を行った。今回のSUPER GT第2戦は、グランドスタンドやピットビルが一新された鈴鹿サーキットとして初めてのレースとなる。
Honda NSX-GT勢は、今レースよりダウンフォースを増やすべく、リアエンドの空力処理を改良している。また、18号車を除く4台にパドルシフトを採用している。
18日(土)に開催された公式予選において、NSX-GT勢は予選1回目の上位8台で決勝グリッドが争われるスーパーラップに3台が出場した。スーパーラップでは、#17 金石年弘/塚越広大組(KEIHIN NSX)が6番グリッド、#100 井出有治/細川慎弥組(RAYBRIG NSX)が7番グリッド、#18 道上龍/小暮卓史組(ROCKSTAR 童夢 NSX)が8番グリッドを獲得した。また、#32 ロイック・デュバル/中山友貴組(EPSON NSX)は9番グリッド、#8 ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組(ARTA NSX)が13番グリッドから決勝レースを迎えることとなった。
19日(日)の決勝日は朝から快晴となり、気温22℃、路面温度35℃という絶好のコンディションとなった。午後2時5分に総勢35台(GT500クラス計14台)のマシンがローリングスタートを切り、52周のレースが始まった。
オープニングラップは、金石選手(#17 KEIHIN NSX)が6番手、井出選手(#100 RAYBRIG NSX)が7番手、小暮選手(#18 ROCKSTAR 童夢 NSX)が8番手、L.デュバル選手(#32 EPSON NSX)が11番手、R.ファーマン選手(#8 ARTA NSX)が12番手を走行する。
6番手を走行する金石選手は、トップグループと同等の1分57秒台で走行、トップから3秒401差で5周をクリアする。決勝は前日の予選時より気温が上昇しているために、タイヤの消耗を含めたコントロールがレースの行方を左右する展開が予想された。
9周目、井出選手(#100 RAYBRIG NSX)が金石選手(#17 KEIHIN NSX)をパスして6番手に浮上。次周にはR.ファーマン選手(#8 ARTA NSX)が9番手に浮上し、13周目には6番手を走行する#100 RAYBRIG NSXとトップとのタイム差は7秒570。続いて7番手に#17 KEIHIN NSX、さらに8番手へ浮上した#8 ARTA NSX、9番手に#18 ROCKSTAR 童夢 NSXが連なって走行する。#32 EPSON NSXは13番手に後退している。
21周終了時に、先陣を切って#32 EPSON NSXがドライバー交代のピットインを敢行。L.デュバル選手から中山選手にバトンタッチしてコースに復帰する。続いて23周終了時に#18 ROCKSTAR 童夢 NSXが道上選手にドライバー交代をする。26周終了時には、#8 ARTA NSXもドライバー交代を敢行し、次周に#100 RAYBRIG NSXもリアタイヤのみのタイヤ交換を行う。
ドライバー交代時のピット作業でリアタイヤのみの交換ですばやくコースに復帰した#100 RAYBRIG NSXと#8 ARTA NSXは、5番手と6番手へポジションを上げることに成功する。
35周を終えた時点で、#100 RAYBRIG NSXの細川選手が、トップから16秒510差の5番手、#8 ARTA NSXの伊沢選手が6番手、#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの道上選手が9番手、#17 KEIHIN NSXの塚越選手が11番手、#32 EPSON NSXの中山選手が13番手を走行する。
後半戦に入り、好調な走りをみせて追い上げを図る#100 RAYBRIG NSXと#8 ARTA NSXは、3位争いの2台に追いつき、激しいバトルを繰り広げ始める。
残り10周を切り、6番手を走る#8 ARTA NSXと3番手のタイム差は約2秒。しかし、45周目のスプーンカーブで伊沢選手がオーバーランを喫し、コースに復帰するものの7番手に後退する。さらに、6番手に後退した#100 RAYBRIG NSXが48周目のシケイン入口で前車に追突。この追突により右側のサイドウオールに接触した前車を避けようとした#8 ARTA NSXがクラッシュしてマシンを大きく損傷し、無念のリタイアとなった。このアクシデントで2台のマシン撤去が必要になったため、セーフティカーが入る展開となった。また、直後となる49周目のS字コーナーでは、再び#100 RAYBRIG NSXが他車と接触してスピンを喫し、エスケープゾーンにストップした。
このアクシデントで、いったんホームストレート上で各車が停止し、順位が整えられてからセーフティカーの先導がスタートするものの、この時点で残り2周しか残っておらず、レースはセーフティカーが先導したままチェッカーフラッグを受けることとなった。
この結果、優勝は#38 ZENT CERUMO SC430。#18 ROCKSTAR 童夢 NSXの道上選手が5位、#17 KEIHIN NSXの塚越選手が6位、#32 EPSON NSXの中山選手が9位となった。#100 RAYBRIG NSXは接触行為に対してペナルティも科され、1周遅れの12位となった。
順位 | No. | マシン | ドライバー | 周回数 | タイム/差 |
1 | 38 | ZENT CERUMO SC430 | 立川祐路/R.ライアン | 52 | 1:54:52.997 |
2 | 36 | PETRONAS TOM'S SC430 | 脇阪寿一 / A.ロッテラー | 52 | +0:01.888 |
3 | 12 | IMPUL カルソニック GT-R | 松田次生/S.フィリップ | 52 | +0:05.210 |
4 | 6 | ENEOS SC430 | 伊藤大輔 / B.ビルドハイム | 52 | +0:09.585 |
5 | 18 | ROCKSTAR 童夢 NSX | 道上龍/小暮卓史 | 52 | +0:13.897 |
6 | 17 | KEIHIN NSX | 金石年弘/塚越広大 | 52 | +0:15.354 |
9 | 32 | EPSON NSX | ロイック・デュバル/中山友貴 | 52 | +0:24.063 |
12 | 100 | RAYBRIG NSX | 井出有治/細川慎弥 | 51 | +1Lap |
14 | 8 | ARTA NSX | ラルフ・ファーマン/伊沢拓也 | 47 | +5Laps |
順位 | No. | ドライバー | マシン | 総合ポイント |
1 | 38 | 立川祐路/R.ライアン | ZENT CERUMO SC430 | 25 |
2 | 24 | J.P.デ・オリベイラ/荒聖治 | HIS ADVAN KONDO GT-R | 23 |
3 | 18 | 道上龍/小暮卓史 | ROCKSTAR 童夢 NSX | 21 |
4 | 12 | 松田次生/S.フィリップ | IMPUL カルソニック GT-R | 19 |
5 | 36 | 脇阪寿一 / A.ロッテラー | PETRONAS TOM'S SC430 | 15 |
6 | 8 | ラルフ・ファーマン/伊沢拓也 | ARTA NSX | 11 |
7 | 17 | 金石年弘/塚越広大 | KEIHIN NSX | 11 |
9 | 32 | ロイック・デュバル/中山友貴 | EPSON NSX | 6 |
11 | 100 | 井出有治/細川慎弥 | RAYBRIG NSX | 3 |
順位 | チーム | 総合ポイント |
1 | LEXUS TEAM ZENT CERUMO | 30 |
2 | KONDO RACING | 29 |
3 | TEAM YOSHIKI & 童夢 PROJECT | 27 |
4 | TEAM IMPUL | 25 |
5 | LEXUS TEAM PETRONAS TOM'S | 19 |
6 | ケーヒン リアル レーシング | 16 |
7 | オートバックス・レーシング・チーム・アグリ | 15 |
9 | エプソン・ナカジマ・レーシング | 11 |
11 | チームクニミツ | 7 |
コメント
白井 裕(Hiroshi Shirai)|NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
「新生鈴鹿のオープニングレースであり、Hondaファンシートでご声援いただいているファンの皆様のためにもいい結果を出したいと思っていました。ですから、今回の5位、6位の結果には満足していません。再舗装された東コースの路面に最適なセッティングを2日間の短いセッションでまとめきれず、結果としてライバルたちに差をつけられました。次戦の富士は、長いストレートにあわせた空力面でのセッティングが重要ですので、対策を講じたいと思います」
道上龍選手(5位 #18 ROCKSTAR 童夢 NSX)
「前回の岡山では2位を獲得し、30kgのウエイトハンデを搭載しての戦いになりましたが、ウエイトよりもマシンのセットアップに苦戦したために満足なレース運びができませんでした。しかしながら、結果的には5位で貴重なポイントを獲得することができました。シリーズタイトルを目指してシーズンを戦っている中では、苦しいレースでツキを味方にできたことはよかったと思います」
小暮卓史選手(5位 #18 ROCKSTAR 童夢 NSX)
「マシンのセッティングに苦しみましたが、その中でベストを尽くしました。予選は8番手でしたがレースでは着実に走りきり、貴重なデータと5位のポイントを取ることができました。マシンは確実によくなっていますが、さらに上位を目指すためにも、まだまだやらなければいけないことがあります。次戦の富士ではさらにウエイトが課せられますが、得意としているコースなのでがんばります」