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スピードを武器にスーパーフォーミュラ・シリーズの初代チャンピオンを目指す[坂井典次:スーパーフォーミュラ プロジェクトリーダー]

2013年より全日本選手権フォーミュラ・ニッポンから
全日本選手権スーパーフォーミュラ・シリーズへと名称を改める
国内トップフォーミュラカーレース。現行マシンで競われるのは
今季が最後となるため、ここで栄冠を勝ち取るべく、
Hondaは昨年に続いて大規模なエンジン開発に取り組んでいます。
スーパーフォーミュラ プロジェクトリーダーの坂井典次が、
2009年以来となるダブルタイトル獲得を目指す意気込みを語ります。

 昨年はDOCOMO TEAM DANDELION RACINGがチームタイトルを勝ち取り、Hondaに3年ぶりとなる栄冠をもたらしてくれました。これはドライバーやチームのパフォーマンスが非常に高いレベルにあることの証明だと考えていますが、我々が目指しているのは、あくまでもドライバータイトルの獲得です。従って、ドライバータイトルを惜しいところで逃した2012年は、いささか残念な結果に終わったシーズンといえます。

 結果はやや残念でしたが、Hondaは例年を上回るエネルギーを割いて開発に取り組みました。その結果、昨年、我々のエンジンは例年の2倍近い伸び率で性能が向上しました。

 これを実現するため、通常はあまり踏み込まない領域にも足を踏み入れ、数多くの開発を行いました。例えば、パワーアップを図るのに有効なフリクションロスの低減では、クランクシャフトやコネクティングロッドなどエンジンの下回りにも目を向けた結果、意外に大きなテーマが潜んでいることに気づき、これらを一つひとつ潰していきました。

 一方、パフォーマンス向上の主役ともいえる燃焼の改善では、圧縮比の引き上げを突き詰めました。圧縮比を高めるのと吸気効率を下げないようバランスを取り、パワーを向上させることが重要なテーマとなりました。

 また、燃焼を形作るパーツである燃料インジェクションについても、その形状を見直しました。こういったパラメーターを複雑に組み合わせていくと、従来はほとんど効果がないと考えられてきた手法にも大きな可能性が潜んでいることが次第に判明し、これまでにない開発の筋道が見えてきました。こうした領域を突き詰めていけば、これまで考えられてきた限界を打ち破る性能の改善が実現できると期待しています。

 では、2013年はどのように戦っていくことになるのでしょうか? エンジンに関しては、2012年に新たに見つけ出した領域の開発をさらに推し進め、昨年同様、例年の2倍のパフォーマンス向上を実現する計画です。具体的には、フリクションロスの低減と燃焼室形状の改善に引き続き取り組んでいきます。

 参戦体制については昨年よりもさらに増強し、4チーム8台がフル参戦します。注目のポイントはHP REAL RACINGとチーム 無限がシーズンを通じて2台エントリーとなること。そのほか、昨年ランキング2位だった塚越広大選手がDOCOMO TEAM DANDELION RACINGからHP REAL RACINGに移籍し、新たにフル参戦する中山友貴選手とコンビを組みます。また、塚越選手が抜けたDOCOMO TEAM DANDELION RACINGには武藤英紀選手が加入、残留する伊沢拓也選手のチームメートとなります。さらに、インディカー・シリーズに参戦する佐藤琢磨選手は、今季もチーム 無限からエントリー。ただし、日程の関係でスーパーフォーミュラ・シリーズに出場できない場合は小林崇志選手が代わって参戦します。

 フォーミュラカーレースは、速い人が勝つというのが本来の姿であり、醍醐味であると考えます。従って、今年は自分たちがだれよりも速くなり、結果としてスーパーフォーミュラ・シリーズ初年度にダブルタイトルを獲得するつもりでいます。今季も全力で戦っていきますので、どうぞ力強いご声援をお願い申し上げます。

坂井典次からファンの皆様へ