今回の最終戦・富士ラウンドは、1994年から始まった全日本GT選手権から通算100戦目という記念すべきレースとなった。シリーズタイトル争いでは、前戦のオートポリス・ラウンドにて#8 ARTA NSXの伊藤大輔選手とラルフ・ファーマン選手が、初のドライバーズ部門のシリーズチャンピオンを獲得している。あとはチーム部門のタイトル獲得を残すのみとなり、#8 AUTOBACS RACING TEAM AGURIが102ポイントを獲得してポイントをリードしている。2位とは22ポイントの差があるため、ランキング2位の#22 NISMOが優勝したとしても10位以内でチェッカーフラッグを受けることができれば、タイトルを獲得することとなる。
3日(土)に開催された公式予選は、予選2回目のスーパーラップにHonda NSX-GT勢が3台出場。前戦から先行開発の一環ということで4Lエンジンを投入している#17 金石勝智/金石年弘組(REAL NSX)が2番手を獲得。続く3番手に#32 ロイック・デュバル/ファビオ・カルボーン組(EPSON NSX)、5番手に#18 道上龍/小暮卓史組(TAKATA童夢NSX)となった。#100 ドミニク・シュワガー/細川慎弥組(RAYBRIG NSX)と#8 伊藤大輔/ラルフ・ファーマン組(ARTA NSX)は13-14番グリッドから決勝スタートを迎えることとなった。
決勝レースが開催された4日は快晴となったが、スタート時の気温は17℃、路面温度は23℃と肌寒いコンディションでのレースとなった。富士スピードウェイに駆けつけた4万8800人の大観衆が見守る中、44台(GT500クラス計16台)のマシンがフォーメーションラップを開始。14時04分にローリングスタートが切られた。
オープニングラップは、#12 カルソニック インパル Zがトップで通過。続く2位に#17 REAL NSXの金石年弘選手、3位に#32 EPSON NSXのL.デュバル選手、6位に#18 TAKATA童夢NSXの小暮選手、10位に#8 ARTA NSXのR.ファーマン選手、11位に#100 RAYBRIG NSXのD.シュワガー選手が続く。
7周目、L.デュバル選手が金石年弘選手をパスして2位に浮上。トップを追走し、徐々にタイム差を縮めていく。15周終了時でトップとの差は2秒を切り、18周終了時には0.486秒まで接近する。そして、19周目のホームストレートから1コーナーの進入でL.デュバル選手が#12 カルソニック インパル Zをパスして#32 EPSON NSXがトップに浮上。金石年弘選手も#12 カルソニック インパル Zに追いつき、激しいバトルを繰り広げる。
23周終了時に7位を走行していた#100 RAYBRIG NSXがピットイン。ドライバー交代を行うものの、左リアタイヤの交換に手間取り、大きくタイムをロスしてしまう。直後の24周目に#18 TAKATA童夢NSXの小暮選手がダンロップコーナーで単独スピンを喫するが、すぐにレースへ復帰。26周目には、#17 REAL NSXの金石年弘選手が2位に浮上。NSX-GTが1-2態勢を築く。
30周終了時にトップを走行する#32 EPSON NSXがピットイン。タイヤ4本を交換し、32秒1のピット作業を終えて、F.カルボーン選手がコースに復帰した。#8 ARTA NSXは黄旗追い越しによるピットスルー・ペナルティの裁定により、後退を余儀なくされた。
ほぼ全車がドライバー交代を終えた38周終了時点で、トップは#32 EPSON NSXのF.カルボーン選手、#17 REAL NSXは金石勝智選手にドライバー交代した直後にパスされたために3位を走行。#100 RAYBRIG NSXは#1 宝山 TOM'S SC430と激しい7位争いを展開する。10位に#18 TAKATA童夢NSXの道上選手、12位で#8 ARTA NSXの伊藤選手が走行する。
トップのF.カルボーン選手は49周終了時点で2位と21.656秒の大差を築いて独走。一方で、2位争いは、#12 カルソニック インパル Zと#17 REAL NSXの金石勝智選手が激しいバトルを展開する。
GT通算100戦目の記念すべきレースは、F.カルボーン選手が独走態勢を最後まで維持しながら66周走りきり、#32 EPSON NSXに今シーズン初優勝をもたらした。EPSON NSXは昨年の最終戦・富士ラウンドに続き、2年連続優勝を達成した。#17 REAL NSXは、追い上げはかなわなかったものの、3位でチェッカーフラッグを受けて今シーズン初の表彰台を獲得した。#100 RAYBRIG NSXは7位、#8 ARTA NSXは8位、#18 TAKATA童夢NSXは10位でチェッカーフラッグを受け、NSX-GT全車が完走を果たした。
この結果、#8 AUTOBACS RACING TEAM AGURIはチーム部門のシリーズタイトルを獲得。Hondaにとって2000年以来のダブルタイトル獲得となった。 |