【特集】2018 SUPER FORMULA SERIES シーズン中間レビュー

Honda勢が圧勝の開幕戦から
ライバルの逆襲を受けた第4戦までを振り返る

2018年全日本スーパーフォーミュラ選手権は、ここまで全7大会中4大会を終えました。昨年はシリーズチャンピオンをわずか0.5ポイント差で逃したHonda。今年は5チーム8台体制でドライバーとチームのダブルタイトル獲得を目指しています。前身の選手権フォーミュラ・ニッポン時代から9年目のシーズンとなるベテランの山本尚貴をはじめ、新加入の選手にも期待が寄せられます。F1への登竜門と言われるFIA-F2選手権で腕を磨いてきた松下信治、F1のサポートレースとして行われるGP3に参戦を経てFIA-F2に参戦中の福住仁嶺がHonda勢に加わりました。

そして、全車が共通で使用するシャシーの現行型SF14にとっては、2014年の導入以来5年目のラストシーズンでもあります。導入当初はさまざまなセッティングが試され、エンジニアリングの迷路にはまり込んだチームもありましたが、ほぼ全チームがマシンの状態を理想に近づけつつあるようです。その結果、今年の公式予選では、昨年まで約1秒のラップタイムの幅でノックアウトを争っていたところが、より僅差の0.5秒で明暗が分かれるという激戦となりました。

ドライバー集合写真

まず鈴鹿サーキット(三重県)で開催されたシーズン開幕戦でポールポジションを獲得したのは、#16 山本(TEAM MUGEN)でした。またその隣には今年のチームメートとして起用された#15 福住が並び、TEAM MUGENがフロントローを独占。また、その後方には#5 野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)、#17 塚越広大(REAL RACING)が続いて、Honda勢が予選上位5番手までを占める幸先のいい開幕に。

決勝でも山本は首位を譲らず、ミディアムタイヤからソフトタイヤへの1ストップ作戦で51周300kmを走りきり、2年ぶりのポール・トゥ・ウインを飾りました。3位にはいったん順位を大きく下げながら追い上げた野尻、5位に伊沢、6位に塚越が入賞し、それぞれシリーズポイントを獲得して2018年シーズンの船出となりました。

今シーズン供給されるタイヤは、昨年同様ミディアムタイヤとソフトタイヤの2スペックですが、ソフトタイヤはよりグリップを高めた仕様となったため、エンジンにかかる負荷も増しています。今シーズン向けのHR-417Eエンジンはこれを考慮して開発され、期待通りの圧勝という結果が得られました。

山本尚貴

山本尚貴(中央)、野尻智紀(右)

勢いに乗って迎えたシリーズ第2戦オートポリス(大分県)でもHonda勢は快調で、ドライコンディションの公式予選では野尻が2番手、昨年までヨーロッパのFIA-F2を戦っていた#6 松下(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番手となり、予選トップタイムを記録した選手がペナルティを受けた結果、決勝ではHonda車2台がフロントローからスタートすることになりました。

野尻智紀

ところが決勝日を迎えたオートポリスは朝から雨と霧。スタート時間を遅らせて天候回復を待ちましたが、結局決勝レースはキャンセルされてしまいました。FIA-F2に参加する福住の代役として起用された#15 阪口晴南(TEAM MUGEN)は、初めてのスーパーフォーミュラで公式予選Q1を突破し今後の活躍に望みをつなぎましたが、残念ながら決勝を戦うチャンスは流れてしまいました。

阪口晴南

シリーズ第3戦はスポーツランドSUGO(宮城県)で開催されました。FIA-F2に出場する福住の今回の代役は、昨年のマカオGP勝者である#15 ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)が務めました。ここでもHonda勢は好調で、公式予選では野尻がポールポジションを獲得、松下が5番手、山本が6番手につけました。

決勝レースは15周目、コース上でアクシデントが発生してセーフティカーがコースインしましたが、ちょうどタイヤ交換のためのピット作業が始まるタイミングと重なったこともあり、ピットインのタイミングによって順位が大きく変動しました。ここでうまく順位を上げたのがそれまで6番手だった山本で、上位陣が全車ピット作業を終えた段階で首位に立ち、そのまま後続を振り切って今季2勝目を飾りました。5位には#64 ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)、7位に野尻が続きました。

山本尚貴

続いて富士スピードウェイ(静岡県)でシリーズ第4戦が開催されました。週末の富士スピードウェイは停滞する梅雨前線の影響で不安定な天候。公式予選でHonda勢として最上位につけたのは2番手の山本で、塚越が5番手に続きました。しかし、Honda勢は多くがスターティンググリッド後方へ沈み、それまでの勢いにもやや陰りが見られました。

ドライとなった決勝でも、Honda勢の苦戦は続きます。山本はスタートで出遅れ、徐々に順位を落としましたが、なんとか入賞ラインの8位に踏みとどまり、貴重な選手権ポイントを獲得。1ポイント差ながらシリーズポイントランキングトップの座を守りました。

第4戦決勝スタートシーン

「前半戦を振り替えると上がったり下がったりという感じですが、エンジンパフォーマンスという点では互角だとみています。次戦ツインリンクもてぎではニューエンジンを投入します。主に、新しいソフトタイヤをうまく使うためのトルク特性を追求したものになります。チームもそれに合わせたセッティングをしてレースに臨むことになります」と佐伯昌浩プロジェクトリーダーは語っています。

快調なシリーズ出だしから、中盤戦でライバルの逆襲を受けて、ほぼ横一線に戻って迎えるシリーズ後半戦。Honda勢はニューエンジン投入で追っ手を突き放す意気込みです。

野尻智紀(#5)、松下信治(#6)

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