第2戦タイ大会が、3月10日(金)~12日(日)までの3日間、ブリーラム郊外のチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されました。スーパーバイク世界選手権が開催されるのは今年で3年目となります。
昨年、Honda World Superbike Teamは、タイ大会で表彰台争いに加わるレースを披露し、ファンを喜ばせました。しかし、今年は3日間を通して思うようにパフォーマンスを発揮できず、苦戦のレースとなりました。
Hondaは、昨年10月に新たな電子制御システムを採用した「CBR1000RR Fireblade SP」と「CBR1000RR Fireblade SP2」を発表しました。2017年シーズンは、この「CBR1000RR Fireblade SP2」(以下、CBR1000RR-SP2)をベースにしたマシンで戦います。初レースとなった開幕戦オーストラリア大会では、マシンのパフォーマンスをうまく引き出せず、セットアップに多くの時間を割くことになりました。その結果、ニッキー・ヘイデン(Red Bull Honda World Superbike Team)とステファン・ブラドル(Red Bull Honda World Superbike Team)の両選手にとって、ポイントは獲得したものの、課題を多く残すレースとなりました。
第2戦タイ大会では、開幕戦オーストラリア大会で浮き彫りになった課題を一つひとつ解消しながらセットアップを進めました。 しかし、今大会も電子制御のセッティングが決まらず、CBR1000RR-SP2のパフォーマンスを発揮するには至りませんでした。
初日のフリー走行では、ブラドルが12番手、ヘイデンが13番手に終わり、ダイレクトに「スーパーポール2(SP2)」には進出できませんでした。そして、SP2への進出をかけて挑んだ「スーパーポール1」でも思うような走りができず、ヘイデンは14番グリッド、ブラドルは16番グリッドが確定しました。
厳しいグリッドで決勝を迎えることになりましたが、ヘイデンは両レースで粘り強い走りをみせます。レース1は9位でフィニッシュ。レース2は、レース1の順位によってグリッドが決まる新ルールのため、フロントロー6番グリッドから決勝に挑み、7位でフィニッシュしました。
レース2は、スタートして5周目に転倒者が出たことで赤旗中断。20周のレースが16周に短縮される中、ヘイデンは今季ベストリザルトとなる7位でフィニッシュしました。開幕から2戦が過ぎ、厳しい戦いが続いているヘイデンですが、オーストラリア大会よりも全体のリザルトを上げることに成功。ヨーロッパに舞台を移す第3戦スペイン(アラゴン)大会からの巻き返しが期待されます。
今季、Red Bull Honda World Superbike Teamに加入したブラドルは、レース1で今季ベストとなる10位フィニッシュ。レース2は転倒リタイアという悔しい結果でしたが、前戦から大きく前進したことを感じさせるレースでした。
電子制御がまとまり、CBR1000RR-SP2のパフォーマンスを引き出せれば、ヘイデンはもちろんブラドルも優勝が期待される選手だけに、これからの進化が期待されます。
ニッキー・ヘイデン(スーパーバイク 9位/7位)レース1後のコメント
「午前中のスーパーポールでセットアップを大きく変えて、エンジンブレーキングの問題を解決しようとしました。その結果、ブレーキングのフィーリングが改善に向かいましたが、まだ感触は完ぺきではありません。レースではいいスタートが切れました。そして8番手争いのグループで戦うことができました。自分たちのペースがどのくらいなのかを理解するために集団についていって、一生懸命に学ぼうとしました。コース上でマシンがうまく機能するところもあれば、少し苦戦するエリアもありました。結果は9位でしたが、まだマシンの安定性を探る必要があります。そうすれば思ったようにプッシュできると思います。レース2の前に行われるウォームアップで新しいことにトライしてみたいです」
レース2後のコメント
「赤旗中断のあとの方が、マシンがよく機能し、実際に今週の自己ベストを出せました。かなり安定した走りができたし、数周ですが、いいラップタイムを出せました。集団の中で5番手争いをしていたら、レオン(キャミア、MVアグスタ)のマシンが煙を出し始めました。トラブルを避けるためにタイムをロスし、彼がリタイアしたあとはすでに、6番手のチャズ(デイビス、ドゥカティ)とは離れていました。そのため前後に相手がいない、孤独なレースになりました。昨日よりは少しうまくいきましたが、上位とのギャップを縮めるためにはまだやるべきことがたくさんあります。できる限り早くそこへたどり着けることを願っています」
ステファン・ブラドル(スーパーバイク 10位/リタイア)レース1後のコメント
「決勝レースはそれほど悪くありませんでした。まだ取り組むべきことはたくさんありますが、マシンは着実によくなっています。レース後半は力強いタイムを出せました。僕のベストタイムは1分35秒。このタイムは、チェッカーフラッグの直前、最終コーナーでフォレ(ハビエル・フォレス、ドゥカティ)をオーバーテイクしたときに出たタイムです。改善しなければならないのは、レース序盤のパフォーマンスです。タイヤがフレッシュなときの電子制御のセッティングは、まだベストの状態ではありません。全体的には安定性を見つけることができたのでとてもよかったです。でも、ペースをもっと上げていく必要があります」
レース2後のコメント
「残念ながらミスで転倒してしまいました。デイビスがパスしてきたので、僕は彼についていくためにベストを尽くしました。しかし、ブレーキングが少し遅れ、コーナーのバンプに乗り上げての転倒でした。このときもまたトップ10に入れそうだったので残念です。アラゴンに向けて集中力を維持して、引き続きがんばって取り組まなければなりません。ヨーロッパラウンドに突入します。次のレース前に大きく前進できることを願っています」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 20 | 31'16.125 |
2 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 20 | +6.279 |
3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 20 | +8.165 |
4 | 33 | M.メランドリ | ドゥカティ | 20 | +8.239 |
5 | 60 | M.ファン・デル・マーク | ヤマハ | 20 | +11.384 |
6 | 22 | A.ローズ | ヤマハ | 20 | +14.862 |
9 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 20 | +33.305 |
10 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | 20 | +35.208 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 16 | 25'02.029 |
2 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 16 | +4.078 |
3 | 33 | M.メランドリ | ドゥカティ | 16 | +4.195 |
4 | 22 | A.ローズ | ヤマハ | 16 | +10.005 |
5 | 81 | J.トーレス | BMW | 16 | +14.733 |
6 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 16 | +16.972 |
7 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 16 | +20.543 |
RT | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | 5 | +11Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | J.レイ | カワサキ | 100 |
2 | 7 | C.デイビス | ドゥカティ | 70 |
3 | 66 | T.サイクス | カワサキ | 62 |
4 | 22 | A.ローズ | ヤマハ | 49 |
5 | 33 | M.メランドリ | ドゥカティ | 45 |
6 | 12 | X.フォレス | ドゥカティ | 34 |
10 | 69 | ニッキー・ヘイデン | ![]() | 21 |
17 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | 8 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | カワサキ | 100 |
2 | ドゥカティ | 76 |
3 | ヤマハ | 50 |
4 | BMW | 32 |
5 | MVアグスタ | 27 |
6 | ![]() | 22 |
7 | アプリリア | 19 |